「MILK大川ひとみがFスナだけに話してくれたこと」の好評をうけて、あらたに新連載「ミルクエクスプレス(MILK Express)」がスタート。1970年のデビュー以来、日本のドメスティックブランドを牽引し続けている「ミルク(MILK)」の今を、ディレクターの大川ひとみの交友関係と、その対談から明らかにします。第1回は、2017年に立ち上がった「ランド バイ ミルクボーイ(LAND by MILKBOY)」プレス担当の松中氏との対談。大川は、1974年のミルクボーイのデビューから、なぜランド バイ ミルクボーイを立ち上げるに至ったのか。そして、大川が今のラグジュアリーブランドへ思うこととは?
目次
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MILK大川ひとみがFスナでいま連載を始めるわけ
大川ひとみ(以下、ひとみ)
この間のインタビュー、話していてとても楽しかったんだけど、昔話ばっかりだったでしょ?だから、今のことも知ってもらおうと思って。
ひとみさんは今の自分についてどんな人だと思っていますか?
ランド バイ ミルクボーイ 松中(以下、松中)
ひとみ
昔と変わったことなんて一つもないよ。いまだに服作りを続けているし、忙しくなる一方だし、早起きは苦手だし(笑)。
スタッフも20代前半の若い子も多いですよね。
松中
ひとみ
みんな才能あるよ!年齢は関係ない。今日も、ランド バイ ミルクボーイ(以下、ランド)のショップスタッフの子とお昼食べに行ったんだけど、みなぎる可愛らしさで最高だった(笑)。
なぜ、デビューから約50年後に新ブランドを立ち上げた?
僕はいま24歳ですけど、世代的にも、今の世の中のひとみさんへのイメージって「ミルク」と「ミルクボーイ」の印象がやっぱり強いと思うんです。どうして新しくランドを立ち上げることにしたんですか?
松中
ひとみ
シンゴ社長(安田申吾・現ランドディレクター)が「原宿のストリートから、直でニューヨークやロンドンなど、ワールドワイドに繋がる商品構成のブランドを作ってみたいな」と提案してくれて。「素敵、OK!」と返事をして、すぐ決まったのよ。
なるほど。ランドはミルクとミルクボーイに較べると、コラボの数がとても多いですよね。
松中
ひとみ
シンゴ社長は、「ミルクボーイトイズ(MILKBOYTOYS)」でソフビを作っていたり、映画のキャラクターとかも好きだからね。ブランドを続けて行くうちに色んな人たちと出会って、自然とコラボも増えたんだと思うよ。カリフォルニアにあるユニバーサル本社とも交流があるみたいで、次の夏には映画「チャッキー(Chucky)」とのコラボアイテムも発売するし、私もめちゃくちゃ楽しみにしてるのよ。
ラグジュアリーブランドに思うこと
ひとみ
話は変わるけど、今のハイブランドについて松中くんはどう思っている?
欲しいものはいっぱいあるけど、正直高すぎて全部は買えないですよね。だから着回しがしやすそうなものを選んで買っています。それと、職業柄、ディスプレイの陳列は勉強になりますね。
松中
ひとみ
そうだよね。そもそもハイブランドって上流階級の人たちに向けたものだから、高いのは当たり前。品質はもちろんだけどハイブランドと呼ばれているメゾンは、創設から数百年の伝統や歴史がある。だからこそ人を惹きつけているんだと思うの。たった数十年の歴史じゃないから、貫禄が違うのよね。うちなんてたった50年だよ(笑)!
50年でもすごいと思いますけどね(笑)。
松中
ひとみ
伝統を大切にしつつ、松中くんのような若い人も魅了するコレクションを発信してるのはすごいことだよ。
メゾンブランドのヴィジュアルは、少し前まではヨーロッパ系のモデルが多かったけど、最近はアジア系もみかけますよね。伝統や歴史を考えると、改めて大きな方針転換だっただろうなと思います。
松中
ひとみ
私たちもモデル選びをする時、モデル本人のバックボーンがランドと上手く融合するかを重要視するじゃない。
最近発売した、「ガルフィー(GALFY)」とのコラボアイテムでも、メインヴィジュアルには敢えて日本人を起用しました。日本独特のヤンキー感を出したくて!それにストリートがいい感じにミックスされればいいな、と。シンゴさんのグラフィック処理もさすがです。
松中
ひとみ
左上の男の子 齊木龍之進くんは、シンゴ社長が原宿でたまたま見かけてスカウトしたんでしょ?
