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ニッチフレグランスはどこから来た? 数々のブランドを担当するエージェンシーに聞いた

Room1015 チェリーパンクのキーヴィジュアル

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ニッチフレグランスはどこから来た? 数々のブランドを担当するエージェンシーに聞いた

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 フレグランス市場で存在感を増すニッチフレグランス。世界中からニッチフレグランスブランドをセレクトする「ノーズショップ(NOSE SHOP)」は、コロナ以降毎年、前年比を超える成長を続け、SNSなどでも「ニッチフレグランス」という言葉を見たことがある人は多いのでは。単語の認知が広がる一方で、「そもそも“ニッチフレグランス”とは普通のフレグランスと何が違うのか?」と思う人も少なくないはず。そんな疑問を、ニッチフレグランスのエージェンシー NICHE BEAUTY BRANDSのファウンダーで、さまざまなニッチフレグランスブランドを通して長年業界に携わってきたエマニュエル・ハダッド(Emmanuel Haddad)氏に聞いてみた。エマニュエル氏の視点で、ニッチフレグランスの誕生時期や拡大、最近の流れ、そしてこれからのニッチフレグランス業界をどう思うのか⎯⎯ 答えてもらった。

男性のポートレート

Emmanuel Haddad

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■NICHE BEAUTY BRANDS創業者 エマニュエル・ハダッド
ジャン=ジャック・ゲラン(Jean-Jacques Guerlain)によって1970年に設立されたISIPCA(国際高等香水学院)で学んだ後、「ロリータレンピカ(LOLITA LEMPICKA)」などの独立系ブランドの商業開発の専門知識を20年以上学ぶ。2022年7月にニッチフレグランスのエージェンシー「NICHE BEAUTY BRANDS」を設立し、ノーズショップでも取り扱いのある「Room1015」「BDK Parfums」「Son Venin」「Liquides Imaginaires」などのセールスサポートも担当。トレンディでコネクテッドなスピリットで世界中のハイエンドなニッチフレグランスをサポートすることを使命としている。

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魅惑的なフレグランスの世界、“ニッチフレグランス”とは何?

⎯⎯ 「ニッチフレグランス」という言葉を目にする機会が増えたように思います。そもそも、ニッチフレグランスの始まりはいつ頃なのでしょうか。

 特定のブランドが「ニッチフレグランス」として誕生したのではないように思います。1960年から70年代にかけて、ヨーロッパの上流階級のコミュニティを中心に、香りに対して既存のメゾンブランドとは異なる思想を持った人々が集まってオリジナルのフレグランスを作り始めたことが「ニッチフレグランス」の起源ではないかと考えています。それがブランドとなり、フレグランスが少しずつ世に出ていくにつれて、ある種の“反骨精神”のような部分が「大手のフレグランスブランドとは違う」という方向性に変化するとともにその思想が広まり、さまざまなニッチフレグランスが生まれ、コミュニティおよび市場が徐々に大きくなっていったというのが私の見解です。ニッチフレグランスは「売るためのフレグランス」とは異なり、「作りたい」という気持ちから始まったからこそ、大手のメゾンブランドやファッションフレグランスとはターゲットや香りにハマる層が異なると感じています。

■「ファッションフレグランス」「メゾンフレグランス」「ニッチフレグランス」とは?
・ファッションフレグランス:ファッションブランドから派生したフレグランス。「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」など
・メゾンフレグランス:香水を生業とする会社のフレグランス。「キリアン パリ(KILIAN PARIS)」「メゾン フランシス クルジャン(Maison Francis Kurkdjian)」「アクア ディ パルマ(ACQUA DI PARMA)」など
・ニッチフレグランス:より創造性が高い小規模生産のフレグランス。「ディプティック(diptyque)」「バイレード(BYREDO)」「フエギア 1833(FUEGUIA 1833)」など

⎯⎯ 現在のニッチフレグランス業界は、過去と比べて変化したことはありますか?

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 ニッチフレグランスは「他とは違うモノを独自に作りたい」という思いから始まったことではありますが、現代ではその気持ちだけでブランドを安定的に存続させることは簡単ではありません。大企業と比べると資本が少なく、完全に独立しながら新しい香りをクリエイションし、もっとたくさんのお客に届けるというのは限界があります。そういう事情もあり、2000年代から大企業によるニッチフレグランスの買収が目立つようになり、以前よりやや経済志向を持つようになったと感じます。

 ブランドを知ってもらうためにはもちろんプロモーションをして認知を上げていかなければいけませんが、売り上げに執着せずに自分たちの世界観を広めることは至難の技です。その中で、ノーズショップのようにまだ知られていないブランドを多く取り扱い、多店舗展開するという業態は素晴らしいプラットフォームだと思います。

■大企業によるニッチフレグランスM&A例
・2015年 エスティ ローダーが「フレデリック マル(FREDERIC MALLE)」を買収
・2022年 プーチが「バイレード(BYREDO)」の株式の過半数を取得
・2023年 ケリングボーテが「クリード(CREED)」を買収

