女優から映画監督へ――。65歳を越えてもなお、奔放なスタイルで躍進を続けている桃井かおり。ロサンゼルスに拠点を移して以来の2作目となる映画「火 Hee」がベルリン国際映画祭で上映、昨年に初めての結婚をするなど「今が一番熟れている」という桃井かおり流の人生の極意とは?"戦友"と呼ぶSK-IIの新ライン発表会のために来日した彼女に聞いた。
- LAに移住して7年目。キャリアにはどんな変化がありましたか?
大きく変わりましたよ。実はLAに拠点を移したのは欲をかいていたのではなくて、日本って歳を重ねた女性があまりいい目に遭わないでしょう。女優という職業はその最たるものだから、ある程度定年を自分で決めないといけないと思っていました。そんなことを考えていた時に海外から仕事のオファーがあって、その勢いにのって住み始めたんですよね。本音を言えば、「上手くフェイドアウトするぞ」と思っていたくらい。
- 女優業引退を視野に入れた海外移住だったんですね。
そうなのよ。この歳からオーディションなんて受ける気ないですよ(笑)。でも行ったら変に仕事があるんですよね。向こうに住み始めた年に映画(処女作「無花果の顔」)を撮影したんですけど、それがベルリン国際映画祭の作品として選ばれて、様々な国の映画祭に呼ばれるようになって。映画監督としてもキャリアをスタートできたのは大きかったですよね。
- 女優から監督へ。常にステップアップしていく原動力は?
なんだろう。「諦めていない」ということですかね。自分がそんなに好きなわけではないけれども、自分の才能と可能性は信じてるんですよね。常に「私が信じてあげなくて誰が信じてあげるの?」という思いがあって。頂いた仕事に対して最善を尽くすと、そこそこクリエイティブの部分にも入っていってしまうんですよね。そうするうちに、気がつけば監督にもなっているという感じ。「スポーツ選手のように体力的に限界を迎えました」と言えればいいけど、女優はもとより人間は体力的に限界を迎えたからと言って人間を辞めるわけにはいかないでしょう。だから自分なりの限界ギリギリまで挑戦するっていうのが正しい生き方で、私はそれができてる気がしているんですよね。その代わり、一日中パックをしてエステに行ってる人よりかは時間がないですから、サポートしてくれる戦友として、SK-IIが必要ということなんです。
もう35年は超えています。だって、全然売れていない頃から使ってるから(笑)。昔は本当に化粧品に疎かったんですけど、ある時アフリカを旅する事になって、顔も洗えない生活を2ヶ月半しないといけないということだったので相当調べたんですね。それでSK-IIに出会って持って行ったんですけど、帰国後シミができていなかったので「これはすごい」という話になったんですよ。歯を磨く時と顔を洗う時しか水をくれないような砂漠地帯だったので、持っていったのは日数分のシルクのパンツと顔をケアするためのフェイシャル トリートメント エッセンスだけ。だから本当に感心しちゃって。
- 広告に出演することになったきっかけは?
それから何年かして広告のお話をいただいたんです。そういう時に限って色々な化粧品会社からのオファーが重なっていたんですけど、迷わずSK-IIを選びました。私は完全にCMだと思っていたんだけど、実は雑誌かなにかの広告のお誘いだったんですよね。でもね、自分が信用した商品だからそれでもやりたいと思っていて、「どれくらい売上伸ばしたらCMできるんですか?売上伸ばすように頑張りますよ」って言って引き受けたの。それでグングングンと売上が伸びたんですよね。
-そんな逸話があったんですね。
そう、だから最初の判断は正しくて、好きな商品だったから自信を持って勧めることができたんですよね。今でも、これ以上肌に良いことはやってないの。だから私の肌を良いと感じてもらえるのであれば、確実にSK-IIのおかげよね。
- 「桃井はSK-II」というキャッチコピーもすごく記憶に残っています。
もうね、人に会うとみんなが最初に肌チェックから入るのが本当に辛い(笑)! 昨日機内の化粧室で顔を洗った際にトリートメントマスクを忘れて席に戻ってしまって、CAさんが届けてくれたんだけど「SK-II本当に使ってるんですね」って言うの。サンプルを渡そうとしてくれる方もいますけど「いりません!私、契約的にNGなんで」って断りますよ。つい使って、ゴミ箱に捨てたらもう大変。私の緊張はもうそこまできますからね(笑)。

- 女性は化粧品においては浮気性なものですけど、桃井さんは一筋なんですね。
もちろん他も試したけれど、やっぱり戻ったというのが正直なところね。時々慣れるから他の化粧品に心移りするけれど、結局戻っちゃう。それに、長く使って大丈夫だから安心できるのよね。
- 他に美容のために実施していることはないんですか?
