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「バイレード」のメイククリエイティブで大切にしていることは? ルチア・ピカが語る新リップのこだわり

(左)ルチア・ピカ、(右) リフィラブル リップスティック サテンのキャンペーンヴィジュアル

Image by: © Zoë Ghertner

(左)ルチア・ピカ、(右) リフィラブル リップスティック サテンのキャンペーンヴィジュアル

Image by: © Zoë Ghertner

「バイレード」のメイククリエイティブで大切にしていることは? ルチア・ピカが語る新リップのこだわり

(左)ルチア・ピカ、(右) リフィラブル リップスティック サテンのキャンペーンヴィジュアル

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 長年メイクアップシーンの第一線で活躍し、現在は「バイレード(BYREDO)」のクリエイティブイメージ&メイクアップパートナーを務めるルチア・ピカ(Lucia Pica)。フレグランス好きだけでなく、ファッション感度の高い人たちからも熱視線を集めるブランド、バイレードのトレンドの半歩先ゆくメイクアップアイテムの数々は、世界中のメイクフリークを虜にする。またルチアのメイクアップ人生を振り返ると、2015年から6年間勤めた、「シャネル(CHANEL)」でのグローバル クリエイティブ メイクアップ&カラーデザイナーも特筆すべきキャリアだ。そんなキャリアを持ちながら、ルチアはバイレードの仕事を「これまでとは異なる環境」と表現する。メイクアップライン誕生とともに発売したリップスティックのリニューアルを含め、ルチアにとってバイレードでメイクアイテムを作るということはどういうことなのか?ブランドのファウンダー兼クリエイティブディレクターのベン・ゴーラムとはどんなコミュニケーションが生まれているのか?そのこだわりについて語ってもらった。

■ルチア・ピカ
2008年からフリーのメイクアップアーティストとして数々のファッション誌、広告キャンペーンなどでキャリアを重ねる。2015年から6年間、シャネルのグローバル クリエイティブ メイクアップ&カラーデザイナーを務めた。2022年よりバイレードのクリエイティブイメージ&メイクアップパートナーに就任。

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ーーこれまでユルゲン・テラーやスティーヴン・マイゼルなど多くの著名なフォトグラファーとコラボレーションし、名だたるメゾンで仕事をしてきたルチアさんですが、そうした現場で影響を受けてきましたか?

 もちろんです。本当に多くのフォトグラファーの方々と仕事をしてきて、多大なインスピレーションを受けています。ただ、フォトグラファーだけではなく、さまざまな現場でのクルー全員から刺激を受けたと言っていいでしょう。彼ら、彼女らのさまざま角度からアイデアをもらっています。作品に対する取り組み方や進め方は本当に千差万別で、私はそのバリエーションが大好き。例え同じクルーで撮影に挑むとしても、違う日、撮影のセットアップが異なれば、全く違う感性で向き合うことになり、新しいものが生まれます。そうしたすべての現場が刺激的で、楽しみなんです。

ーーシャネルでの大役を経て、バイレードのチームに加わってからは2年が経ちました。これまでの仕事との違いや、ご自身の中で何か意識の変化はありましたか?

 もちろん、たくさんのことが変わったと感じます。ベンと一緒にバイレードのコスメティックを担当することになった時に、ベンからまずフレグランス作りをどうしているのか、どんなストーリーを描こうとしているのかを聞いたんです。彼は記憶や体験、経験、とてもエモーショナルな要素に基づいて香りを創造しているのだとわかりました。そうした内面的なインスピレーションについて彼から多くを学びました。私にとってそのプロセスは新鮮で、これまでと異なる経験でした。

ルチアがこれまでバイレードで生み出してきたアイテム(一部※現在完売しているアイテムも含む)

ーーでは、ルチアさんがバイレードのメイクアップアイテムについて考えるときは、ベンさんとのコミュニケーションや感情的なエピソードが重要な要素になるのでしょうか。

 ベンとはブランドについて、プロダクトについてさまざまな話をするのですが、例えば今度何を作ろうかとなったとき、「あの素材を使いたい」「どんなシェードにしたい」と彼から具体的な要望が出てくることはないんです。

 もっと大きなトピックというか、ブランドを通じてこんなストーリーを描きたいとか、こういう世界観を表現していきたいという感じで、全体感についてあらゆる視点でコミュニケーションを深めていくんです。一見関係がないような、どんな人生だったか、最近面白いと思うことは何か、お互いのクリエイションについてのあれこれを話して、そこからプロダクトのインスピレーションが湧いてくるんです。

ーーフレグランスを中心としたバイレードにおけるメイクアップの役割について、ルチアさんはどう解釈していますか?

