ミラノデザインウイークで吉岡徳仁とグランドセイコーが共鳴 展覧会「TOKUJIN YOSHIOKA - Frozen」開催

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ミラノデザインウイークで吉岡徳仁とグランドセイコーが共鳴 展覧会「TOKUJIN YOSHIOKA - Frozen」開催

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 家具、インテリア、デザインの見本市として世界最大規模のミラノサローネ国際家具見本市。35万人以上を世界中から集める同展の期間中には、市内でもミラノデザインウィークとして多くのイベントが開かれ、さまざまなブランドによる文化的発信が注目を集める。

 日本発のラグジュアリーウオッチ グランドセイコーも2018年の初参加以来、ミラノでブランドプレゼンスを発信し続けている。今回満を持して開催したのは、展覧会「TOKUJIN YOSHIOKA - Frozen」。数十年にわたり自然をテーマにした作品を生み出してきた吉岡の新たなインスタレーションと、グランドセイコーのブランドフィロソフィー「THE NATURE OF TIME」はどのようにして響き合うのか。

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吉岡の作品とグランドセイコーの哲学が「共鳴」

 グランドセイコーが今回コラボした吉岡徳仁は、光などの自然現象にかたちを与える作品を生み出すことで知られる。長年、自然にインスパイアされ革新的なものづくりを続けてきた吉岡は、今回のミラノデザインウィークで、「水」から生み出された新たな作品を発表した。

 グランドセイコーのブランドフィロソフィーは「THE NATURE OF TIME」。季節の移ろいによって生まれる日本の自然のさまざまな表情を着想源に、ものづくりを行ってきた。

 光などの自然のエネルギーを可視化することで、デザイナーとして名声を積み上げてきた吉岡が今回挑戦したテーマは「水」。あらゆる生命体も地球も、水があることで存在している。私たちを支えてくれている尊い資源だ。今回の吉岡の作品は、水が氷となり、そして「光の造形」となるアート。人間の感覚を超越するような自然のエネルギーにインスパイアされた吉岡の視点と、グランドセイコーのモノづくりに息づく、季節の移ろいによって変化するさまざまな表情の自然が共鳴する。

 ミラノデザインウィークでは、展示のロケーションも来場者が注目するポイントの一つだ。会期中は、博物館や美術館、イタリア貴族の屋敷などの文化施設が、イベントのために会場貸しをする。芸術を重んじるミラノらしい慣習と言えるだろう。

 今回、グランドセイコーが会場に選んだ「パラッツォ・ランドリアーニ」は、学生が集まるブレラ地区にあり、ミラノの歴史と建築を象徴する建造物。1959年以降、ロンバルド研究所科学文学アカデミーの本部として使用されており、過去から現在まで、学術活動の中心地としてその役割を果たしている。歴史的な知性と次世代の感性が交差するロケーションは、まさにグランドセイコーの哲学を表現する場所としてふさわしい。

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吉岡徳仁の新作、氷の椅子「Aqua Chair」

 吉岡は、長年自然現象やそのエネルギーから着想を得て、人間の感覚を超越するような作品を生み出してきた。

 今回のミラノデザインウィークでは、ミラノ・ブレラ地区の歴史的建造物「パラッツォ・ランドリアーニ」で、水の椅子「Aqua Chair」を展示している。この作品は、風や温度、光などにより、時間の経過とともに人間の想像を超えた形に変化し、最後は地球に帰る。自然のプロセスそのものが表現されたアートで、グランドセイコーの哲学「THE NATURE OF TIME」にも共鳴する。

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インタビュー:Interview with 吉岡徳仁

⎯⎯ どういった思考プロセスで「AquaChair」のイメージが浮かんだのでしょうか。

 「光」を素材として、「形」を超越した作品を生み出したいと考えたとき、水をベースとする構想に辿り着きました。世の中には数え切れないほどの素材がありますが、水は純粋でごまかしが効かない。これ以上のものはないと感じました。

 水は生命の始まりであり、地球を形成する最も重要な物質でもある。水をどのようにして構造化するか、個体とするか。それに対する自分なりの答えが、水を結晶化させた氷でした。水は液体、個体、気体に変化する、透明で決まった形を持たない不思議な物質です。氷の結晶化についてリサーチを続けましたが、知れば知るほど魅了されていきました。

⎯⎯ 「AquaChair」のデザインで意識したポイントは?

