VETEMENTS / rokh / Rick Owens
Image by: ©Launchmetrics Spotlight / rokh / OWENSCORP
ウィメンズ2024年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィークは、名だたるラグジュアリーメゾンが最新コレクションを披露する中、差別化を図ろうとする気鋭・若手ブランドがその存在感を放っていた。自身の過去と向き合い、未来を描いた「リック・オウエンス(Rick Owens)」やクリスティアーノ・ロナウドのサイン入りワンピースで話題をさらった「ヴェトモン(VETEMENTS)」など、ファッションクリエイションの可能性を広げたコレクションを振り返る。
リック・オウエンスの自宅兼仕事場で行われた過去と現在をつなぐショー
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Rick Owens 2024年秋冬ウィメンズコレクション
Image by: OWENSCORP
「リック・オウエンス(Rick Owens)」の2024年秋冬ウィメンズコレクションショーはメンズのショーに続き、25年前にブランドのセールスショールームとして使っていたリック・オウエンスの自宅兼仕事場で行われ、過去と現在をつなぐことをテーマに展開された。コレクションタイトル「ポータービル(PORTERVILLE)」は、同氏の出身地であり、コレクションには幼少期の経験を反映している。野蛮な時代への反応として、リサイクル素材や持続可能な素材を使用したアイテムが特徴で、奇妙だが高貴な宇宙服風の衣服、リサイクルカシミヤやアルパカで編まれたフード付きローブ、インフレーテッドラバーブーツなどが登場。また、パリのBDSMコミュニティのメンバーによってリサイクルされた自転車のタイヤから作られたジャケットやスカートも披露された。ショーでは、写真家のクリスティーナ・ナゲル、FECAL MATTERのハンナ、ジーナ・マーヴィンなどのモデルがランウェイを歩き、彼らの個性と美学を表現。音楽は、オウエンスの父親が自宅でよく聴いていたというラヴェルの「PAVANE FOR A DEAD PRINCESS」のシンセサイザーバージョンを使用した。
「ブラックカルチャー」の復活を オフ-ホワイト™
OFF-WHITE™ 2024年秋冬コレクション
Image by: OFF-WHITE™
「オフ-ホワイト™(OFF-WHITE™)」の2024年秋冬コレクションは、旅と文化の融合を表現。テーマの「BLACK BY POPULAR DEMAND」は「人気に応えてのブラック」という意で、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が築き上げた基盤に対して、ディレクターのイブラヒム・カマラ(Ibrahim Kamara)は自分自身の全てを注ぎ、強い要望に応える形での「ブラックカルチャー」の復活を目指したという。今回のコレクションの根底には、シエラレオネ出身でロンドン育ちのイブラヒム・カマラ自身の経験と、日本の伝統とアメリカ文化から受けた影響があり、ウィメンズウェアはドレープをふんだんに取り入れた。メンズウェアは、90年代スタイルを再解釈したクリーンでゆとりのあるシルエットと陽気なデザインが特徴。また、バスケットボール・ホルダーバッグのような遊び心あるアイテムも登場した。
10年目「ヴェトモン」はオーバサイズで"らしさ"みせる
VETEMENTS 2024年秋冬コレクション
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
今年で10年目となる「ヴェトモン(VETEMENTS)」は、2024年秋冬コレクションで90体におよぶ大ボリュームのコレクションを披露。いかり肩のようなフォルムを形成したテーラードジャケットにはじまり、形状記憶Tシャツ、何層にも生地を重ねたワンピースなどを、時代を牽引したヴェトモン流オーバーサイズでアウトプットした。また話題に事欠かないヴェトモンらしいアイテムも多数披露。大量のテディベアを縫い合わせたトップスをはじめ、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)のサインが入ったワンピース、サウスパークやバックストリート・ボーイズをプリントしたスウェットが登場した。
現実と虚構の境界がぼやける体験を マリーン・セル
MARINE SERRE 2024年秋冬コレクション
Image by: ©Launchmetrics Spotlight
ケイト・モスに似せたモデルを登場させで話題を集めた「マリーン・セル(MARINE SERRE)」の2024年秋冬コレクションショーは、パリの「Ground Control」で開催。市場やバザールをテーマにした空間で、現実と虚構の境界がぼやける体験を提供しようと試みた。コレクションは、異なる時代や空間を通じて、ブランドのハイブリッドなアプローチを反映。オールオーバームーンパターンのシースルーウェアで始まり、カジュアルなワークウェア、タイムレスなテーラリング、そしてクチュールルックへと移行していった。ショーのラストのクチュールジャージードレスは、コレクションをエレガントに締めくくり、女性のエンパワーメントを祝福するためのものだという。
ロクが生み出す新しい言語 フィレオのコラボシューズも
rokh 2024年秋冬コレクション
Image by: rokh
ロク・ファン(Rok Hwang)が手掛ける「ロク(rokh)」の2024年秋冬コレクションは、ルネサンスとロマン主義の芸術運動に着想を得て、伝統と革新、洗練と反逆のバランスを探求。ハンドドレープや型にはまらないアバンギャルドなテーラリングなど、予期せぬ要素と整ったフォルムを並置することで、多様な要素を統合し、新しい言語を生み出すことを目指したという。ヴィクトリア朝の服装やサルトリアの伝統的なテーラリング、英国20世紀の家庭的な雰囲気を彷彿とさせるプリントなど、古典的なシンボルはシームレスに統合され、トレンチコートはパターンカッティングとハンドドレープによってフォーマルなコートと融合させた。また、フランスの若手ブランド「フィレオ(PHILEO)」との初のコラボレーションでは、ロク・ファンの「ふくらんだベロのバレリーナシューズが欲しい」という要望をもとに製作されたモデルと、フィレオのアイコニックなダービーシューズにインスパイアされたモデルの2型が披露された。
加茂克也の娘Noi Kamoがヘア担当 キコ・コスタディノフ
Image by: Kiko Kostadinov
「キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)」の2024年秋冬コレクションは、古い服と新しい服、身体と衣服の関係についての問いを投げかけ、色彩とファッションの歴史に疑問を呈し、デザインの排除によって表面的な緊張感を表現。コスタディノフの出身地であるブルガリアの伝統や、ワインの原酒を混ぜ合わせるというワイン造りに使われる伝統的な技法であるアッサンブラージュのプロセスをリファレンスとして採用した。また前髪のウィッグが印象的なヘアは、数々のトップメゾンでヘアデザインを担当した故・加茂克也の娘であるNoi Kamoが手掛けた。
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