東京・表参道店の路面店に続き、関西でショップが続々オープンし、日本でも勢いを増すブランド「alice + olivia（アリス アンド オリビア）」はチェルシーのギャラリー街にある古い洋館ホテル、「McKittrick Hotel」を舞台に選んだ。普段は観客が仮面をつけて部屋を巡りながら謎めいた演劇を見るのに使われているだけあって、ミステリアスな空間。会場内ではシャンパンやドリンクが振る舞われ、バーカウンターまであって、ナイトクラブのような演出。パーティーに招かれたかのような気分で見るプレゼンテーションは舞台設定に似つかわしくダークファンタジーのムードが濃い。ゴシックとヴィクトリアンを重ね合わせた風情の装いが提案された。適度なグリッターやコケットなムードを帯びながら、妖艶さを宿した作品には、演劇の舞台にふさわしくストーリーが感じられた。

　夜の大人の遊び場として1930〜50年代に人気を博したナイトクラブ「Diamond Horseshoe」。長く閉じていたが、近年リスタートしたこのクラブを会場に選んだ「Cynthia Rowley（シンシア ローリー）」は、場の雰囲気を生かして、セクシーなポールダンスを見せつつ、バーでカクテルも提供して、リッチで華やいだムードに誘った。プレゼンテーション当日以前にルックの写真撮影・配信を済ませ、ゲストは既に画像を見ているという前提で、当日はショートフィルムを上映しコレクションのイメージを伝えた。ミニワンピースとサイハイブーツの合わせが若々しくキュート。ボンディングで張り感を出した肩掛けアウターはスポーティーグラマラスな着姿を生んだ。レインボーライニングを施した重ね着も目を惹いた。マルチカラーのアップリケ、ベルトバングルはナイトクラビングに誘った。

　オルセン姉妹が手がける「ELIZABETH AND JAMES（エリザベス アンド ジェームス）」はマニッシュな表情を深くした。オーバーサイズのジャケット、たっぷり幅のクロップドパンツなどでプレッピーの派生形を持ち込んだ。ストライプ柄ニットやローファー靴もボーイフレンドな顔つき。くつろいだ着姿を示すうえでもじっくり止まって見せられるプレゼンテーションは効果が大きい。モデルがきびきび歩くランウェイでは穏やかなたたずまいを感じ取ってもらいにくいところがある。見るバイヤーや取材者側も慌てないでじっくり、しかも近い距離から作品を評価できるので、理解が深まる。

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