日本は韓国と同様に“本陣”　「ロムアンド」が海外展開の布石として日本に注力する理由

　日本で人気の韓国コスメの筆頭である「ロムアンド（rom&nd）」が、右肩上がりの成長を続けている。コロナ禍でも積極的に新商品を発売すると同時に販路を拡大し、2024年の売り上げは前年比20％増での着地を見込む。さらなるグローバル化を見据える中、日本は韓国に次ぐ主力市場で海外強化の布石として位置付ける。その皮切りとして、原宿で体験型のコンセプトイベント「ロムアンドのおうち」を12月23日から2025年1月2日まで開催。新商品のプロモーション、ブランドの世界観の訴求、口コミを促進する仕掛けでファンとのコミュニケーションを活性化させ、さらなるブランドポジションの確立を目指す。

　日本における韓国コスメ人気が加熱する中でロムアンドが知名度を上げることができたのは、「運」だとロムアンド事業本部長のパク・ヒョンジュン氏は語る。続けて、「上陸当初から日本市場を知り、韓国コスメのノウハウを持っている韓国高麗人蔘社をパートナーに迎えられたのは運が良かった。彼らとワンチームでブランドの良さを引き出しながら日本市場にフィットした施策や流通を共に企画できたことが今日の成長につながっているだろう」と振り返った。

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韓国コスメ「ロムアンド」がコロナ禍でも右肩上がりだった理由

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　バラエティショップやドラッグストアなど1万店以上で展開し、Qoo10や楽天をはじめとしたオンラインでも販売。販路を広げることで、物理的な買いやすさも整備した。またカラーバリエーションや、プロのテクニックを簡単に再現できるシェーディング、アイブロウといった“パーツメイク”アイテムの訴求、アイドルメイクのようなツヤ感やラメの仕上がりの良さといった商品力が、コスメや韓国に興味関心が高い20〜30代を中心に自然な口コミへとつながり、日本での人気を確立した。

　近年では、限定品やコラボ商品、日本限定セットなどローカル市場に向けた企画も継続的に行う。ローソンとの共同開発で2023年にローンチしたミニサイズコスメ「アンドバイロムアンド（&nd by rom&nd）」は発売直後から品薄状態となり、SNSでは“在庫パトロール”を行うユーザーの投稿が多発するなど、“バズコスメ”の常連としても知られている。

韓国発「ロムアンド」とローソンがタッグ　ミニサイズのメイクアップアイテムを共同開発

BEAUTYメイクアップ

　昨今、日韓問わずブランドマーケティングではアイドルや俳優などパワーのあるアンバサダーを起用したプロモーションが主流だが、ロムアンドではブランド創業時から地道なSNS発信を続けている。「SNSはブランド立ち上げ当初から、商品企画やデザインと同じくらい、なくてはならないものとして活用してきた。新商品の企画と並行してキャンペーンコンテンツの会議が進み、SNSを含めた“発信スケジュール”が決まる。地道に商品を紹介し自分たちのコンセプトを伝えるコンテンツをアップし続けたことが、結果的に一時的な認知ではなく安定したブランドポジションを築くことができたのではないか」とパク氏。さらに、リップカラーの“人気オリンピック”や“リップキャラクター診断テスト”などユーザー参加型のコンテンツを企画することで、SNS上での盛り上げや口コミ投稿を促進している。

　そしてこのほど、ブランドの世界観を体験できる場として“ロムアンドのおうち”を開催。日本上陸5周年のファンへの感謝も込め、ロムアンドのコタク（＝コスメオタク）の家を表現したインスタレーション形式を採用した。イメージカラーのピンクを基調に、リニューアル発売する「ザジューシーラスティングティント」や新作の単色アイシャドウ「スライドインシングル」のほかベストセラーアイテムを展示し、会場内のミッションに参加することで限定グッズをプレゼントする。

　オンライン・オフラインで好調なブランドが見据えているのは、日本を含めた海外市場だ。「会社全体の今年の売り上げは、前年比35%以上の成長で着地すると予想している。日本と韓国は同約20%増と好調だ。他の国ではもっと成長しているところもあるが、急激な拡大ではなく徐々に各地域で人気を定着させていくのが自分たちのやり方。日本での成長を他国にも波及させたい」と見据える。「我々にとって日本は韓国と同じくらい重要で、言うなればブランドの“本陣”。人気を確固たるものにし、信頼を得たブランドとして地位を固めることは、そのほかの国に向けた発信にもプラスの材料となる」。日本でのさらなるブランディングのため、今回のイベントのように直接的にコミュニケーションが取れるイベントを積極的に開催する計画で、世界観を発信しブランド理解を深める考えだ。