あとはサウナで汗かくとことくらい。他の女優さんたちのようにエステ通いや顔ヨガから、そんなことやらないですよ。もう女優さんと話してると「え?そんなことまでやってるの?」って驚いちゃうわけ。私は、何にもしないできちゃったからね。だから、それはSK-IIの底力だと思いますよ。
- 最高級ラインが登場しましたね。
そう、これは「しょうがないか、高くても」という感じね。夫の片方の顔にだけ使わせてもらったら、ハリつやがアップしたのよ。SK-IIの偉いところは、大切に商品を守り育てるところ。そして36年前に化粧水から始めて、その後徐々に製品を広げていって。私から言わせれば1個も悪いもの作ってないけど、またここでこの高い商品を出すことの賭けってすごくあると思う。でもここまで研究が進んでしまった限り、良いものができちゃった限り、出さざるを得ないというところなんでしょうね。もうほとんど桃井かおりの人生に近いところまできてますよ!ほんとに。
- 桃井さんの人生とSK-Ⅱはリンクしていますね。
そうなんですよ。限界まで挑戦するっていうね。あとは妥協の無いということも同じね。人生は何を選択するかより、何を断るかが重要。私は、ロスに行く決断をして、冗談抜きで今1番売れてるかもしれない。年間5本の主演作品という時期はこれまでなかったもの。結婚もしましたしね。64歳で結婚するやつって珍しいでしょ。

- なぜこのタイミングで結婚を決めたんですか?
「何歳までにこうしたい」ということは、結構考えていた方でしたけどね。でも気がついたら私なりのペースやスタイルで生きれるようになっていた、結果論ではあるんですけれど。だから結婚も狙っていた訳でもなく、ごく自然に。日本はすごく「縁」っていうけど、「It's timely」ってことね。
- 自分流のスタイルを確立するにはどうしたらいいんでしょうか?
捨てることをちゃんと捨てておくことですかね。全部食べてしまった満腹の状態だと美味しいものを味わうことはできないってことなのよ。だから空腹にもなれるように生きて、「これだ!食べたかったものは」と思えるもの出会えるまで頑張るってことですね。
- 桃井さんが「この人はスタイルが確立されている」と思う人物はいますか?
ビョークって大好きだけどなんか「変なの!」って思う存在じゃない?でも、この間ロンドンでライブを見ていて、「この人ちゃんとしてるな」って思ったんですよね。歌ってるのを聴いていても、選び取ったという気迫がある。「こういう風に歌うともう少し誰かに好かれるのに」とか、そういう気配がないよね。全員に理解してもらおうと思っていないじゃない。私ももっと若い時からそういう思いを捨てていたら、あんな風になれたんじゃないかって。ビョークを見てると、桃井かおりなんて全然このままで大丈夫じゃんって思っちゃいますよ(笑)
- 誰かに理解してもらうことを捨てる。
映画撮った時にね、「分からない」とか「難しい」とか言う人がいるわけ。「難しい」っていう人がいた場合、それはあなたの知能と美意識の問題でしょうって、今の私は確実にそう言えちゃうわけですよ。多数決でみんなが面白いと思う平均的な作品なんて、別の監督が撮ればいいだけで桃井かおりが撮るわけないということ。芸術は多数決じゃないから。アンチ多数決で「これは誰もやってなかった」と気がつく点があるかどうかがアートなのよ。
- 最後に、今一番したいことは何ですか?
今はとにかくロスのお家に帰りたいのよね。お家で好きな時間に起きて犬と一緒にぶらぶら散歩したり、ゆっくりお昼か朝かわからないようなご飯を食べて、好きなが映画を見て、また散歩に行って。気がついたら、そういう普通の暮らしをしてなかったのよね。
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