村上亮太が手掛ける「ピリングス(pillings)」は「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」としてブランドをスタート。2017年秋冬コレクションまで母・村上千秋と2人で制作を続けていたが、2018年春夏コレクションから村上亮太単独でデザインを手掛けている。2020年にブランド名をピリングスに改名した。
上田安子服飾専門学校卒業後、山縣良和による「ここのがっこう」でファッションを学ぶ。リトゥンアフターワーズのアシスタントを経て、2014年に「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」を立ち上げる。2020年には「K'sK」代表の岡本啓子と共に、ニットスクール「アミット(AMIt)」を開校。ニットを通したコミュニケーションの場作りにも注力している。
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- BRAND CONCEPT -
ブランドコンセプトは「ものづくりの愛おしさ、背景を創造性を持って伝えていくこと」
2014年に村上亮太(ムラカミ リョウタ)が母・村上千秋と一緒に立ち上げたブランド「リョウタムラカミ(RYOTAMURAKAMI)」。独特の制作手法とクオリティの高いニット技術を用いたコレクションは、世界三大コンペティションのひとつ「ITS(International Talent Support)」にノミネートを果たすなど、国内外で話題となった。その後、2018年春夏コレクションからは村上亮太が単独でデザインするようになり、2019年秋冬コレクションからは、ニットデザイナーの岡本啓子が率いるアトリエ「K’sK」との取り組みをスタートした。
2020年10月にブランド名を「ピリングス(pillings)」に改名。村上は、「ブランドを続けていくうちに関わってくれる人が増えていき、一人の作品としてではなく複数の人が関わっているプロジェクトとして見て欲しいという思いが強くなった」と話している。
ブランドコンセプトは「ものづくりの愛おしさ、背景を創造性を持って伝えていくこと」。小学校の頃、母親の手作りの服を着ていたことをクラスで揶揄われ、「手作りのモノや気持ちの宿ったものはカッコ悪いものなんだ」という思いを抱いたことがファッションとの出会いだったという。当時の自分に「そんなことはない」と胸を張って言えるように、ピリングスの活動を通して作り手の想いや温もりを伝え続けている。
ハンドニットの魅力をより多くの人に伝えていくために、ピリングスではオーダーメイドでハンドニットの制作を行っている。「これまであまりクラフト感のあるニットには手を出してこなかった人にも、ピリングスのニットを通して何か掘り下げてもらうきっかけになって欲しい」とデザイナーは話す。
また、「K'sK」代表の岡本啓子と共に、ニットスクール「アミット(AMIt)」を開校。コミュニケーションの場作りにも注力している。
- BRAND NAME -
ブランド名の由来
ブランド立ち上げ当初は母と二人三脚だったが、今は多くのニッターと一緒に制作を進めている。2020年秋冬コレクションでは「K'sK」と協業し、約40人に及ぶニッターの協力を得てコレクションを発表した。様々な人たちと制作することで起こる化学反応がブランドの魅力に繋がっていることから、摩擦によって生まれる"毛玉たち"を意味する「ピリングス」に改名した。
- CHARACTERISTIC ITEM -
ピリングスを代表するアイテムは「クロッシェ編みのフラワーシリーズ」
2シーズン目となる2015年秋冬コレクションで発表したフラワーモチーフのアイテムは、現在も継続している人気シリーズ。おかんアートと呼ばれ親しまれている"アクリルたわし"を村上の母が制作しており、それをアレンジして服にしたことが誕生のきっかけとなっている。カラーを変えて毎シーズン発表するだけではなく、帽子、ソックス、バッグと展開を増やしており、ハンドニットに馴染みが無かった人でも手に取りやすいアイテムが揃うシリーズとなっている。
2021年秋冬コレクション
Image by: pillings
- RECOMMEND SHOP -
おすすめの取り扱い店舗
おすすめの取り扱い店舗はラフォーレ原宿にあるセレクトショップ「シープ(SHEEP)」、「ロンハーマン(Ron Herman)」。
- PERSON -
ブランドと関係が深い人物は、東京ニューエイジのデザイナー
「リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)」デザイナーの山縣良和と「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」デザイナーの坂部三樹郎がプロデュースしたプロジェクト「東京ニューエイジ」。村上は、「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」、「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」、「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」らと共に、2014年から2016年にかけて「東京ニューエイジ」としてファッションショーやインスタレーションを行ってきた。村上亮太は「デビュー当時、本当に何も分からない中でなんとか続けてこれたのは、東京ニューエイジという環境があったことが大きかった」と当時を振り返る。
