リチャード・マローン
Image by: Mulberry
ブランド創立50周年を迎えた「マルベリー(Mulberry)」が様々なコンテポラリーデザイナーにスポットライトを当て限定アイテムを展開していく「マルベリーエディション」。そのプロジェクトの一つとして、ロンドンを拠点にする「リチャード・マローン(RICHARD MALONE)」とのカプセルコレクションが発表、翌日から世界中の店舗で発売が開始されました。ポップなカラーリングでモダンにアップデートされたアイコンバッグの着想源とともに、今、サステナブルなアプローチでの服作りやクリエイティビティで注目を集める若きデザイナー リチャード・マローンにインタビュー。
リチャード・マローン
アイルランド出身のファッションデザイナー。2014年にセントラル・セント・マーチンズを卒業後、自身のブランドを立ち上げ。2019年LVMHプライズのショートリストに選出され、インターナショナル・ウールマーク・プライズ2020ではグランプリを受賞。ロンドンで発表しているコレクションは、天然やオーガニックで染色された生地やリサイクルナイロンなどといった厳選した素材を使用した小ロット生産で、そのサステナブルな服作りのアプローチは業界からも高い評価を受けている。巧みなパターンカッティングから生み出される彫刻的なデザインが特徴。
ーマルベリーというブランドの印象は?
ADVERTISING
私にとって憧れのブランドです。また、サステナビリティに関する透明性の追求も素晴らしい。そしてそれを大っぴらにひけらかしたりせずに、長く世代を超えて愛される商品を作り続けていることにも好感を持っています。循環再生型農業の実現や、労働環境、教育制度への配慮はとても大切なこと。マルベリーのような大きなブランドが、独自のマニフェストを掲げ、長年かけて課題に取り組む姿は、素晴らしいですし、また、職人達と彼らの職人技を守ることは、とても重要です。
カプセルコレクションは、9月のロンドンファッションウィーク中にヴィクトリア・アンド・アルバート博物館で行われたリチャード・マローンのランウェイショーで初披露。コレクションピースのカラーパレットに調和する形で、モノトーンや白のパイピングとのコントラストが特徴のバイカラーデザインの「ベイズウォーター(Bayswater)」シリーズや「ダーリー(Darley)」といったバッグが登場した。三角形のベイズウォーターや円筒形のバレルバッグといった"変化形"も。
ーブランドのシグニチャーであるポストマンズロックをも覆うカラーリングが特徴的。どうしてこの色の組み合わせをセレクトした?
色や形はあえて制限し、既存のアイコンバッグに応用することを考えました。シンプルなエントリーレベルのシェイプをキープしつつ、純粋なデザイン要素に落とし込みたかったのです。カラーパレットに選んだ色は、どれも私の好きな色です。レッドとブルーはナイーヴで力強く、ストレートでとてもプレイフル。グリーンとホワイトは上品です。私が関わるもの全てに一貫している色で、私の毎日の生活に溢れている色でもあります。
今回バッグに使用されたエコスコッチグレインレザー(生合成素材)は、再生可能な糖質、でんぷん、トウモロコシ、サトウキビやビーツなどの第一世代原料から作られている繊維を使ったサステナブルな素材。
―レトロだけどモダンなデザイン。既存のデザインをどうアップデートした?
まずマルベリーからオリジナルのベイズウォーターと、新しく作ったコラボレーションバージョンの表側だけのサンプルが届きました。服と同様に試着し、内側と外側をひっくり返してみて仕上がりをチェックする中で、通常は内側にあるディテールを表側に施そうと思ったんです。例えば、パイピングやポケット、大きなステッチなど。ライニング無しのベイズウォーターを含め、いくつかのマルベリーバッグを実際に使ってみて、他になにが必要か探り、エクストラのポケットや、調整可能なストラップ、バッグ口を開けたトートなどを取り付けました。
あとマルベリーが、過去の試作品をデザインレファレンスのために送ってくれたので、主に1970年代のポストモダンデザインを探り、少し時代遅れに思われるものを、どうモダンに出来るかを試みました。
ーキャンペーンモデルは、自身を含めゆかりのある人物たちをキャスティングしたとのこと。
彼らは長年私のブランドに様々な形で関わってくれ、本当にインスピレーションを与えてくれる人たちです。1人1人が個人として、また、それぞれの分野の専門家としてのアイデンティティを持っています。このキャンペーンでは、キャスティングは行わず、私が好きな人たちにWhatsAppを送っただけ。モデル達は自分の服を着て、コラボレーションコレクションの中から好きなバッグを選んで撮影に臨んでくれたので、とてもリアルなスタイリングを見ることができると思います。
リチャード・マローンを知るための9の質問
1. 今どこでもいけるとしたらどこに行きたい?
(故郷であるアイルランドの)ウェックスフォード 特にカラクロー。
2. ロンドンのお気に入りの場所は?
ヴィクトリアパーク。
3. 今回ショーを開催したV&Aの好きなフロアは?
セラミック。
4. 一番最後に再生した曲は?
オーヴィル・ペック(Orville Peck)がポップソングをカバーしているもの。
5. 小さい頃のアイドルは?
ベートヴェン(犬)、シェール、ティナ・ターナー、私の祖父、『ベイブ/都会へ行く』のベイブ。
6. 最近感動したこと
ウェールズ南西部のペンブルックシャー沿岸で見た風景。
7. 最近ハマっていること
考えをまとめるために沢山のポエムとかエッセイを書いてる。
8. 初めて服を作ったのはいつで何を作った?
とっても小さいころ。魔女のコスチュームと、もう一つは使ってみたいと思って作ったパラシュート。どちらも上手くできなかったけど。
9.マルベリーは50周年。将来、自分はどんな50歳になっていると思う?
人に優しく、サポーティブであり、自分たちが変化を起こせた世界を見ていたい。
■Mulberry x Richard Malone
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【フォーカス】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境