ヴィンテージ素材に箔や染めをあしらう一点物シリーズを展開する「ユキ フジサワ(YUKI FUJISAWA)」。2021年春夏シーズンはデザイナー藤澤ゆきの父・緑朗氏が主宰するメンズブランド「ハンドルーム(HAND ROOM)」とのコラボレーションで初となるメンズアイテムを発表した。"親子コラボ"の背景をハンドルームのデザイナー岡田安彦との対談から紐解くとともに、商品ラインナップとこだわりのポイントを聞いた。
ユキ フジサワとハンドルームを知る
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FASHIONSNAP.COM(以下、F):はじめに、それぞれのブランドについて教えてください。
ユキ フジサワ 藤澤ゆき(以下、藤澤):ユキ フジサワはテキスタイルレーベルとして活動していて、普段は「ニューヴィンテージ」というタイトルでヴィンテージ素材を箔や染めでアップサイクルする一点物のアイテムを展開しています。他にもテキスタイルや広告の図案提供など、企業とのコラボレーションにも取り組んでいます。
ハンドルーム 岡田安彦(以下、岡田):ハンドルームは5年前に立ち上がったメンズブランドで、運営は藤澤さんのお父様の会社で僕も在籍するエブリマンが手掛けています。ブランドでは僕がデザインとパターンの両方を担当していて、長く着用できる上質なベーシックアイテムを提案しています。
F:今回コラボは藤澤さん親子で協業という形になりますが、きっかけは?
藤澤:私の制作活動に紐づくのですが、以前から父のシャツが汚れた部分に箔プリントの加工を個人的にしてあげていて、実際に着た姿を見たら、箔を組み合わせたベーシックアイテムを父親の世代の男性が着ているのもいいなと思っていたんです。岡田さんとは昔からの知り合いで、ミリ単位でクオリティを追求するものづくりを近くで見てきて信頼できるなと思っていたので、今回のTWO:REVERSEの企画に合わせてコラボを打診しました。
岡田:僕も藤澤さんのものづくりをずっと見てきましたから、この企画でコラボできたのは純粋に嬉しかったですね。ハンドルームも10年単位で着てもらえる服を目指しているので、藤澤さんのブランドやコラボのコンセプトにもマッチしていると感じていて。普段はベーシックに徹底しているので、箔プリントでデザインを加えるというのはハンドルームとしても新しい取り組みになったと思います。
F:アイテムはどのようなフローで作られたのでしょうか?
岡田:ハンドルームのアイテムをベースに、藤澤さんが1点ずつ箔加工を施しています。5型のうち、ブロードシャツとTシャツ以外は2021年春夏シーズンの新作アイテムをアレンジしています。シルエットを少し調整していて、イージーケアの素材を選びました。
F:藤澤さんは箔のデザインで意識したことはありますか?
藤澤:ユキ フジサワではパッと明るくなるように箔をしっかり乗せているのですが、今回は男性の方が着るので、ラフに着れるようにかすれたデザインにしていて、プリントした箇所も目立ちすぎないように襟や胸元など部分的に入れています。色はゴールドとシルバーのほか、中間色としてシャンパンゴールドを使いました。シャンパンゴールドは色味が落ち着いているので、年代を問わず取り入れやすいと思います。
F:初のメンズアイテムの製作で苦労した点は?
藤澤:箔は印象に残るものですし、配置によっては主張が強くなりすぎてしまうので、バランス良く配置するのが意外と難しかったです。岡田さんにも相談しながら決めました。
岡田:でも藤澤さんはお父様の仕事でメンズのルックをずっと見てきているからか、センスを感じましたね。やはり只者じゃないなと(笑)。
F:ユキ フジサワのレーベルでは箔加工のリペアサービスをやっていますが、今回のコラボアイテムも対象になりますか?
藤澤:はい。また、今回はお客様がご自宅のアイロンを使ってご自身で箔プリントを楽しんでいただけるように、ハンドルームとのコラボ限定で下げ札にゴールド、シルバー、ブロンズの箔3色セットを付ける予定です。
F:コラボアイテムはどんな方に着てもらいたいですか?
