■ジュン
ジュンの迫村岳アダム・エ・ロペ・メンズバイヤーは合同展の出展者に対して辛口だ。「物作りをもうちょっときちんとしてほしい。合同展には必ず行くが、買うものは何も無い。大手セレクトショップにとってはオリジナルで作ればよい物ばかり。良いブランドはショールームか個展になってきている。またデザイナーが日本でリサーチして、日本のことを見過ぎている。ビジネスを意識し過ぎていて、もう飽きられていることに気付いていないのでは。もっとオリジンを見せた方が売れると思う」と日本向けにマーケティングされ過ぎていることに警鐘を鳴らす。

■インターナショナル・ギャラリー・ビームス
インターナショナル・ギャラリー・ビームスの服部隆メンズバイヤーは、「ソリッドなもの、ウォッシュデニム、黒っぽいものが減ってきており、柄やプリントが増えている」と感じており、フラワー刺繍を施した英国ブランドの「ブルタ(BRUTA)」などを買い付けたそうだ。合同展については「トラノイはほとんどがイタリアブランドで、お金のあるところかバッカーが付いているところしか出られない。どんどん新しい物をピックアップするのが難しくなってきた」と本来、小さなブランドの市場開拓を支援すべき合同展の役割の衰退に危機感を募らす。しかし一方で、「合同展でもきちんと見れば、切り取り方によっては見せられるものもある」とその意義を強調した。そして「ここ数シーズン、明らかにファッションに元気がない。全体的にファッションを盛り上げようというムーブメントが弱く、PRや話題性、デザイナー交代劇や投資対象としてのファッションビジネスという仕組みや仕掛けによって、本来価値の在った様々なリレーションが分断されている。例えば、産地のSCM(サプライチェーンマネジメント)を形成してきたイタリアですら、生地屋や革屋が潰れてきて、生産や生地の背景が崩壊してきている。こういった歪み出している部分も含め、何とかしなければならない」と率直に語ってくれた。
これらの声は、合同展の本来の役割でもある「未知数のデザイナーにチャンスを」という視点での多くのバイヤーからの叱咤激励にも聞こえた。コレクションとトレードショーという世界に冠たるヒエラルキーとプラットフォームを確立したパリで、ファッションビジネスのシステムを作り上げるサンディカ、合同展、ショールームなどのオーガナイザーが、今一度、ファッション業界のビジネスシステムをファッション本来が持つ力、「人々に元気や夢や希望を与えるというミッション」に満ちた方向とサスティナブルを意識した方向にベクトルを合わせ、一致協力して進めていく時期なのだと実感させられたシーズンだった。
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