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【ネタバレ注意!】もっと、「マトリックス レザレクションズ」の話
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ここからは、同い年編集部員である「フルカティ」と「マサミーヌ」による、ネタバレありきのゆるい座談会をお届け。「マトリックス レザレクションズ」観劇後の余韻に浸りながらゆる〜くどうぞ。(本当にゆるいです!)
普段はアートやカルチャー関連のほか、東京のデザイナーズブランドなどを担当。マトリックス公開当初、鉄棒を「マトリックス避け」でくぐっていたら後頭部を強打し、3針縫ったのはいまや良い思い出です。
フルカティ:「マトリックス レザレクションズ」は、旧作3部作と同じように多くは語られていないので、情報を補うためには各人の想像力しかないということで、ここからは本当に独自の考察として話せれば。
マサミーヌ:よろしくお願いします!物凄い「マトリックス5」も制作することを匂わせていたね。
フルカティ:劇中の仮想世界で話されているゲーム「マトリックス」はそのまま、私たちが生活している世界における映画「マトリックス」ともリンクするからね。
マサミーヌ:「ゲームに哲学なんていらない」とかね(笑)。
フルカティ:実際にマトリックスシリーズも、「リローデッド」「レボリューションズ」とシリーズを重ねるごとに説明台詞が長くなったりと、難解なストーリーに苦言を呈する人がいたと聞いているよ(笑)。
フルカティ:本作の時系列は「マトリックス レボリューションズ」の後の話だったね。
マサミーヌ:予告編を見たファンが予測する本作の時系列は「マトリックス」と「マトリックス リローデッド」の間の話なのでは、という説が有力だったけど。
フルカティ:「マトリックス 4」だったね、完全に。
マサミーヌ:言われてみれば、レボリューションズでスミスとの戦いを終えたネオの肉体は滅びておらず、マシーンシティの機械たちに肉体を回収されて終わっているんだよね。
フルカティ:そのまま再度、マシーンシティのポッドの中で仮想世界「マトリックス」を見させられていた。新キャラクターのバッグスが、命がけで人類を救った伝説の救世主ネオを見つけ出す。というのが今作のあらすじ。
マサミーヌ:バッグスは今作における"白ウサギ"だよね。救世主であるネオを再び現実世界に連れ戻す役割。
フルカティ:旧作のモーフィアスの立ち位置だね。
フルカティ:今回、モーフィアス役を演じるのはヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世。旧作のローレンス・フィッシュバーンからバトンタッチしたわけだけど、今作におけるモーフィアスの存在は旧作の立ち位置と少しだけ違う。
マサミーヌ:ネオを導く師匠というより、モーフィアスを模したプログラムだった。
フルカティ:新しい設計者が作った仮想世界マトリックスの中で暮らす、ネオが作ったゲーム「マトリックス」に出てくるキャラクター(プログラム)がモーフィアス、という設定だからね。
マサミーヌ:ややこしい(笑)。だから、今作に出てくるモーフィアスは、私たちがよく知っているモーフィアスではない。
フルカティ:そうだね。ネオがモーフィアスを参考に作り上げたプログラムだから。
マサミーヌ:映画の冒頭でモーフィアスは、エージェント(プログラム)として登場するしね。
フルカティ:ネオが仮想世界の中で作り上げたゲーム「マトリックス」は、アーキテクトによって「ネオの空想を基にしたゲーム」にされてしまっているけど、実際はネオが経験した現実に起こったこと。当然、ゲーム内に登場するモーフィアスも、実在したモーフィアスを基に作られたプログラムコードということになる。
マサミーヌ:「ネオに会う前のモーフィアス」から「ネオと出会ったモーフィアスになるまで」をプログラムが再現しているという言い方がしっくりくる。
フルカティ:今作では、「モーフィアスがアノマリー※になるまで」を"プログラム・モーフィアス”通して知ることができるのは見どころだね。
※マトリックスから目覚めようとする人間
マサミーヌ:新キャラクターのバッグスの「これが全ての始まり」という台詞は、まさに「プログラム・モーフィアスが、実在したモーフィアスを再現している」というのを端的に示す言葉だなと思った。
フルカティ:劇中にモーフィアスが「やるべきことがわかった」と言うシーンがあったけど。マトリックスシリーズにおいて「目的」というのは、プログラムが生きていく唯一の術なわけで。
マサミーヌ:目的がないプログラムは削除されるからね。「プログラムは目的のために行動するけど、人間は目的なく選択したり行動するために『概念』を作り上げた」と旧作でも説明されているし。
フルカティ:ネオの目には、モーフィアスという人物像が「目的を見つけ、目的のために行動するプログラムのような人間」と映っていたのかと思った。ネオから見たモーフィアス像を暗に表現するために、今回の配役では前作と同じ役者に声をかけなかったのかな、と。
マサミーヌ:たしかに、旧作で描かれていたモーフィアスのネオ(救世主)に対する「執着心」は、モーフィアスを取り巻く周りの人間が若干ひくくらいだったしね(笑)。
マサミーヌ:マトリックスといえばオールブラックコーデ。アイテムもレザーパンツやロングコート、エナメルブーツなど特徴的なアイテムがアイコンとなっていたけど、今作では一貫したドレスコードがないようにも見えたね。新しいトレンドを打ち出してくれるのではと楽しみにしていたんだけど、正直なところ「あと一歩欲しい!」という感じだった(笑)。でも、モーフィアスの黄色いスーツは素敵だった。
