ヴァージル・アブローが生前に手掛けた「ルイ・ヴィトン」ショー開催 マイアミの空に浮かんだ「Virgil was here」のメッセージ
ショー会場に出現したヴァージル・アブローの像と気球
Image by: LOUIS VUITTON
ショー会場に出現したヴァージル・アブローの像と気球
Image by: LOUIS VUITTON
ヴァージル・アブローが生前に手掛けた「ルイ・ヴィトン」ショー開催 マイアミの空に浮かんだ「Virgil was here」のメッセージ
ショー会場に出現したヴァージル・アブローの像と気球
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ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の急死という世界に衝撃を与えたニュースの2日後となる12月1日、生前にヴァージルが手掛けた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズコレクションのランウェイショーがマイアミで開催された。気球や紙飛行機、レインボーカラーのライトと花火といった演出が、ヴァージルの純真と憧れ、可能性や自由な発想を体現。テーマでもある「Virgil was here(ヴァージルはここにいた)」を心に刻む一夜となった。
ヴァージルの精神を尊重し想いを引き継ぐ
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今回のショーは、6月に映像で発表した2022年春夏コレクションに新たなルックを加えたスピンオフショーとして、アートバーゼルの時期に合わせてマイアミで開催するよう準備が進められてきた。アーティスティック・ディレクターのヴァージルが急逝したのは現地時間で11月28日だったが、イギリスのメディアBOFによるとヴァージルの遺志と妻シャノンの望みを受け、ショーをキャンセルすることなく予定通りの実施に至ったという。現地にはカニエ・ウェスト(Kanye West)やファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)など親交の深かった友人らも駆けつけ、ヴァージルによるクリエイションを見届けた。
ルイ・ヴィトンの最高経営責任者マイケル・バーク(Michael Burke)は開催に際し、「ヴァージルは慈悲と情熱とともに献身的にコミュニティを支持し、不可能はないという信念を持つ永遠の楽観主義者でもありました。私たちルイ・ヴィトンはヴァージルの精神を尊重し想いを引き継ぎ、マイアミでの最後のショーで彼のレガシーに誇りを持って賛辞を送ります」とメッセージを送った。現地ではバークCEOによるスピーチも行われ、15年前に東京でNIGO®にヴァージルを紹介されたというエピソードを明かしている。
気球と紙飛行機に込められたメッセージ
会場となったマイアミ・マリーン・スタジアムの一角には、キャンバスを抱えたヴァージルの像が立てられ、その視線の先に赤い気球を浮かべた。海に浮かぶ森のように木々が植えられたランウェイは、ヴァージルによるルイ・ヴィトンのデビューショーを思い起こさせるレインボーカラーのライトで照らされ、その中心に飛び立とうとしている黒い紙飛行機のオブジェを配置した。
過去にもメンズコレクションに関連するモチーフとして、飛行機やバルーン、凧などを用いてきたヴァージル。その創作活動における"フライト"のモチーフは、永遠の憧れの象徴。社会の慣習にとらわれる前の若い人々に可能性という概念を注ぎ込み、自由な発想をうながすというメッセージが込められているという。
冒頭のティザームービーで描かれたのは、一人の男子が空を見上げて気球を追いかける、ヴァージルの子ども心を体現したようなストーリー。続いてランウェイでは、ヴァージルの肉声が流された。
芸術と創造性の観点から、私は大人が再び子どものように振る舞うことにフォーカスしてきました。驚きの手がかりに戻れば、頭を使うことをやめて、想像力を働かせるのです。
境界線のない自由な服
2022年春夏コレクションは、史上最もサンプリングされている6秒のドラム・ブレイク(ドラムソロ)の「アーメン・ブレイク(AMEN BREAK)」をタイトルに発表されたもので、今回新たに7ルックが加わった。サンプリングと再サンプリングを繰り返し、変革しながら伝承されてきたアーメン・ブレイクのように、誰もが知っているような典型やサブカルチャーの文脈、さらに再文脈化を同時に強調することを試みている。
伝統的なラグジュアリーコードに進化する価値観を吹き込んだテーラードスーツとトラックスーツをはじめ、ワンピースやスカート、チェッカー柄やタイダイ染めといった、あらゆる境界線を曖昧にする自由な提案。ヴィヴィッドなグリーンやピンク、レインボーカラーなど、コロナで落ち込む世界に鮮やかさを取り込むカラーリングが際立つ。
新たに追加された7ルック
また、6月の発表時に話題となった鯉のぼりを模したデザインのバッグなど、豊富なバリエーションのアクセサリー、そしてファンが熱い視線を注ぐ「ナイキ(NIKE)」とのコラボレーションによる「Air Force 1」も登場。ナイキとはこれまで長く協業してきたヴァージルだが、今回のコラボは一際注目を集めている。
「ヴァージルはここにいる」
スタンディングオベーションとなったランウェイのフィナーレに登場したのは、ヴァージルとともに働いたアトリエのスタッフたち。肩を抱き合い、涙ぐむ姿も見られた。そして再びヴァージルの肉声が流れる。
リミットなんてありません。人生はとても短く、他人があなたに対してできると思っていることよりも、あなた自身が何ができるかを知るために、一日たりとも無駄にすることできないのです。
ショーが終わると、ヴァージルを偲ぶ観客らが見上げる空に大輪の花火が打ち上げられ、ドローンで形作った「Virgil was here」の文字が現れる演出も。儚くも強い光、不在をモノともしない完成されたクリエイションは「Virgil was here(ヴァージルはここにいた)」ではなく、「Virgil is here(ヴァージルはここにいる)」と観客の心に焼き付けた。
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