岡田:ハンドルームでは今まで若い方に着ていただく機会が少なかったのですが、ルックのモデルに起用した若手俳優の倉悠貴さんが想像以上に似合っていらっしゃったので、若い世代の方にも着てもらいたいですね。
藤澤:初のメンズコレクションと打ち出していますが、性別や年齢関係なく着てほしいです。着ていて楽しい気持ちでいられる服は、そのお客様に似合っていることが多いですから。なのでメンズブランドとのコラボだけど女性の方にも着てもらいたいし、パートナーとシェアしてもいいと思う。自由に心地良く着ることを楽しんで欲しいですね。
岡田:XSはウィメンズのMくらいのサイズ感なので女性の方も楽しんでいただけると思います。
F:11月1日からは3日間限定で試着会も開催されます。藤澤さんと岡田さんも会場に立たれるそうですね。
藤澤:岡田さんがこだわりのディテールを細かく説明してくれるはずなので、直接そういった話を聞けるのは試着会ならでは。楽しい時間になると嬉しいです。
■HAND ROOM×YUKI FUJISAWA 2021ssコレクション試着会
会期:2020年11月1日(日)〜11月3日(火)
時間:13:00〜18:00
場所:有限会社エブリマン
住所:東京都渋谷区元代々木町4-6 TMKビル3階
電話: 03-3481-8347
入場無料
【新型コロナウイルス対策へのお願い】
・ご来場の際はマスク着用、入り口での手指消毒のご協力をお願い致します。
・微熱やせきの症状がある方はご来場をご遠慮ください。
・会場スペースの都合上、2名様以内でご来場ください。
・接触を避けるため一時的にご入場をお待ちいただく場合がございます。
#1:Short Regular Shirt
Short Regular Shirt(ホワイト1色展開、税別2万8000円)
F:コラボコレクションのアイテムについて深堀りしていこうと思います。まずはこちらのシャツから。ブランドの立ち上げ時から継続展開している定番アイテムとのことですが、特徴を教えてください。
岡田:超長綿の中でも最高級のエジプトコーマ糸で紡績された160番手双糸で織られたブロードクロスを使っていて、軽くて繊細な生地の良さを生かすために、なるべく表にステッチを出さないパターンを設計しています。ステッチ自体も従来のレギュラーシャツは縫い目の針数が最大で21針ですが、このシャツは24針とさらに細かく打っています。着ていても気が付かないところだとは思いますが、こういう細かい作りが着心地の良さにつながるんです。
F:シャツ地にしては柔らかいですね。着心地が良さそうです。
藤澤:私の父もこのシャツを長く愛用しているんですが、生地が傷みにくいんですよね。
岡田:洗濯して外で干すというシーンを考慮したものづくりをしているので、基本的に既成品でもワンウォッシュかけて縮みを取っていますし、何回着て洗っていただいても品質を維持できるようにしています。
F:胸ポケットのデザインも特徴的です。
岡田:ポケットを付ける時、普通は表からステッチで留めるんですけど、これは内側にミシンを入れて縫い止める中縫いの手法を使っているんですよ。難しいテクニックですし、ポケットの形としては違和感があるかもしれませんが、長く着る中で職人技に気付いてもらえたらいいなと思っています。
F:どちらの工場で生産されているんですか?
岡田:福島にある国内有数のシャツ専業工場 グリーンクレストで縫製されています。僕らはこの工場と付き合いが長いので、ここでしかできないものづくりを踏まえた上で作ったのがこのシャツです。
F:シルエットのこだわりはありますか?
岡田:男女問わず30代くらいからお腹やお尻周りにボリュームが出始めてたりして徐々に体型が変わっていきますが、そういった変化がシルエットに現れないようにパターンを引いています。時代に合わせて僕なりに少しずつアレンジを加えながらシーズンごとにシルエットを調整していて、今季は若干ゆったりとした設計にしています。
F:箔プリントは袖に施していますね。
藤澤:カフス全体ではなく剣ボロにだけ、ポイントで箔をプリントしました。ボタンもあるので、コレクションの中で箔を付けるのが一番難しかったです。
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#2:ポケッタブル オーバーシャツ
F:先ほどのシャツと比べてゆとりがあるシルエットです。
岡田:これは今季の新型です。夏はTシャツなど薄着で過ごすことが多いと思いますが、肌寒くなった時に羽織れるシャツが欲しいなと以前から考えていて。コンセプトにはコロナの影響も少し反映されていますが、日常生活で衣服に求める機能性と使いやすさを重視したアイテムに仕上げました。
F:素材にはナイロンを使用していますね。
岡田:雑に扱ってもシワにならず、軽防水性も備わっているのはナイロンならでは。一部のパーツに綿素材を取り入れることで熱がこもらないようにしたり、腕を動かしやすい設計でディテールにこだわりました。一番の特徴はポケッタブル仕様。ポケットに収納した時もきれいに見せられるシャツをずっと作りたくて、設計には時間がかかりました。
藤澤:ポケットに収納しても縫い目が外に出てこないのがスタイリッシュでいいですね。
岡田:市場に出回っているポケッタブルウェアは袋がぶら下がっているデザインが多いのですが、必要のないディテールはいらないなと。定番的なアイテムはそういうものだと思っていて、これもハンドルームで定番化していけたらと考えています。
F:コラボでは襟の部分に箔プリントを施していて、先ほどのシャツとは印象が大きく変わりますね。
藤澤:他のアイテムは下部に箔を入れていますが、このアイテムは素材的にも若い人にも着てもらえそうだと感じたので、インパクトのあるデザインにしたくて顔周りに近い部分にプリントしました。ベーシックなデザインですが箔によって華やぐので、主役級のアイテムとしてコーディネートに取り入れていただけると思います。
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#3:ポーターシャツ&フィールドショーツ
F:続いてはカジュアルなデザインのシャツとショーツのセットアップです。
岡田:「荷物を運ぶ時に手ぶらでも使えるシャツ」というコンセプトで、ホテルなどのポーターをイメージして「ポーターシャツ」という名前をつけています。コンセプト通り、ポケットの収納を充実させました。
F:背中にも大きな収納スペースがあります。
岡田:この型は昨年も展開があったのですが、ハンティングジャケットのディテールをシャツに応用しました。スナックやカップラーメンも入るサイズ感なので、コンビニにも手ぶらで行けちゃいます。
F:背面にはDカンがあしらわれていますが、これも新たに追加されたものですか?
