Image by: KURO
デニムウェアを主力アイテムとして展開するトータルウェアブランド「クロ(KURO)」が女性客から大きな支持を得ている。もともとはメンズウェアブランドとして2010年に始動したクロだが、近年は「ロク(ROKU)」や「シティショップ(CITYSHOP)」との別注アイテムの展開や、「スタニングルアー(STUNNING LURE)」とのコラボレーションをきっかけに女性への認知が拡大。2020年ごろまでは売り上げのうち1割にも満たなかったという女性客は現在では約7割を占め、ウィメンズセレクトショップへの卸を開始した3年前と比較すると女性客による売上は約3倍に成長したという。
デザイナーの八橋佑輔が手掛けるクロは、「本物を着る。文化を着る。妥協なき現代の日常着。」をコンセプトに掲げる。国内生産に徹底し、オリジナリティのある自由なデザインを、熟練の職人たちの手による細やかなディテールや洗練されたシルエットで表現している。クロのインラインコレクションでは、デニムスカートもユニセックスで提案しており、ウィメンズラインを設けているわけではないが、別注やコラボアイテムに関しては、リメイクデニムをウィメンズ向けに製作したり、メンズでのデザインをウィメンズ向けにアプローチしたことが変化につながったという。
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好調を後押ししたセレクトショップとの別注では、パッチワークが施されたデニムや「スーパーハイライズデニム」といったオリジナリティの強いデザインを展開。洗練性がありながら遊び心があるクロのクリエイションは「一癖あるデニム」を探す女性客に刺さり、支持につながったとブランド担当者は分析する。
いち早くクロを取り上げたシティショップのコンセプター片山久美子は、「高度な職人技術を特徴とするクロは、その技術力でしか成立しない攻めたデザインも実現できる点が他のブランドと一線を画すポイント」と説明。シンプルなデザインよりもデザインの効いた“一癖のある”アイテムが動いているというシティショップでは、クロの別注アイテムが毎シーズン即完売するという人気ぶりで、顧客の間でも「早く店舗に行かないと手に入らない」という認識が浸透しているという。
デニムアイテムに並んで女性客からの支持が厚いのは、ダメージ加工が施されたスウェットトップス。カジュアルテイストのアイテムを大人の女性でも取り入れやすいように上品さを残して仕上げるのも、クロならではのクリエイションと技術力だ。片山も「古着風の加工が施された新作アイテムは近年多く見られますが、クロは現代的なシルエットや洗練性という軸をぶらさずに、リアリティのある古着風の加工を施す技術が特に優れています。まさに“ファッショナブルな職人”」と太鼓判を押す。
クロは、今年11月に富ヶ谷にリメイクアイテムとコレクションのフルラインナップを揃える初のコンセプトショップをオープンするなど国内展開を着実に拡大している。「もともとウィメンズ認知がほぼなかったので、今後も認知力アップを目指し、ウィメンズならでのデニムのデザイン性を強化していきます」と八橋。3月からはパリでの展示会にも参加し、海外へのアプローチも強化していく考えだ。
◾️クロ:Instagram
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