 「AquaChair」の形は、デザインの歴史の中でも普遍的なものであるアームチェアをモチーフにしています。椅子の形そのものに意味を与えたくなかったからです。先入観を取り払って、純粋に水の結晶の壮大なエネルギーを表現したいと思いました。試作のプロセスでも、水にこんな表情があり、こんなふうに光をとらえるのだと、人知を超える自然に何度も心を奪われましたね。

⎯⎯ 来場者に楽しんでほしい部分は?

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 この「パラッツィオ・ランドリアーニ」には7台の氷のアームチェアを並べていますが、最初に見る作品が一番氷の状態が良いもので、透明感が際立っています。レンズ効果のある曲面で構成される椅子の形状は、光を屈折させ、美しく解き放つようデザインされています。図面を描き、モックアップを作って綿密に仕上げました。

 氷は姿を変えていく。人間が制御できない自然の力、時とともに変化する詩的な美しさがそこにはあるのです。

 最終的には白濁したり、網目のようなクラックが入ったり。でも僕たちはそれに対してどうすることもできない。水の構造が内部に世界をつくっていて、小宇宙を感じます。この光の彫刻が最終日にどういった姿を見せてくれるのか。僕自身分からないし、楽しみでもありますね。

⎯⎯インスタレーションとグランドセイコー製品との共通点は?

 時計は時の流れを表現する。氷は時間の経過とともに姿を変える。見る人に時間の流れを感じさせるという点で、僕の作品とグランドセイコーは共鳴していると思います。

 「パラッツィオ・ランドリアーニ」の内部空間にはガラスとアクリルで氷のようなショーケースを作り、そこに時計が映り込んで重なり合うような展示としました。グランドセイコーは日本の自然、木々や湖に張る氷からインスピレーションを得た腕時計を製造しています。精緻で丁寧なものづくりで知られるグランドセイコーの哲学と僕のインスタレーションが共鳴し、時計が透明な氷の中に浮かんでいるような幻想的な空間を作り出しています。

⎯⎯ グランドセイコーとの取り組みを振り返って。

 グランドセイコーは自然に恵まれた環境の中で、精緻なものづくりをしています。自然をテーマにする理念に共感し、今回の取り組みが実現しました。「水」という広いテーマに「時」という要素が重なったことで、このインスタレーションは深く哲学的な意味を持ち、有意義なものになったと思っています。「透明」「光」を追い求めるのは僕のライフテーマ。これからも信念を変えることなく極めていきたいです。

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ミラノデザインウィークでも展示、グランドセイコーの新作

 吉岡が全体を監修した屋内の空間には、今年4月に発表したばかりの新作を含むグランドセイコーの腕時計が並んでいる。季節によって変化する日本の自然から着想を得て生み出されるさまざまな表情の「ネイチャーダイヤル」が特徴だ。ガラスケースの中には、止まることのない時の流れを表現した、スイープ運針を備えるスプリングドライブモデルが展示されている。

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 夜明け前のそよ風に揺らぐ諏訪湖の水面から着想を得たダイヤルを備えたモデル(SLGA021)。スプリングドライブ特有の流れるような秒針の動きが角度によって異なる光を反射させるダイヤルと重なり、静かな輝きを放つ湖の景色を思わせる。


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Evolution 9 Collection Spring Drive 5 Days 「SLGA021」

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 2025年4月発表の最新作は、霧ヶ峰高原の澄み切った雪原に林立する樹氷の美しさを、精緻な型打模様で表現したモデル(SLGB003)。光の変化によって煌めく表面加工を施し、シルバーがかったブルーで清々しい空気を通した樹氷を表現している。

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Evolution 9 Collection Spring Drive U.F.A. 「SLGB003」

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 通常、私たちは商品がよく見えるように照らされた店舗で時計を見ることが多い。しかしこの展覧会はそうではなく、天井が高く古典的な装飾に囲まれた空間で催される。歴史的建造物の内部、吉岡の監修により生み出された透明感のある空間でグランドセイコーを眺める時、どのような感情が揺り起こされるのか。これもミラノデザインウィークでしかできない体験と言える。

■吉岡徳仁
1967年生まれ。倉俣史朗、三宅一生のもとでデザインを学び、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。デザイン、建築、現代美術の領域において活動し、国際的に高く評価されている。代表先は東京2020オリンピックトーチのほか、パリ・オルセー美術館に常設展示されているガラスのベンチ「Water Block」、結晶の椅子「VENUS」など。

最終更新日:

■TOKUJIN YOSHIOKA ‒ Frozen
会期:2025年4月8日(火)〜4月13日(日)
会場:Palazzo Landriani (パラッツォ・ランドリアーニ)

text: Miki Honma l edit: Taichi Murata, project management: Ryota Tsuji(FASHIONSNAP)

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