現在はそれぞれの方向性で活動を続けているが、プライベートでの親交は今も続いている。「何十年後かに舞台を変えて、みんなでまた何かできたらいいなと思います。みんなはやりたくないかもしれないけど(笑)」。
- COLLABORATION -
印象深いコラボレーションは、華道家のアレキサンダージュリアンによる1ルック
華道家でありアーティストとしても活動するアレキサンダージュリアン(Alexander Jyulian)。2020年秋冬コレクションでひっつき虫の「オナモミ」を使ったルックを作りたいと考えていた際に、知人の紹介で知り合ったという。
2020年秋冬コレクションの出会いがきっかけとなり、そこから3シーズンに渡りコレクションの1ルックをアレキサンダージュリアンが担当している。テーマとやりたい事を伝えた先は、すべてお任せで作ってもらっているため、デザイナー自身も本番までどうなるのか分からない”サプライズルック”になっている。「環境だけセッティングして後は遊んでもらう枠は、プロダクトアイテムも含め増やしていきたいと思っている」と村上亮太は語る。
- HISTORY -
アトリエ「K’sK」と作り上げた2020年秋冬コレクションがブランドの重要歴史
アトリエ「K’sK」との初の取り組みとなった2020秋冬コレクションは、緊急事態宣言により東京コレクションが中止となったシーズンでもあった。コレクション発表の延期を考える中、「こういう時だからこそ発表した方が良い」というK'sKからの声もあり、無観客でショーを開催することを決めた。デザイナーは「ショーを決行できるか分からない中、たくさんの方の協力により発表できたコレクションだった」と振り返る。ブランド初となるデジタルでの発表は、多くの人にブランドを知ってもらうきっかけになり、これまでで一番反響の大きいコレクションとなった。
主要年表
【2022年】
「Rakuten Fashion Week TOKYO 2022 A/W」で2022年秋冬コレクションをショー形式で発表。
「TOKYO FASHION AWARD 2022」第7回受賞デザイナーとして、パリ・ウィメンズ・ファッション・ウィーク期間中の9月29日から10月4日の6日間にわたり、パリ・マレ地区に開設した「showroom.tokyo in Paris」で2023年春夏コレクションの展示会を開催。
【2021年】
2021年秋冬コレクションでは、ルックと合わせて写真家の森栄喜が撮影した映像を公開。
【2020年】
一人の作品としてではなく複数の人が関わっているプロジェクトとして見て欲しいという思いから、ブランド名を「ピリングス」に改名。2021年春夏コレクションで、改名後初のファッションショーを披露。
トリエ「K'sK」代表の岡本啓子と、ニットスクール「アミット(AMIt)」をデザイン・クリエィティブセンター神戸(KIITO)に開校する。
【2019年】
「悪夢」をテーマに発表した2019年秋冬コレクションで、2016年から休止していたメンズが復活。
【2018年】
経済産業省資源エネルギー庁が立ち上げた省エネを強化する仕組みを創出することを目指す「セーブ ザ エネルギー プロジェクト(SAVE THE ENERGY PROJECT)」の取り組みの一環で、山縣良和のプロデュース協力のもと「大阪のおばちゃんとガーリー」をテーマにファッションショーを行う。
【2017年】
母・村上千明と共同でブランドを展開してきたが、2018年春夏コレクションから村上1人でデザインを手掛けるようになる。2018年春夏では、コルセットを外してパーティー出かける女性像をイメージしたコレクションを発表した。
【2016年】
母・村上千明の新作絵画や過去のデザイン画、ブランドのアーカイヴ作品を展示する企画展「村上千明の絵画展」を阿佐ヶ谷のTAV GALLERYで開催。また、フジテレビ系バラエティ番組「アーホ!」に出演したことで、業界外からも注目を集める。
【2015年】
「ファッション界のオリンピック」とも呼ばれている「インターナショナル ファッション ショーケース(International Fashion Showcase)」に、山縣良和率いるデザイナーチームの1人として参加。18カ国と1チームが参加し、ロンドンの日本大使館でクリエイションを競った。
【2014年】
母・村上千明と一緒に「リョウタムラカミ」を立ち上げる。ファーストコレクションとなる2015年春夏コレクションは、「東京ニューエイジ」の1ブランドとして渋谷ヒカリエを会場にプレゼンテーションを発表。また、渋谷ファッションウイークのプログラムとして開催されたストリートファッションショーに参加し、ブランド初となるランウェイショーを披露した。
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