「グリーンレーベル リラクシング」のポケット付きセットアップ
Image by: グリーンレーベル リラクシング
同じ価格なのに女性のジャケットには胸ポケットと内ポケットがついていない——そんなツイートから広まった「女性服のポケット問題」。男性服ほど機能的ではない女性服に対するリアルな声がSNS上に集まった。
「感動ジャケット」のポケットについてのツイートが発端に
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女性服のポケットに関する話題の発端は、7月29日に「ユニクロ(UNIQLO)」の「感動ジャケット」について投稿されたツイートだ。
男性のジャケットには胸ポケットと内ポケットがついているのに女性の方には無いということを訴えたこの投稿は、2,700以上のリツイートと8,400以上のいいねが集まり(8月10日時点)、同様の経験や共感の投稿が次々に上がるきっかけとなった。
「感動ジャケット」とは「ユニクロ」が2018年に発売したメンズの商品で、速乾・伸縮・超軽量の人気シリーズ。同素材で展開する「感動パンツ」と組み合わせることでビジネスシーンでも着用できる。今年3月よりウィメンズも登場し、NY発のブランド「セオリー(Theory)」とのコラボレーションによる「感動ジャケット」も話題を集めたところだった。
現在、公式サイトの「感動ジャケット」のレビューにも「女性服にも胸ポケットがほしいです。そのほうが接客中ペンなどをサッと取り出せ、お客様をおまたせしないため便利です」「ビジネスユースジャケットには男性と同じ機能を備えるようにしてほしい」といった要望が寄せられている。
一方で「女性は胸ポケットに物入れると不恰好になってしまう」「曲線的な身体にフィットさせるためにダーツが多く入っているので内ポケットはつけづらいんじゃないかな」という声や「ジャケットの胸ポケットはポケットチーフを入れるためのもので、ペンも電話も入れてはいけない」とマナーを指摘する声、「ユニクロの服は他のブランドよりポケットがついている率が高い」と擁護する声もあった。
実際には、内・胸ポケット以外にも男女で細部のデザインが異なっており、ウィメンズには胸下のダーツとフラップポケットが付けられている。
ユニクロ広報担当者に「感動ジャケット」のポケットに対するSNS上の声について見解を求めると、「当社は日ごろよりお客様からさまざまなご感想、ご意見を頂戴しており、大変ありがたく思っております。ご感想やご意見を真摯に受け止め、これからもお客様にご満足いただける商品づくりに取り組んでまいりたいと考えております」とコメントするにとどめた。
「女性の日常に寄り添える服を作りたい(進 美影)」
このバズをきっかけに、多くの女性が「女性服にもっと機能性・実用性がほしい」と声をあげ始めた。そしてブランドやデザイナーもその声を掬い上げている。ブランド「ミカゲ シン(MIKAGE SHIN)」を手掛けるデザイナーの進 美影も、Twitterでそんな声に反応した一人だ。
進は「女性の味方でありたい」という思いを軸に、初期のコレクションから、ワンピースやスカートにもできるだけポケットをつけるようにしていたという。2022年プレ春夏コレクションで発表したFLOWER BULB BICOLOR SHIRT DRESS(56,100円)も、ボタン付きで深さのあるポケットがつけられている。
ポケットに関するブランドのポリシーについて説明した投稿の反響を問い合わせると、「ブランドの認知が急激に高まった」という。また、進はツイッターアンケートも行っており「ウィメンズの服のポケットには、何を入れていますか?」と尋ねたところ、75%以上の回答が「スマホ」。アンケートからは「席を一瞬離れるときにスマホをなくさないように入れておきたい」「家を出る時に一瞬だけ鍵をしまえるポケットが欲しい」......そんな現代の日常生活において服に求めていることが読み取れる。
「女性のポケット需要は"テンポラリー利用"のケースも多いということがわかりました。男性のように、一日中手ぶらでポケット一つで出かけるという慣習はあまり多くないかもしれないけれど、ちょっとした時に、服がその日常に寄り添えたら純粋に素敵だなと思います」。
ポケットひとつでもその分の工賃が上がり、商品の上代に反映されることでコストバランスは難しくなる。だが「個人的にはやはり、自分が嫌なものを人に薦めたくありません。NYでも東京でも『実はサイドにポケットがついているんです』と説明した時に、喜ばなかったバイヤー様や顧客の方は一人もいませんでした」。ミカゲ シンでは今後も、できる限りポケットをつけていくという。
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