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とどまることを知らない未曾有の古着ブーム。歴史的背景を持つヴィンテージの価値も高騰を続け、一着に数千万円なんて価格が付くこともしばしば。「こうなってしまってはもう、ヴィンテージは一部のマニアやお金持ちしか楽しめないのか・・・」と諦める声も聞こえてきそうです。
でも、そんなことはありません。実は、現時点で価格が高騰しきっておらず、ヴィンテージとしての楽しみも味わえる隠れた名品もまだまだ存在します。この企画では、そんなアイテムを十倍直昭自身が「令和のマストバイヴィンテージ」として毎週金曜日に連載形式で紹介。第33回は「エルメス(HERMÈS)」オスモズ編。
2008年にセレクトヴィンテージショップ「グリモワール(Grimoire)」をオープンしたのち、2021年にはヴィンテージ総合プラットフォーム VCM(@vcm_vintagecollectionmall)を立ち上げ、日本最大級のヴィンテージの祭典「VCM VINTAGE MARKET」を主催している。また、渋谷パルコにて、マーケット型ショップの「VCM MARKET BOOTH」やアポイントメント制ショップ「VCM COLLECTION STORE」、イベントスペース「VCM GALLEY」を運営。2023年10月には初の書籍「Vintage Collectables by VCM」を刊行するなど、"価値あるヴィンテージを後世に残していく"ことをコンセプトに、ヴィンテージを軸とした様々な分野で活動し、ヴィンテージショップとファンを繋げる場の提供や情報発信を行っている。
ピエール・アルディがデザイン、“シェーヌダンクル”を彷彿とさせる名作
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今回紹介するエルメスのジュエリー、オスモズが登場したのは2000年代。発売されたのはおそらく、マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)がウィメンズプレタポルテのデザイナーを務めていた通称「マルジェラ期」だと思われます。デザインを手掛けたのは、数多くの名作エルメスジュエリーを生み出したピエール・アルディ(PIERRE HARDY)。エルメスの頭文字である「H」をイメージしたと思われるインパクトがある造形は、特に男性から厚い支持を集めています。エルメスジュエリーのなかでもトップクラスの人気を誇るシェーヌダンクルのコマを丸めたようなデザインなので、シェーヌダンクルとコーディネートして着用している方も多いですね。
オスモズリングには大きいサイズのGMと小さいサイズのPMがあります。男性の場合、人差し指や中指にGM、小指にPMを付けるのが人気です。女性はPMがマッチする方が多いでしょう。オスモズはほぼ全てがイタリア製。前期に発売されたアイテムのなかにはたまにフランス製のものもあります。
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ゴールドのオスモズは、オーダーのみで提供されていた非常に希少なアイテム。重量の関係だと思いますが、ゴールドのものは裏側がくり抜かれているのが特徴です。今回用意したのはイエローゴールドですが、このほかにピンクゴールドのアイテムも存在しています。
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こちらはバングル。リングとは違い現在では廃盤となっているので、希少性は高まっています。バングルは3種類が確認されており、腕周りが短いモデルがSH、普通のものがST、長いモデルがLGと呼ばれます。
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エルメスジュエリーの大定番、入門編としてオススメ
ヴィンテージアイテムの価値を判断する際に重視されるのが「希少性」。これまで当連載で紹介したヴィンテージエルメスで言えば、販売された期間が短く、出回る数も少ないと言われるグレンデシャンが、希少性が高いエルメスジュエリーの代表例です。エルメスには短期間しか販売されなかったリングが多いのですが、今回ピックアップしたオスモズは、逆にエルメスのジュエリーのなかではリングを中心にヒットしたと言われているモデルで、市場にも比較的多くの数が出回っています。
エルメスのヴィンテージジュエリーは今なお人気が高まり続けており、一部の希少なモデルは簡単には手を出しづらい価格になってしまっていますが、オスモズはまだまだ「買える」アイテム。二次流通市場での相場はバングルは40〜60万円くらい、リングはGMで20万円台、PMなら更に買いやすい価格になります。ヴィンテージエルメスジュエリーの入門編として、オススメしたい逸品です。
編集:山田耕史 語り:十倍直昭
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