
映画「サンローラン」http://saintlaurent.gaga.ne.jp/ (C) 2014 MANDARIN CINEMA - EUROPACORP - ORANGE STUDIO - ARTE FRANCE CINEMA - SCOPE PICTURES / CAROLE BETHUEL
おしゃれ上手が「年代物」に熱を上げ始めた。ヴィンテージや古着は以前からファンが少なくないが、コーディネートのスパイスや隠し味として巧みに取り入れる人が増えてきた。広がるニーズを追い風に、専門ショップも増加。ネット通販でもユーズド部門が盛り上がっている。ややレトロな空気をまとえるのに加え、時空を飛び越えたムードを呼び込めるとあって、ヴィンテージ・古着は「新・おしゃれ必需品」になっていきそうな気配だ。(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江)
2011年に惜しまれつつ営業を終えていた、伝説的な古着ショップ「DEPT(デプト)」は4月に東京・中目黒で「DEPT TOKYO(デプト トウキョウ)」として再オープン。さらに2号店「DEPT@VACANT(デプトアットバカント)」も8月、原宿にオープンした。創業者・永井誠治氏の娘で、「mother」のデザイナーであるeri氏がリスタートした。
「DEPT TOKYO」を手がけるeri氏は「個人的には以前よりも古着に『価値のあるもの』という見方が高まってきているような気がします。古いもの、自分だけの一点もの、というところに価値を見いだされてきているのは好ましいと思います」と見る。初心者がヴィンテージや古着を取り入れるにあたっては、「ベーシックなものこそ古着で、と私はいつも思っています。シンプルなニット、カットソーからまず手に取ってみて、そこから少し冒険をしてデザイン性のあるものに挑戦してみるのがいいかも」とアドバイスしてくれている。
原宿の「LOSTHILLS(ロストヒルズ)」も復活組だ。1996年にオープンし、2011年まで続いた。4年を経て15年10月、同じ原宿に戻ってきた。

マーケットはネット空間にも広がり始めた。ファッションECサイト最大手のスタートトゥデイは子会社を通じて、ブランド古着を扱うサービス「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」を運営している。4,000近いブランドの古着を扱うネット上のセレクトショップ。売りたい品を宅配便で送るだけで、丁寧に査定してもらえるうえ、売らない場合も返却送料がかからない。
「手が届くハイセレクト」と銘打って、サイバーエージェントはスマートフォン向けアプリ「Ameba古着屋」を立ち上げた。「RAGTAG」をはじめとするユーズド業界の有力店を束ねたプラットフォームだ。古着でトータルコーディネートを組んで、まとめて売る通販サイトも登場した。「fripie(フリピエ)」は全アイテムをコーデ済み状態でのセットで販売している。モデル着用写真が載っていて、着映えが分かりやすい。

リアル店舗を構える有力セレクトショップの間でも、古着・ヴィンテージ熱が高まってきた。新作に混じって、ユーズド物のコーナーを設けるセレクトショップが相次いでいる。西武百貨店の池袋本店は10月に自主編集売り場をリニューアルした際、期間限定で古着店を迎えた。古着・ヴィンテージが定着しているパリでは、有名百貨店に以前からユーズド売り場が設けられていて、ショッピングの選択肢を提供している。
ファッションが重要な役割を演じた映画でも、古着・ヴィンテージのよさがクローズアップされた。女優ブレイク・ライヴリーが主演した『アデライン、100年目の恋』では、29歳のまま年齢が止まった主人公女性が100年以上も生き続ける。現代の彼女は過去100年分の歴史的ワードローブを持つに至っていて、複数の異なる時代の服をミックスするタイムレスな着こなしを披露する。モードの巨匠、イヴ・サンローランの伝記映画『サンローラン』の中でも、イヴ・サンローラン氏が仲間の女性を見て、古着やおさがりを組み込んだスタイリングを気に入るシーンがある。

お得感とレア度が買われて、以前からおしゃれ好きの間で支持されてきた古着・ヴィンテージだが、近頃は70年代リバイバルの追い風もあって、再評価が進んでいる。他人とかぶらない一点物を好む傾向や、流行に左右されない装いを求める態度、物を使い捨てにしないエコ意識なども古着・ヴィンテージへの関心を高めた。気負わない風情の「エフォートレス」、全体のなじみ具合を重視する「こなれ感」志向も古着・ヴィンテージに目を向かわせたようだ。
古着・ヴィンテージをコーデに加えると、全体が落ち着き、自分好みのムードに整えやすい。特有のタイムレスな表情は装いに深みや特別感をもたらす。手持ちワードローブから別の雰囲気を引き出す「裏技」としても重宝する。ブランドや価格にこだわらない、いい意味で「自分本位」のスタイリングが浸透する中、新作が持ち得ない「時代感」と、物を大事に使うよろこび、宝探し的に巡り会えた幸福感などを兼ね備える古着・ヴィンテージはさらにファンを増やしていきそうだ。
■宮田理江 - ファッションジャーナリスト -

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビなど数々のメディアでコレクションのリポート、トレンドの解説などを手掛ける。コメント提供や記事執筆のほかに、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南書『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』がある(共に学研)。 http://fashionbible.cocolog-nifty.com/blog/
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