岡田:そうです。ハンガーにかけなくてもフックの部分で引っ掛けられるようにしました。
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F:ショーツのポイントは?
岡田:パンツにもポケットを6つ付けていて、かなり収納力があります。
藤澤:ウエスト部分には鮮やかなロープ紐を使っているんですよね。
岡田:アウトドア感を出したくて。紐が抜けないように二重のホールにしています。
藤澤:なるほど、だから少し前から見えるデザインになっているんですね。
岡田:そうそう。一重だと中に入っちゃうと取れなくなるし、プラスチックの留め具を使うとアウトドアっぽくなり過ぎてしまうので。
F:実際にアウトドアウェアなどを参考にしたのでしょうか。
岡田:個人的にアウトドアブランドのショーツが好きで毎シーズン履いているんですが、足が上げにくかったりポケットが使いづらかったりしたので、今回のアイテムではその問題をパターンで解消しました。昨年も違う素材で販売したんですけどすごく評判が良くて。ただ、僕らはアウトドアではなくタウンユースのブランドなので、今シーズンはコットンとナイロンの混紡生地を使うことで、アウトドアの雰囲気になりすぎないように気をつけました。
F:ショーツは右側にだけ箔が入っています。
藤澤:セットアップで着た時の統一感を意識しつつも、セットアップを買う人は多くないかもしれないので、単品でもしっくりくるデザインにしました。
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#4:ショートスリーブTシャツ
F:Tシャツもハンドルームの定番商品ですね。
藤澤:私もこのTシャツを何枚も持っているんですよ。サイズはいくつあるんでしたっけ?
岡田:定番のShort Regular Shirtと同様に5サイズを展開しています。素材はポリエステル100%なんですが、綿素材のような質感が特徴です。洗濯してもすぐに乾くしシワにもならないので、出張や旅行におすすめです。
F:背面の襟ぐり部分のデザインのポイントは?
岡田:Tシャツは繰り返し脱ぎ着しているうちに襟がよれてシルエットの崩れにもつながるので、長く愛用していただくために、襟ぐり部分の生地を切り替えることによって伸びを分散させています。
F:脇のラインが目を引くデザインですが、目立たせているのはなぜですか?
岡田:縫い代のアタリを内側ではなく外側に出していて、それを敢えてデザインのポイントにもしています。脇のラインが後ろに少し回った立体的なパターン設計にしているのは、お腹が出ていても目立たないように前身頃にゆとりを持たせました。
F:胸元の箔プリントが上品な印象を与えますね。
藤澤:Tシャツは5色展開で、ホワイトにはゴールド、ブラックとグレーにはシルバー、ベージュとオリーブにはシャンパンゴールドの箔と、3色の箔をすべて使いました。
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#5:トートバッグ
F:ユキ フジサワ定番の一点物のトートバッグがコラボコレクションでも展開されるんですね。
藤澤:今回のコレクションの差し色になるように、チャコールグレー、ブルー、ピンクの3色を用意しています。お届けする時期が2〜3月頃なので、色合い的にも春らしくていいなと。ウェアは受注生産ですが、トートバッグは各色3点、計9枚の限定販売です。
F:服がベーシックなデザインなので差し色が入ると印象がガラッと変わりますね。
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■その他、予約購入サイト「TWO:REVERSE」ではHAND ROOM×YUKI FUJISAWA 2021SSアイテムのプレオーダーを受付中!(11月8日まで)
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