世界最古の薬局がルーツで、800年以上もの歴史を持つ「サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella)」について深掘り。"香りの芸術"と称されるフレグランスをはじめ、創業時の手法や哲学に基づいて作られるアイテムなど、長年愛されるブランドの製品と代表的な香りを紹介します。
世界最古の薬局がルーツ、「サンタ・マリア・ノヴェッラ」とは?
ADVERTISING
「サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella)」のルーツは、1221年のイタリアの古都・フィレンツェにさかのぼります。800年以上も昔、13世紀にフィレンツェに移住してきたドミニコ修道会の修道士が庭園で自ら栽培した薬草を使い、修道院内にある薬局で人々のために製薬・研究を調合したことが始まりとされています。今でも修道士たちが作り上げてきた手法を受け継ぎ、当時のレシピに基づいて生産されています。
本店の販売ホールは、元々修道院内部の教会として使われていたスペースで、16世紀から使用されている薬局製造器具が並びます。クルミ材でできた棚、ネオゴシック様式で飾られたカウンターなど、まるで19世紀建築美術のミュージアムのような歴史的価値が高い場所でもあります。
日本国内の店舗情報
日本第1号店は2001年に北青山にオープンし、2014年に国内旗艦店として銀座に移転。現在フランチャイズ店を含む計19店舗を展開しているほか、公式オンラインストアや各百貨店オンラインストアでも取り扱っています。
代表的なアイテム
ヨーロッパの歴史とともに歩み、現代でも多くの著名人からも愛されるサンタ・マリア・ノヴェッラ。各アイテムはブランドのルーツである「慈悲と癒やし」の思想をもとに、厳しい審査を経て製造されているのが特徴。人の手も時間も惜しみなくかけることや、一切の動物実験を行わないこと、最高品質の原料にこだわり、天然栽培の草花や天然油脂を使用するなど、創立者の修道士たちが作り上げてきた手法と哲学を忠実に再現しています。"香りの芸術"や"癒やしの芸術品"などと称されるブランドの代表的なアイテムを紹介します。
※価格はいずれも税込
1. オーデコロン
Image by: Santa Maria Novella
歴史的名香「王妃の水」(アックア・デッラ・レジーナ:旧サンタ・マリア・ノヴェッラ)を筆頭に、世界中のセレブリティたちに愛され続けているサンタ・マリア・ノヴェッラのオーデコロン。そのいずれもが天然香料をベースにしており、長い歴史を持つレシピをもとに製造されています。
<価格>
50mL:1万2760円
100mL:1万8810円
2. ルームフレグランス「ポプリ」
Image by: Santa Maria Novella
サンタ・マリア・ノヴェッラのホームフレグランスの中でも高い支持を誇るのが「ポプリ」です。数世紀にわたって自社の工房で作り続けられていて、イタリアのトスカーナ地方の丘陵地に自生する葉、根、花、つぼみをミックスした上品でスパイシーな香りが特徴。
40gのポプリが入る香り袋の「シルクサシェ」と90gの容量がある「シルクパース」のほか、ジャー型の「テラコッタポプリポット」などの容器で楽しむことができ、穴を開けて使用する香り袋は車の中や洋服ダンスの中で使用するフレグランスとして、蓋付きのテラコッタポプリポットはS・M・Lの3種類を揃え、ルームフレグランスとして使用するのがおすすめです。容器と合わせて購入することもできますが、容器なしの100gタイプも人気だそう。
<価格>
100g:4840円
ポプリボックス(M):7040円
シルクサシェ:7480円
シルクパース:9350円
テラコッタポプリポット:6160〜1万5400円
3. ローズウォーター
1381年には既に発売されていた「ローズウォーター」は、現存する最古のレシピで作る製品です。発売当時はワインで薄めて飲み薬にしたり、錠剤を飲む時の水の代わりに使用したりしていたそうで、ペストがトスカーナで大流行した際には、家々の消毒として重宝されていたという歴史を持ちます。
ふんわりとバラの香りが楽しめる軽やかな使用感が特徴で、リフレッシュウォーターや、ボディの保湿液、リネンウォーターなどさまざまな用途で使用できます。筆者は寝香水として使い、バラの香りに身を委ねながら寝るのがお気に入りです。ガラスボトルで重厚感があるのも素敵ですよね。
<価格>
250mL:3850円 500mL:6600円
4. バスソルト ザクロ
