【スニーカートップセラーに聞く】2021年のベストスニーカーとこれからのシューズ事情-mita sneakers 国井栄之-
国井栄之
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今年のスニーカー市場を振り返って
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F:今年のスニーカー市場を振り返って頂きたいと思います。コロナの影響はまだまだありましたか?
国井:お客さんにはわからない部分だったと思いますが、一番大きいのはベトナムのロックダウンによる商品遅延や生産停止。サンプルも作れない状況で、展示会へ行ってもほとんどアイテムが並んでいない。来年、再来年の企画も白紙になったり、今まで取扱店舗を広げて販売していたモデルを自社の店舗だけで売るようになったり。緊急事態宣言中も昨年からECなどで対策をしていましたが、流石に商品がないと商売にならないので、今も正直てんやわんやですね。
F:ベトナムのロックダウンは現在解除されていますが、その様子だとしばらく影響を受けそうですね。
国井:ベトナム製以外は関係ないんじゃないのか、とよく言われますがそうでもなくて。アジアで作ったツーリングやソールユニットを、縫製だけ日本で行うこともよくあるので幅広く影響を受けています。販売予定時期から3ヶ月くらい遅れることが基本になっていますね。
F:納期遅れに関してシューズは服と比べると販売時の影響を受けにくい印象です。
国井:そうですね。ただ、素材感やカラーで季節感は出てしまうので。実際、次の春夏は販売中止や減産したアイテムも多いです。予定を立ててもこればかりはどうしようもないという感じで、各メーカーのマーケティングチームは凄く大変そうです。日本でもオミクロン株が広がり始めていますし、臨機応変にどれだけ対応できるかという感じですかね。
F:今年はオリンピックが開催されましたが、トレンドへの影響はありましたか?
国井:なかったですね。ただ、オリンピックに関してはいずれかのビッグブランドが目立つというイメージがあったんですが、今回はそうでもなかったというか。というのも、今回一番印象に残ったのは個人的に「オン(On)」だったんですよ。
F:オンはスイス代表の公式ウェアを手掛けていました。
国井:シンプルに格好良かったです。国旗をモチーフにしたデザインが主流の中で、オンは単純に街着でもおかしくないようなデザインで印象に残っています。アメリカの市場データを見ても、何かに特化したプレミアムブランドや、オーセンティックなブランドが伸びていて、「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」「クロックス(CROCS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などをはじめ、少し前から「アグ(UGG®)」や「ホカオネオネ(HOKA ONE ONE)、そしてオンも注目されている。だから僕らはこれまでスニーカー以外のものは取り扱わないと意固地になっていたんですが、今はブランドや取り扱う商品の幅を広げています。
特にここ数年はラグジュアリーブランドからカジュアルブランドまで、様々なコラボのオファーをいただくことがあったんですが、こうしたコラボをきっかけでスニーカーを好きになった人たちがスニーカーに飽きたときに、求めているものを提供しないのは違うんじゃないかと思うようになったんですよ。なので、ティンバーランドの3 EYEとかは昔だったら扱っていなかったんですが、今は展開していますし、クロックスなどの販売も開始しました。あとは来年からビルケンシュトックやオンの取り扱いをリスタートします。しかし、何でもありって訳ではないので僕達が通って来たカルチャーとのリンクやスニーカーテクノロジーの派生など、重要視している点に何も変わりはありません。
F:特化したブランドが伸びている要因は何だと分析していますか?
国井:結局、色々なカテゴリーを跨いでいるブランドでも売れているのはコート系などカテゴライズされちゃうわけですよね。だったらブランドとして最初から特化している方がミタスニーカーズ内での役割としても明確。あと新興勢力にはまだまだ余白があるんですよ。バスケットボールシューズを勝手にスケートに使っていたり、ランニングシューズをファッションアイテムとして着用したり。本来の用途と違う履き方で勝手にユーザーが楽しめるというのは伸び代だと思います。
今後のスニーカー市場はどうなるか?
F:2022年はエア フォース 1が40周年なので、目にすることが増えそうです。
国井:コラボなどが増えてマーケティング的には見る機会は増えそうですが、ミタスニーカーズとしては周年を知らない方々にもきちんと提案できるように努めます。オーセンティックなものだけじゃなくて、シーズナルモデルやコンセプチュアルなモデルも毎シーズン数多くリリースされているので、少しでも視野が広がるような伝え方が出来れば良いなと思っています。
F:一方でダンクはどうなると予想しますか?今年、大量に販売されたことで人気が落ち着くのではないかという話も聞きます。
国井:トレンドではなく定番として根付かせることが出来ればエア フォース 1やエア ジョーダン 1のような存在まで昇華できると考えています。ダンク人気が急激に落ちることはないでしょうが、エア モア アップテンポは急激に人気がなくなったので動向が気になりますけどね。
F:エア モア アップテンポは2017年頃に高い人気を博していました。
国井:元々の人気に加えて「シュプリーム(Supreme)」のコラボが出たことで拍車が掛かりましたよね。今年はエア モア アップテンポの鉄板カラーがいくつか発売されて、売り切れはしたんですが昔だったら即完だったはずなんですよ。ハイプな物として捉えられ過ぎると移り変わりが早くなるし、ピークを過ぎると一気に100から0になることの恐ろしさを感じますね。
F:ミタスニーカーズとしてはブームが去るとあっという間に100から0になる消費スピードの早さを改善したい?
国井:そうですね。世の中、多様性と言っているけれど物の選び方は一辺倒だなと思うんです。若い人たちは多様性に敏感なはずなので、スニーカーの選び方も多角的になって欲しいなと期待しています。若い人たちの着用スタイルを見て、新作コラボのアイデアになることもありますし、自分達も一辺倒の市場を変えられるように提案を続けていきます。売れているものを用意するのも使命かもしれないですが、僕らみたいな小さな店はふざけたことを言い続けることが役割だと思っているので。
F:攻めた提案ですね。
国井:そうですね、つまりは「真面目にふざける」ということです。それこそ、この間の「ルコックスポルティフ(le coq sportif)」と「天下一品」のコラボスニーカーは秀逸でしたよね。企画の段階から話を聞いていたんですが、真剣にふざけている良い例だと思います。あれは企業っぽいふざけかたですが、僕らのような小さなショップはふざけていますという分かりやすさや、解説はいらないと思うんです。だからエキップメントのように全面に出さず、裏テーマでこっそり真面目にふざけていこうと思っています。
■ミタスニーカーズ:公式サイト
■【スニーカートップセラーに聞く-2021-】
■【スニーカートップセラーに聞く-2020-】
■【スニーカートップセラーに聞く-2019-】
前編:atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が選ぶ今年のベストスニーカー5選
後編:atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が語る2020年のスニーカー市場
■【スニーカートップセラーに聞く-2018- 】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も
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