そうです。「今度うちの撮影参加しない?」と声をかけたらしいです(笑)。龍之進くんのバックボーンも面白くて、結構やんちゃをしていたようなんですが、最近ABEMAで放映された、ラップスターを発掘する番組にも出場したんですよ。
ツノみたいなヘアスタイルが特徴的で、撮影でも彼自身にヘアメイクをしてもらいました!
松中
「一方でハイブランドが若い子をターゲットにし過ぎているのは気になっている」
ひとみ
話を戻すんだけど、一方でハイブランドが若い子をターゲットにし過ぎているのは気になっていて。お金を貯めて、憧れのラグジュアリーブランドを買うこと自体は否定をしないし、それはそれで素敵だと思うんだけど。
ランドはコストダウンに苦労していますよね。
松中
ひとみ
本当はもう少し安くしてあげたいんだけどね。ロット数も少ないから正直今の価格帯が限界。ラグジュアリーブランドみたいに高価だけど良いものを若い子に向けて発信するのも方法としてはあるけど、うちがそれをやってしまうのは意味がないし、うちの意義がなくなってしまうからね。
ミルクもミルクボーイも国内生産にこだわっていますけど、ランドだけ一部中国で生産したりしているのもそういう理由?
松中
ひとみ
中国生産だったら、コストが下がると思われがちなんだけど今は円安だし、情勢も不安定だし、送料もバカにならないわよ。でも、お金を持っていないけど可愛い服を着たい子のために頑張る(笑)。
それに、中国の方が技術が進歩しているし、彼らはとても真面目で勤勉なの。国民性も違うし、そんなイメージないかもしれないけどね。だから、やりたいことが、やりやすいの。
中国生産がうまく回るまでは長い道のりで、苦労もしましたけどね(笑)。
だからこそ「ガルフィー(GALFY)」とのコラボレーションにも意味があるんですね。
松中
ひとみ
うん。素敵だけど、比較的手に届きやすい価格の服を提供できるでしょ?
ガルフィーって、僕の親世代が着ていた印象が強くて。
松中
ひとみ
うん。90年代はみんな着ていた(笑)。
怖そうなヤンキーが着ている犬のマークの服という印象があって、どことなくダサく感じるかもしれないんだけど、それがカッコいいのよ。
大川ひとみのジャージセットアップの着こなし術
今回のコラボアイテムの中で、ひとみさんの推しアイテムはどれですか?
松中
ひとみ
セットアップのジャージかな。
どうしてですか?
松中
ひとみ
質問に質問で返しちゃって悪いんだけど、どうしてセットアップアイテムってずっと人気があると思う?
楽だし、合わせやすいから?
松中
ひとみ
うん。すぐコーディネートできるから、楽なんだよね。
考えてみれば、セットアップの始まりって多分スーツだと思うの。私はサラリーマンをやったことがないからわからないけど「毎日着る服が決まっている」というのは、忙しい中ではとても合理的なアイテムだし、上下一緒に着ることを前提に作られているから、着るだけでスタイルになる。日本で洋服文化が始まってから100年くらい経っているけど、だからセットアップってずっと廃れていないんだと思う。
ひとみさんなら、このセットアップジャージに靴は何を合わせるんですか?セットアップではありますが、やっぱりジャージなのでラフになりすぎちゃうのが気になって。
松中
ひとみ
私なら、プラットフォームソールの、ビーチサンダルを履いちゃう。ポイントは、しっかりとペディキュアを塗ること(笑)。デザインもスタイリッシュだから、トップスにジャージだけを着て、ボトムスにふりふりのチュールスカートを合わせても最高に可愛い。
海外セレブも、ジャージを着出したし、今一番素敵なドレスはジャージのセットアップだと思うよ。
(聞き手:古堅明日香)
■LAND by MILKBOY×GALFY「GALFYLAND II」
発売日:2023年2月14日(火)
取扱店舗:LAND by MILKBOY ラフォーレ原宿、LAND by MILKBOY札幌、Fathom台場、Fathom広島パルコ、LAND公式オンラインストア、ZOZOTOWN
ラインナップ:開眼チンピラセットアップ(2万4200円)、開眼ガルフィーセットアップ フード+ショーツ(2万6400円)、仲良しTシャツ ガールズ(9900円)、仲良しTシャツ ユニセックス(2サイズ展開、各1万1000円)、フォックステイルチャーム(6820円、全て税込み)
公式オンラインサイト/公式インスタグラム
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