
綾女欣伸
Image by: FASHIONSNAP
「ウェブと紙の中間をいくメディア」として2012年にスタートした『アイデアインク』。山縣良和+坂部三樹郎やレスリー・キー、園子温、Chim↑Pomといった話題の人物を著者に迎え、約2年の間に10号まで刊行してきた。同ブックシリーズの生みの親で、菅付雅信氏とともに編集を手がける朝日出版社の綾女欣伸(あやめ・よしのぶ)氏は、音楽業界出身の36歳。「ぶっとんでいる人が好き」と語る綾女氏に今回、『アイデアインク』というフィルターを通し表現する"これからのアイデア"を聞いた。
■音楽業界から転身
―学生時代は何をしていたんですか?
大学在学中からモーテル=ブルーというインディーズの音楽レーベルでアルバイトをしていました。今ではサカナクションやKANA-BOONが所属するヒップランドミュージックの中に入っていたこともありますが、大学卒業後も2年ほどそこで働いていました。
―転職の理由は?
音楽業界はやる気と体力さえあれば大きなビジネスに挑戦できます。だからこそ「歪(ひずみ)を持っているな」という印象がありました。昔は「(机に使う)段ボール1箱と電話さえあれば出版社は立ち上げられる」と言う人もいたくらい、本の場合はもっとコンパクト。基本は作家さんに原稿をお願いして入稿するというコンパクトな仕事の中で創造性に関わる方が、自分には向いているかもしれないなと思ったのが転職のきっかけです。朝日出版社に入社したのは2006年、29歳の頃ですね。
―転身後、まずはどんな仕事から始めたんですか?
主にノンフィクションの単行本を作る部署で、上司の企画と平行して自分で立てた企画の編集も少しずつできるようになっていきました。その中で菅付さんと一緒に仕事をする機会があって、『カルチャー・スタディーズ』というシリーズの第2期、『ヨガから始まる』(ケン・ハラクマ)や『文化に投資する時代』(亀田卓+寺嶋博礼)といった本を作りました。このシリーズの第1期(2002年〜)では、佐藤可士和さんに装幀をお願いして『ファッション: ブランド・ビジネス』(山室一幸)や『アート: "芸術"が終わった後の"アート"』(松井みどり)などを発行していたんですが、こうした本の源流は、1980年代半ばに朝日出版社が刊行していた『週刊本』というペーパーバックのシリーズにまで遡れます。「週に1回、本を出す」というめちゃくちゃなスピード感で、更紙に印刷したコンパクトな内容の本を出す。アイデアインクもこの『週刊本』の姿勢を継承しているところがあります。
―その後、アイデアインクの刊行準備へ?
朝日出版社にはコミックや著名文学作家といったドル箱コンテンツがあるわけもなく、新書や文庫もないので、もっと挑戦しないといけないという気持ちは常に持っていました。『週刊本』や『カルチャー・スタディーズ』といった、シリーズという本の連続性で時代を切り取っていくような企画を再び形にしたいと考えていたこともあり、現在の第5編集部への異動をきっかけに2011年からアイデアインクの創刊準備に取り掛かりました。出すレコードやCDのラインナップで姿勢を表現するインディーズレーベルにいたことも大きく影響していると思います。

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