
2013秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP
10月14日から東京で開催される「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 14S/S」。今回は、32ブランドが会期中に作品を発表する予定で初参加するブランドは4つ。今回の特集では、初参加のデザイナーへフィーチャーしてインタビューを実施。ブランドの紹介や服作りについての考えなどを交えながら初参加に至った経緯や思いを聞いた。連載最後に登場するのは、パターンや素材選びに定評のあるメンズブランド「Patchy Cake Eater(パッチー ケークイーター)」のデザイナー森野重紀。
―ブランドは今年で4シーズン目ですよね。
そうですね。それまでは洋服に関わる仕事をしたり、「Patchy Cake Eater」とは別のブランドを立ち上げたりと色々なことをしてきました。
―ブランド名の「Patchy Cake Eater」は、直訳すると「ツギハギだらけのやさ男」という意味ですが、どのような思いが込められているのでしょうか?
僕は、最初からデザイナーを目指してきたわけではなく、色々な経験を積んでいるうちにデザイナーになったという感じ。だから、これまで人生経験で作られたアイデンティティがどことなくツギハギだらけだと思い「Patchy」を名前に入れました。いざ作る側になると、糸一本に始まり人間関係を含め細かいことの積み重ねが多く、女性のような繊細さが求められるなと思うようになり、男性がファションを楽しむためにはいわゆる「やさ男」のような感性を持つことが必要かなと思うようになりました。こうした理由から「やさ男」がオシャレをして遊びに行こうと思えるようなそんな服を作りたいと考え「Patchy Cake Eater」というブランド名にしました。
―デザインのインスピレーション源は?
自分の中にある欲望のようなものとしっかり向き合うことで服作りに活かしています。実はここ3年間、買い物もせず、雑誌も読まず、ネットも見ない生活を送っていて、ファッション情報を3年くらい遮断しているんですよ。自分の着たい、作りたいものだけを発表していきたいと思っているので、そのために服に対してお腹を空かせることが必要じゃないかなって。服に飢えた状態が一番アイディアが浮かぶと思っているんです。もちろんそれだけではなかなか難しいものがありますから、自分の中で浮かび上がってきたイメージを、周りにいる方々のアドバイスで肉付けをして具体的なディティールに落とし込んでいます。
―コレクション制作のアプローチについては、デザイン画から始めていますか?
デザイン画を書かないんですよ。OEMが工場に発注する仕様書のようなものを描いて、そこから商品に仕上げていきます。もちろん製作の過程で調整することはありますが、ディティールに関しては最初の段階でほとんど決めてしまいます。
―パターンにこだわりがあるんですよね。
基本的にはOEMですが、パンツやテーラードジャケットは知り合いのテーラー屋にマスターパターンをお願いしています。工場とテーラーでは仕様が違うので既成品に仕上げるためにはなかなか手間はかかりますが、その分袖の付け方や肩のラインなどに違いが現れていると思いますね。男の戦闘服ではないですけれど、着ることでパリっと引き締まる感覚を持ってもらうために基本となるパターンはしっかり抑え、その上からデザインで遊びを入れてブランドの特徴を表現しています。
―ショーで発表するコレクションはもう完成していますか?
今シーズンは6月に行われたイタリアのメンズプレタポルテの見本市「Pitti Immagine Uomo(ピッティ・ イマージネ・ウオモ)」に初参加したこともあって8割くらいは完成しています。現在ショーの開催に合わせて追加で何着か制作している段階です。

2013秋冬コレクション
―今シーズンのテーマを教えてください。
詳細はまだ言えませんが、わかりやすく言えば映画にもある"モダーンズ"で、スポーツテイストのアイテムにモード感を残しながらモダンなデザインに仕上げています。
―「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 14S/S」に今回初めて参加しますが、以前にもショーを開催されていますね。
去年7月に「valveat 81(ヴァルヴィート エイティーワン)」で2013春夏コレクションを行いましたが、自分が満足するようなものにはなりませんでした。反省を踏まえて、しっかり演出家さんにもお願いして、皆さんに見て頂けるような時期に合わせて開催したものが2回目のショーとなった「IDOL(アイドル)」で発表した2013-14年秋冬コレクションです。じゃあ今度はより広い会場で、より多くの方にショーを観てもらいたいと思ったので「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO」に参加することを決めました。
―発表形式の予定は。
ランウェイショーを行います。ルック数はまだ確定していないですが、前回が33体で少し多いかなという印象を受けたので、今回は多少減らした数になると思います。
―ウィメンズを製作することに興味はありますか。
ないですね。ただウィメンズを専門にしている人が周りには多く、その影響もあってかそこまで無骨な服には仕上がっていないと思います。パターンへのこだわりもそうですが、ミシンピッチを5ミリのところを4ミリに変えるなど細かい仕様にもこだわっているせいか、展示会では女性の方も手にとってくれます。「0サイズがあれば買う」と言ってくれることもよくあるので、ウィメンズを作ろうとは思っていませんが0サイズを作ることはこの先あるかもしれません。
―今後の展開について。
まずは東コレですね。そこで如何に評価され、継続してやっていけるかどうかが大切だと思っています。そして本当に服が好きなのでずっと作り続けていたいとは思いますね。参加できるのであればまた「Pitti Immagine Uomo」に出展してみたいです。

森野重紀
■ブランド:Patchy Cake Eater
Patchy Cake Eaterとは、直訳すると「ツギハギだらけのやさ男」。普遍的なデザインを追求しながら、少しめかしこんだ様、さりげなく匂い立つエレガンスを意識。 いわば、男性服を女性が着たときのマスキュリンさを、そのままもう一度男性へと戻した感覚です。 そのベースとなるのは、テーラリングの技術、そして日本でこそ可能な職人技を駆使した上質素材。クラシックな要素、ヴィンテージのディテールに倣いつつも遊びをプラス、現代的なバランス感で再構築し、全てにおいて今の大人が着るに相応しいクォリティーを目指しています。
■デザイナー:森野重紀
メンズファッション専門学校にて縫製や素材など物づくりを学ぶ。2009年会社設立。2012年、自身のブランドPatchy Cake Eaterを立ち上げ、現在に至る。
ADVERTISING
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【インタビュー・対談】の過去記事
F/STORE
新着アイテム
1 / 5
2013秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP
現在の人気記事
NEWS LETTERニュースレター
人気のお買いモノ記事