近年の流行を支えるのは若年層 「自分だけの香り」を追い求めて

⎯⎯ 日本ではニッチフレグランスは順調に規模を拡大し好調ですが、世界的にも成長路線に乗っているのでしょうか。

 大手と比較すると規模はまだ小さいですが、市場は拡大を続けています。ニッチフレグランスの初期は上流階級の人たちが知っている“クローズドなもの”でしたが、時代とともにECや口コミが活発化し、その存在がオープンになりました。また、イタリア・ミラノで毎年開催される世界一のフレグランスの展示会「Esxence」は年々熱量が上がっていますし、ノーズショップのような店舗も世界規模で増えてきて、より多くの人が関心をよせ始めたので、業界の盛り上がりにもつながっています。

 最近気になる動きとしては、「自分だけの個性のある香りをまといたい」という若い人たちのエネルギーです。モノと情報があふれる現代だからこそ、自分だけのモノを求めるというのは理解できます。若年層がニッチフレグランスに興味を持つということは世界中で起こっているので、若い力を通してこの業界はさらに広まっていくと考えています。

 市場として拡大している一方で、個々のブランドで見ていくと、やはり認知度はまだまだ低い状態ではないでしょうか。

⎯⎯ 「認知度」が課題なんですね。では反対に、ニッチフレグランスが持つ強みはどこにあると思いますか?

 それぞれが大きなポテンシャルを持っているということです。知られざる調香師を見つけることができますし、数えきれないほど多くの個性的な香りがあるため、「自分だけの香り」を見つけられます。有名な香水やトレンドを取り入れた香りは多くの人が知ることになるので、被ることも多いですよね。“被るのが嫌”という人には、ニッチフレグランスブランドの中からお気に入りの香りをぜひ見つけてほしいです。

⎯⎯ 成長を続けているニッチフレグランス市場ですが、今後はどうなっていくと思いますか?

 これからも、「自分だけの香り」を追い求める人たちの中でニッチフレグランスの存在感が増していくと思います。私はニッチフレグランス市場は始まったばかりだと考えています。

 私の会社で担当しているブランドは、日本ではノーズショップの中森(中森友喜社長)さんと協力しながらもっと広げていきたいです。グローバルの市場では、主要なマーケットでの拡大に向けて、市場研究に時間をかけ、少しずつ取り扱い店舗数を増やす予定です。まずはニッチフレグランスの20〜25%程度が誕生していると言われるイタリアを強化し、次はドイツやアメリカ、フランスに広めていきたいと考えています。その後は、各ブランドの知名度を高めるためのプロモーションを、ローカライズして行っていく計画です。

数多あるニッチフレグランスブランド、それぞれの個性を引き立てるには?

⎯⎯ エマニュエルさんは自身のエージェンシーで多くのブランドをサポートしていますが、その中でも人気のブランドを教えてください。

 パリで2015年に設立された「ルーム テン フィフティーン(Room 1015)」が人気です。特に売れているのは、ノーズショップの各店舗でもトップ10以内にランクインする「チェリーパンク」(10mL 6050円、50mL 1万5400円、100mL 2万4200円)。レザーのジャケットとスキニーパンツ、ロンドンのパンクムーヴ、首元にチェリーのタトゥーを入れていたロックミュージシャンたちからインスパイアされた香りです。ヴィジュアル画像には創業者のマイクのアートや感性が落とし込まれています。チェリーはメジャーな香料ですが、その中でも“パンクでロック”な要素を求めている人にはハマると思います。

ロックシーンにオマージュを捧げるルームテンフィフティーン

Michael Partouche (Dr. Mike)

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 プロのロックミュージシャン、薬剤師としての経験を持つドクター・マイク(Dr. Mike)が2015年にパリで設立。ロックの大スターたちの定宿だった、ロサンゼルスのコンチネンタルハイアットハウス(現:アンダーズ・ウエスト・ハリウッド)の1015号室からブランド名を名付けた。70年台の華々しいロックシーンへオマージュを捧げ、反骨精神や自由、サブカルチャーをキーワードにしたフレグランスをラインナップ。

 この夏新たにラインナップに加わった「ウェーブチャイルド」(10mL 6050円、100mL 2万4200円)は、反骨精神を持ちながらも自然が好きだという人を賞賛する香り。柑橘系の爽やかな香りからココナツやアンバーグリスなどに変化する香りで、自由を求める衝動やファッション、アメリカ西海岸のサーフカルチャーに共感する人に提案する。

⎯⎯ さまざまなブランドの個性を引き立てるため大切なことは何ですか?

 彼らが、それぞれどういった感性で作っているのかを知ることです。消費者へのアプローチの方法や力を入れて販売したい地域、並行したプロモーション活動が異なりますから、それを熟知した上で、ブランドの“核”を元に引き立てる方法を模索します。クールなのか、モダンなのか、ワイルドなのか…ブランドイメージや展開している香りの好みが消費者と一致する層は、年代だけでなく国籍も違うため、ファウンダーや調香師の思いに共感し、それを“個性”として伝えることが大切です。ブランドや香りに込められたメッセージを取りこぼさずに伝えて、その香りが似合う人に届けていきたいと思っています。

(企画・編集:藤原野乃華)

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