爽やかな果実の酸味と花の甘さが香るバスソルト ザクロは、20世紀中ごろにヒットしたブランドの代表的アイテム。使用目安はテーブルスプーン1杯で、自然で優しい香りが広がりリラックスのための入浴にピッタリです。また、入浴後には「オーデコロン ザクロ」の香りが肌にほんのり残ります。
<価格>
500g:7700円
5. アルメニアペーパー(紙のお香)
ルームフレグランスとして使えるアルメニアペーパーは、芳香樹脂やオリエンタルスパイスの浸剤を染み込ませたスティック状の紙のお香です。お香のように炎を出さずに燃えていき、空間を優美な香りで満たしてくれます。スパイシーでビターな香りの中に甘さもある上品さが特徴で、消臭効果もあるため生活臭が気になるときに消臭剤としても活用できます。このほかにも、バックの中に忍ばせてふとした瞬間に微かに香りが漂うのを楽しんだり、ポーチや名刺入れなど小物やクローゼットの中に入れたりと幅広い用途で使うことができます。
<価格>
18枚入り:4180円
6. タボレッタ
Image by: Santa Maria Novella
「タボレッタ」は、香りのついたハードワックスに花びらや葉などを閉じ込めたルームフレグランス。すべて手作業で型に流し込み仕上げていて、現在も本国イタリア・フィレンツェの工房で作られている伝統的な製品です。引き出しやクローゼットに忍ばせるだけで、ふんわりと香りが漂います。9種類展開で、香りによって使われているロウの色や花びらなどの飾りが異なるので、お気に入りの香りを見つけるもよし、好みのデザインで選ぶのも楽しいはず。贈り物にもぴったりです。
<価格>
2枚入り:4400円
7. ボディケアライン「Firenze 1221」
Image by: Santa Maria Novella
2021年にブランドの800周年記念として誕生したボディケアラインも完売続きの人気アイテムの1つです。同時にリニューアルした8種類のアイコニックな香りで展開し、香りごとに異なるマスターカラーとデザインを採用しているのもポイントです。シアバターと植物性油を配合した「ボディミルク」と、植物由来の界面活性剤を使用し、細やかで柔らかな泡が作れる「リキッドソープ」、皮膚コンディショニング剤「カレンデュラエキス」が肌に柔軟性を与えるガラスボトルの「ハンドソープ」の3つを揃えています。
<価格>
ボディミルク(250mL):9900円
リキッドソープ(250mL):8580円
ハンドソープ(250mL):8580円
番外編:オーデコロンで人気の香り
サンタ・マリア・ノヴェッラの1番の人気アイテムであるオーデコロンに採用されている香りはどれも洗練された上品さが楽しめますが、種類が多く迷ってしまう方も多いはず。ここでは、迷ったらこれを選べば間違いなし!な8つの香りをピックアップ。ビギナーさんは参考にしてみてください。
アックア・デッラ・レジーナ
- トップ:イタリアンシトラスフルーツ、プチグレン
- ミドル:ネロリ、ローズマリー、クローブ、ラベンダー
- ベース:ムスク
アックア・デッラ・レジーナは、「王妃の水」と呼ばれるサンタ・マリア・ノヴェッラに残る最も古く代表的な香りで、現在のオーデコロンの起源ともなったプロダクトです。この香りはカテリーナ・ディ・メディチが1533年、ヴァロワ朝フランス王アンリ2世のもとへ嫁いだ際に特別に調合され、ブルボン王朝の貴婦人たちの間で大流行しました。
ベルガモットをベースとし、柑橘系のフレッシュさやラベンダーが複雑に重なり、朗らかで儚く、若くして嫁いだ王妃を彷彿とさせる深い香りです。
ポプリ
- トップ:ベルガモット、ビターオレンジ、ローレル
- ミドル:ラベンダー、タイム、クローブ、ローズマリー
- ベース:パチュリ、シダーウッド、ペルー産バルサム
ブランド800周年記念コレクションのアイコニックフレグランスとして登場した「ポプリ」も、サンタ・マリア・ノヴェッラを代表する香りです。トスカーナの丘に咲く植物や果実の葉、花びらの香りを思い起こさせるアロマティックノートが特徴で、トップはローレルの爽やかさに柑橘系が香り、ミドルでラベンダー、タイム、ローズマリー、クローブがナチュラルな雰囲気を生み出します。ベースではシダーウッド、パチュリ、ペルー産バルサムなどで個性的な余韻が楽しめます。
ザクロ
- トップ:ベルガモット、ビターオレンジ、フレッシュスパイス
- ミドル:ザクロのアコード、ローズ、イランイラン
- ベース:オークモス、ラブダナム、パチュリ、ムスク