 ベンとの会話の中でとても印象に残っていることがあります。フレグランスをつける時、香りは目に見えないけれど、確かに“香りが物語る何か”があると。この話はとても私の心に響いて、私が作るメイクアップのアイテムでもそのストーリーを描こうと思ったのです。メイクアップは香りと反対に目に見えるものですよね。それでも、バイレードがこれまで香りを通じて伝えてきた“目に見えないストーリー”を、今度は目に見える形でどう生み出せるだろうかと考えています。今、バイレードでのクリエイションではそんなことに挑戦しているのですが、とても刺激的ですよ。

ーーバイレードのリップスティックはメイクアップラインのローンチから展開しているアイテムです。今回どんな点がパワーアップしましたか?

 新しく発売する「リフィラブル リップスティック サテン」は、まずフォーミュラが進化しました。それによって、ベンと私が大切にしている、内面から湧き出てくるものが伝わるようなリップスティックを作ることができたと思います。

 例えばこれを塗った時、見た目はクラシカルで、ある意味伝統的なリップスティックのニュアンスを持っているのですが、食事をしたり時間が経つとリップが落ちていく過程さえ、時間の移ろいを描く、そんなエモーショナルな変化と瞬間を楽しめる仕上がりになっています。リップをつけている最後の瞬間まで感情を揺さぶるようなものを完成することができたと思います。

■リフィラブル リップスティック サテン(全10色)
発売日:6月6日
本体 税込各8690円、リフィル 各税込6050円

ーーマットタイプも登場しますが、こちらのポイントは?

 一般的なマットタイプのリップには、質感を出すためにパウダリーな粉体を取り入れているものが多いのですが、バイレードチームの素晴らしい研究によって今回はそれを一切使わずにマットな仕上がりを叶えることができました。一言でいうと、ものすごくモダン。気持ちの昂りや繊細さまでも描くようなものです。

 今回のリニューアルで、バイレードのフレグランスが持つ記憶との蜜月関係のようなものを、メイクアップで表現できたのではないかと思っています。「記憶に残るリップスティック」を作ることができました。

©︎Zoë Ghertner

©︎Zoë Ghertner

■リフィラブル リップスティック マット
発売日:8月29日
本体 各8690円、リフィル 各6050円

ーーバイレードのマットリップはリキッドタイプ(リキッドリップスティック マット)もありますが、どのように使い分けたらいいですか?

 スティックとリキッドタイプは剤型が全く異なりますから、使用感が違いますよね。どんな時にこれを使わなければならないというルールはありませんから、私の撮影でも、スティックのマットタイプを塗った上からリキッドを重ねる時もあります。人それぞれの好みや感性、つけるタイミングで自由に選んでいただければと思います。

ールチアさんがこれまで生み出したプロダクトではカラーバリエーションにも注目が集まっていました。今回のリップは10色に絞るのは大変ではなかったですか?

 私のこれまでの仕事について知っていてくれて嬉しいです。おっしゃる通り、このサテンの質感で10色に絞り込むことは本当に難しい作業でした(笑)。ベージュ系はこの色でブラウン系はこの色というように、いくつかのトーンから選び抜いて最終的に10色に決めましたが、そこにいたるまで膨大な数のアイデアがありました。今回はこのカラーラインナップですが、私としては次の作品につながるヒントにあふれていて、楽しくもありましたね。

ー今日つけているリップも新作ですか?

 もちろんです。今日選んだのは1番好きなカラーで、バーガンディレッドの「235 Redolence」。この色の名前は「バイレード」の元になった古い英語の「by redolence」からとりました。「香りが思い起こす」という素敵な意味があって、まさに記憶や経験、うちなる感情を表現するブランドらしさを表す言葉ですよね。ベンにとっても、今や私にとっても大切な言葉であるこの名前を、1番好きな色につけたんです。

235 Redolence

235 Redolence

気は早いですが、最後に今後のメイクアイテムの予定について教えてもらえませんか?

 まだ多くは語れませんが、たくさんのアイデアがあって動いています。バイレードでは毎年ホリデーコレクションを作っているのですが、今その企画が進んでいます。それから来年発表予定のアイシャドウパレットも。まだまだ控えているものはあるのですが、今お話しできるのはこれだけ。でも、私も早く紹介したくてワクワクしているので、楽しみにしていてください。

■バイレード:公式サイト

Interviewer:福崎明子、平原麻菜実
Text&Edit:平原麻菜実

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