フルカティ:衣装でプログラムと人間を差別化したのかな、と思っていた。人間がマトリックスの中に入ると黒を基調とした服、プログラムであるモーフィアスだけが彩度のある服を身につけている。
マサミーヌ:なるほど!たしかに現実世界でプログラムは、粒子によって実体を手に入れていたもんね。マトリックス内でも差別化が図られていても不思議ではないかも。
フルカティ:レザレクション(Resurrection)は、「復活」を意味する英単語。
マサミーヌ:キャラクターや聞き覚えのあるセリフなど、まさに色々なものが「復活」していたね。
フルカティ:キャラクターの再登板で嬉しかったのはナイロビ。それとメロビンジアン。フランス語で馬美雑言をまた劇場で聞けて感激したよ(笑)。
マサミーヌ:レボリーションズで登場したサティが大人になって、重要なキャラとしてネオとトリニティーを救出する展開もなかなかアツかった。
フルカティ:ネオが「愛を知る人間」だとしたら、サティは「愛を知るプログラム」。サティの父であるラーマとネオの会話は、全作品を見終わったあとに振り返るとまた別の見方ができて面白い。
ラーマ「私は心から娘を愛しています。彼女は何よりもすばらしい。私たちが何者なのか、という問いは意味をなしません。作られたすべてのプログラムには必ず目的があります。そうでなければ消されてしまう。あなたには理解できませんか?あなたはいま、愛を語るプログラムの言葉を聞いているのです」
ネオ「それは人間の感情だ」
ラーマ「違います。ただの言葉です。大切なのは言葉が示す関係性です。あなたには愛する人がいますね。その関係を守るためにあなたは何を犠牲にできますか?」
ネオ「なんでも」
ラーマ「あなたがここにいる理由は、私がここにいる理由とそれほど違わないようです」
マサミーヌ:復活後に変化していることもあったね。機械とある程度仲良くなっているのも今っぽい感じがした。
フルカティ:機械との共存は、レボリューションズの最後でネオが望んでいた世界だからね。個人的に変化で寂しかったのは、マトリックス内部への入り方が固定電話ではなく、鏡になっていた点かな。
マサミーヌ:鏡、もしくは扉になっていたね。
フルカティ:昔SF小説論という授業で「マトリックス内部にいる人間が現実世界に戻るとき、なぜ固定電話じゃないといけないのか」という話をしている青木教授という人がいて。
マサミーヌ:そんな授業があったんだ(笑)。たしかに、マトリックス内部で現実世界とコンタクトを取るためにガラケーを使っているのにね。
フルカティ:ひとつは「映画公開年の1999年はガラケーより有線電話の方が通信量が大きく、体丸ごとを送り込むためには固定電話の方が現実的だった」ということ。もう一つは「エージェントに探知されないというセキュリティの点で現実的だ」という話だった。
フルカティ:上記のツイートでは主にセキュリティ面の話をしているんだけど。機械やロボットは自分自身を直接ケーブルで接続した方が楽だし早いけど、それだと電気的接続を介して「ハッキング」の恐れがある、と。だから一度物理的なバッファを挟むことで探知を防いでいる。ということを、青木先生は攻殻機動隊のオペ子がわざわざ機械指でキーボードを打つシーンを例に出して解説している。
マサミーヌ:そういう諸々を考慮しても、鏡での移動はデータの送信感が薄れるよね。
フルカティ:仮想世界マトリックスを新しい設計者が作ったから、そもそも「データの送信」ではなくなったのかもしれないけど、ポッドの中のネオはどうみても有線に繋がれていたし、後頭部のプラグも健在だったから。
マサミーヌ:新しいマトリックスのアップデートは、旧作と異なって緑がかっていないというところでは見て取れたけどね。
フルカティ:私の解釈では、本作の肝は「トリニティーも救世主だった(なった)」という話なのかなと思っているんだけど。
マサミーヌ:どのシーンでそう思った?
フルカティ:おそらく、救世主の能力の一つに「飛行」があって。トリニティーもラストカットでネオと飛んでいたんだよね。
マサミーヌ:たしかにアノマリー※の中でも、飛行できるのはネオだけだね。
※マトリックスから目覚めようとする人間
フルカティ:極論だけどネオが救世主たる所以は「マトリックスは仮想現実だから死ぬことはない」と気が付いてるところ。「仮想現実だから空を飛ぶことだって可能」だと思っているからこそ飛行もできる。
マサミーヌ:トリニティーは最初から救世主だったのかな。
フルカティ:どちらかというと救世主のコードに書き換えられたのかな?と思っている。リローデッドで「人類を救うか、トリニティーを救うか」の二択を迫られたネオは、瀕死のトリニティーを救うことを選ぶ。撃たれたトリニティーの銃弾を素手で取り出すシーン覚えてない?
マサミーヌ:あったね!マトリックスの緑色のコードで人間の形が表現されていたシーン。
フルカティ:そうそう。さっきも言ったけど、本作において何かを食べたり、キスをしたりといった交流は、身体接触以上の意味合いがあって。救世主であるネオのコードの一部がトリニティーにも組み込まれたのかな、と。
マサミーヌ:レボリューションズで、スミスの肉体に救世主のコードをばら撒くことでスミスに勝っているからね。あり得る話だと思う。
■商品名:マトリックス トリロジー 「4K ULTRA HD & デジタル・リマスター ブルーレイ」(9枚組)
■価格:2万1780円(税込)
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