古代から観賞用・食用に栽培され、キリスト教文化では「希望の象徴」でもあるザクロを解釈して作られた香り。ザクロの木はペルシャから地中海に広がり、ソロモンの雅歌や叙事詩オデュッセイアをはじめとする古代の民話には、肥沃さと豊かさの象徴として登場しています。
フレッシュなスパイスと柑橘系のノートで幕を開け、ミドルノートではローズとイランイランが豊かに調和。ベースノートではパチュリ、ラブダナム、ムスクにオークモスの深みが重なり、スパイシーで甘さがあるエキゾチックな香りを身にまとうことができます。ザクロも「Firenze 1221 Edition」800周年記念コレクションのアイコニックフレグランスの1つです。
フリージア
- トップ:フリージア・アコード
- ミドル:ヴァイオレット、センティフォリアローズアブソリュート
- ベース:アイリス、ムスク
「神秘」と「未知の魅力」の花言葉を持つ南アフリカ原産のフリージアの花から着想を得た香り。爽やかで優雅なフリージア香りで始まり、スミレとセンティフォリアローズのアブソリュート、そしてアイリスとソフトなムスクの香りが豊かに調和し繊細なバランスに魅了されます。
トバッコ・トスカーノ
- トップ:ベルガモット、トスカーナタバコの葉
- ミドル:レザー、アンバー、バーチウッド
- ベース:シダーウッド、ガイアカム、サンダルウッド、ムスク、バニラ
トスカーナのタバコの葉からインスパイアされて生まれた個性あふれる香りは、バニラの甘さの中にスパイシーさも感じさせるウッディ調が印象的。
フローラルとスパイシーの中に甘さが残り、神秘的で柔らかく優雅で心地よい印象で、冬におすすめしたい香りのひとつ。また、ユニセックスに年齢を重ねても楽しめるフレグランスです。
エンジェル オブ フローレンス
- トップ:ピーチ、オレンジ
- ミドル:マリンノート、ジャスミン、ブラックカラント
- ベース:サンダルウッド、バニラ、ムスク
1966年11月4日にフィレンツェを襲った大洪水の40年後、2016年に作られた特別な香り。オレンジとピーチのジューシーさにマリンノートとブラックカラントの甘さが加わり、フレッシュさと甘さが共存したフルーティーなブーケです。
この香りは、甚大な被害を受け被災した街の心と歴史を救済するために世界中から駆けつけ、ぬかるみの中で古文書や美術品の救助活動に奮闘した「泥の天使」と呼ばれた若者たちの勇気と奉仕に捧げられています。
ローザ・ガーデニア
- トップ:ベルガモット、アーモンドブロッサム、オレンジブロッサム
- ミドル:ガーデニア、センティフォリアローズ、フィグリーフ、ジャスミン
- ベース:サンダルウッド、バニラ、ムスク
花の女王であるバラとクチナシの柔らかさとクリーミーさが織りなす幻想的な香り。バスラインやボディトリートメントのアイテム展開で人気を博していた香りで、ブランド800周年に、「Firenze 1221 Edition」800周年記念コレクションのアイコニックフレグランスのひとつとして登場しました。
バラにクチナシ、ジャスミンなど優雅な花々のフレッシュかつフローラルな香りで幕を明け、サンダルウッドとバニラ、ムスクの濃厚な甘さを持つラストノートがすべての香りを包み込み、優美な気持ちにさせてくれます。
ローザノヴェッラ
- トップ:レモン、プチグレン
- ミドル:センティフォリアローズ、ジャスミン、ガーデニア
- ベース:パチュリ、サンダルウッド、シダーウッド、ムスク
ローザノヴェッラも「Firenze 1221 Edition」800周年記念コレクションのアイコニックフレグランスのひとつ。春の目覚めを表現した魅惑的なフレグランスで、5月のサンタ・マリア・ノヴェッラ・ガーデンはこの香りに包まれるそう。シトラスのトップノートが、ローズとホワイトフラワーの甘い香りに調和し、苔、木香にオレガノのグリーンとペッパーが溶け合い、スパイシーでフローラルな爽やかさが広がります。
>>韓国発コスメ「タンバリンズ」を深掘り!知っておきたい注目ブランド
出版社でキャリアをスタートし、記者・編集者として政治経済系のメディアで活動。取材テーマはフェミニズム、ジェンダーなど。現在は米国(NY)に拠点を置き、美容メディアの編集長を経て、ビューティやファッションの領域を中心に幅広い分野で執筆を行う。また、メディアでの経験を活かし、デジタルマーケターとしても活動している。
ADVERTISING
RELATED ARTICLE
関連記事
READ ALSO
あわせて読みたい
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境