フランスでは、オーガニックのことをBIO(ビオ)と言う。昨今、健康に配慮する傾向は世界に共通する。数年前であれば、ビオ=通常商品より20%ほど高値というイメージもあり、購買力の高い社会層が生活する地区に店舗は集中した。しかし、時代は着実に日々、更新されている。地区を問わず、庶民的な住宅街にも当たり前のように、ビオ店舗が登場しているのが現状である。(取材・文・写真:Kaoru URATA)
そうしたブランドの一つに、NATURALIA(ナチュラリア)というチェーン店がある。1973年に創業し、パリ市内と近郊に78店舗を営業、ビオと自然食品を扱う。食品、コスメティック、清掃用品など飲食だけに限定せず、幅広い生活用品を販売する。毎日、入荷する野菜・果物の生鮮コーナーでは、自由に適量だけを選んで購入できる。また、フランス人の主食に欠かせないパンは、レジコーナーに併設されている場合が多いので、会計の際に注文しよう。ナチュラリアでは、およそ4,000品のビオラベル商品を販売する。


ポンピドゥーセンター至近のナチュラリア店は、インテリアデザイナーによりエコ・コンセプトストアとしてリニューアルされた。内装材や什器に使用される建材は、フランス産の木材や再生材が主流である。床のテラッゾ素材は、大理石やガラスの破片をリサイクルしたもので、化学接着剤を用いずに貼付けている。什器の棚板はフランス産の無垢の木材。一部は、レンガの壁面で、カルヴァドス地方のレンガ工場の伝統的な商品である。さらに、野菜や果物を盛る籠は、柳で編んだものや、カートンなど、再生可能な素材を使用する。照明には、蛍光灯や発光ダイオードランプを使用し、節電にも貢献する。食品の冷却設備コンプレッサーが生産するエネルギーを再利用して、店内の温度を調整する。こうした様々の努力が、店内の各所や見えない部分にも工夫されている。


商品名や価格も見やすいようになっているが、詳しい商品説明を希望される方は、迷わず店員にたずねてみよう。サスティナビリティーの一貫として、お客様とのコミュニケーションも大切にしている。

■NATURALIA
http://www.naturalia.fr
■浦田 薫 - パリ在住ジャーナリスト -

建築とデザインに情熱を抱き、好奇心の旺盛さに寄り道が多い筆者は、多国籍文化の中で生活する、東京生まれのパリ育ち。デザインコンサルタント、企画プロデュース、翻訳・通訳も並行にしながら、異なる文化や言語の渦中で観察を続ける日々を過ごす。本サイトでは、環境に応じて人間が役割を与えて誕生する、空間、もの、出来事について読者と意見を交換していきたいと思う。
【連載】パリの寄り道
・第1回 蚤の市とフィリップ・スタルクのカフェ
・第2回 塩味ゴーフルは夏の味 マドレーヌ広場のカフェへ
・第3回 ヴェルサイユ散歩その1〜モニュメント・カフェ編〜
・第4回 ヴェルサイユ散歩その2〜香りの中庭 編〜
・第5回 フランス人が好む牡蠣と夕日を求めてル・サン・バルトへ
・第6回 プロヴァンス夏の風物詩 ラベンダーのカーペット
・第7回 サン・ルイ島 アイスクリーム屋の歴史
・第8回 線路跡のポケット庭園
・第9回 フィリップ・スタルクが設計したデザインホテル「ママ・シェルター」
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