「RMK」のクリエイティブディレクターにYUKIが就任して早2年。その間に着々と製品リニューアルを進め、この秋ついに、定番品としてのアイシャドウパレットがお目見えします。さらにRMKのアイデンティティーとも言えるファンデーションにも新しいリキッドタイプが仲間入り。そのクリエイションに込めた熱い想いを、YUKIに語ってもらいました。
ーアイシャドウパレットは、クリエイターの個性が最も表れるアイテムだと思いますが、初の定番パレットを作るにあたり、まずはどうデザインしようと考えましたか?
4色アイシャドウパレットを初めてパーマネントラインとして出すということで、「ニューエッセンシャルなパレットを作りたい」と思いました。おっしゃるとおり、4色アイシャドウパレットは本当にそのブランドのカラー、メイクアップのセンターになるものだと思うんですよね。今まで新しいブランドの世界観を伝えてきましたが、それらがぎゅっと詰まった4色パレットを発表するにあたり、基盤をしっかり固めたいと思いました。
ーYUKIさんが言う、ニューエッセンシャルとは?
ニューエッセンシャルというのは、使い勝手を追求しつつ「新しさ」も絶対に感じてもらいたいということ。それをどう表現するかが一番のチャレンジングなところであり、こだわったところでもありますね。
ー具体的なポイントを教えてください。
一番はレイヤリング、そしてコンテンポラリーなムード。色をレイヤリングして奥行きや深みを表現するわけですが、暗くダークな目元を作るのはコンテンポラリーではないと思うんです。4色をレイヤリングすることで、明度を下げるのではなく、質感や色の変化を楽しんでもらう。4色全部を重ねても以前のような暗い目元ではなく、レイドバックなアティテュードを感じさせる、透明感の残る奥行きある目元が簡単にできる、という点をキーポイントに作りました。
ー定番となる基盤としてのカラーが4種、そしてシーズナルな限定カラー2種というラインナップでのスタートですね。
インスピレーションは、リアルな僕の日常で実際に影響を受けているクリエイターや異なる業界の友人たち。彼らたちに「ニューエッセンシャルなアイシャドウパレットを使ってもらいたい」と想像しながら作り始めました。さまざまなパーソナリティがある中で、この人にはこんなアイシャドウが似合うのではないかな、と想像を広げていった感じです。肌にのせた時の色のパフォーマンスや、ケースに収まった状態すべてで表現するRMKの新しい世界観やアティテュードを考慮し、色の微差にはすごくこだわりました。
ーそのこだわりとは?
まずはオーセンティックなものを作りたかったので、定番の4種に関してはニューエッセンシャルな色合いをイメージしました。限定2種については、まさに今この瞬間にエキサイトする色…。実際にプロダクトを製作している時に、ずっとこれらの色が身の回りを囲んでいて、自然に影響を受けていたのかもしれません。この瞬間を楽しんでもらいたいという気持ちで、2種の限定カラーを作っています。
01 Soft Spot
ーニューエッセンシャルとしての配色は、肌の延長にある色?
そうですね。各パレットの右下のシャイニーカラーでキャラクターを立てて、その他の3色はおっしゃるとおり、肌の色の延長上です。ただそれをありきたりなベージュ、ブラウンみたいな感じにはしたくなかったので、例えば右上のカラーはキャメルやトープ、ピーチベージュといった発色のバランスや彩度、マットな質感で表現しています。
ー4色の重ね方は「順番レス」で、パールカラーの上にマットカラーを重ねればパールの粒感が抑えられ、逆に重ねればパールの粒感が際立つ、という自由さが非常に魅力です。レイヤリングの面白さに行き着いた理由は?
僕のアイシャドウの使い方が基本的にそうなんですよね。アイシャドウを何色か混ぜていった時に、「何この色、キレイ!」という、予想できないカラーになったりするのがアイシャドウの楽しさだと思っているので。色の変化や、質感が混ざり合った時の驚き、僕が普段アイシャドウ遊びをしている時のエキサイトメントを、実際に皆さんにも味わってほしい、というイメージで作りました。
ーそれは誰かに教わったテクニックでしょうか?
僕が師匠のチームに参加し、メイクアップに携わっていた2011年〜2012年は、ダークなスモーキーアイの時代。ベースに黒のペンシルを仕込んでスモーキーなシェイプを作って、その上に色を重ねていました。そうするとキレイに発色するんです。そんなオーソドックスなテクニックでスタートしたのが最初かもしれないですね。やがて時代のムードはベージュに代わり、そして今は4つ重ねる。質感と色は変化していくけど、黒くなっていくわけではない。これが今のモダンなスモーキーアイ。スモーキーといえどライトさ、軽さがある。それを表現したいと思うんですよね。
ー今季のテーマ「LOVE MONOCHROME」とはそういう意味?
そうですね。4色を重ねてモノクロマティックな単色の目元を作るという意味と、モノクロームという言葉の響きにクールな印象があるので、そこにLOVEという甘い響きの掛け合いで表現しています。
ー切り出した石にインスパイアされたというパッケージですが、手にしっくりと収まる感触がいいですね。
すごくお気に入りです。「リアル」という発想からきているんですが、リアル=オーガニックなわけではなくて、僕の中では「不完全さが人間らしさ」というメッセージからスタートしています。直線的でシンプルな四角いフォルムですが、断面にぼこぼこしたレリーフを施しています。新しい世界観をまとった製品にはすべて、そのパッケージの一部に不完全さを、リアルな質感を表現しているんです。ケースを並べるとわかるのですが、側面がボコボコなのにピタッとくっついて、不完全なラインが見えてくる。そこから伝わる温度感や、ちょっとした違和感を、肌で感じてもらえると嬉しいですね。
ー人気の「リクイドファンデーション フローレスカバレッジ」に続き、新たなファンデーションも登場しますね。
今回は処方をかなり変えて、ハイカバーなのに素肌美を感じさせるジェルタイプにしています。カバー力を上げるとフィニッシュがマット寄りになるので、粉体の量を少なくして柔らかさ、フロスティなフィニッシュ、肌本来の質感を損なわないというところを追求しています。カバー力が高いものだと、色がぴったり合っていないと浮いてくるので、多くの人にテストしてもらい、微差の付け色にもこだわって全9色を仕上げました。
ー今後のヴィジョンを聞かせてください。
就任から2年をかけてコレクションを加え、少しずつ製品を刷新して、プロダクトデザインも浸透させてきました。いよいよ定番となる4色アイシャドウも発売し、RMKの新しい世界観をより感じてもらえるようになるのではないでしょうか。今後はこの基盤の上にどんどん新しいものを積み上げていける、というエキサイティングな心境です。もっともっと新しいものを作っていきたいし、僕がプロデュースしたものも今後はリニューアルしていきたい。コンテンポラリーな温度を絶えずどの製品にも吹き込んでいきたいと思っています。楽しみにしていてください。
■RMK FALL COLLECTION 2023発売情報
7月12日(水)全国予約開始・先行発売開始(伊勢丹新宿店・阪急うめだ本店・RMK公式オンラインショップ)
7月26日(水)先行発売開始(ジェイアール名古屋タカシマヤ本店・岩田屋本店)
7月28日(金)全国発売
RMK FALL COLLECTION 2023
▼RMK シンクロマティック アイシャドウパレットのきらめきをチェック!
Interview&Writing:木津由美子(ビューティ・ジャーナリスト)
Edit:平原麻菜実(FASHIONSNAP)
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