神戸阪急が2023年度中の完成を目指して進める改装の第1弾として、本館2〜4階に「KOBE HANKYU BEAUTY」をオープンした。約1700平方メートル規模、1.7倍になった化粧品売り場は、トータルビューティが叶う館へと生まれ変わった。リモデルオープンから約2週間が経ち、「連日多くの人で賑わい、計画を大きく超える順調な滑り出しを切った」という。今、神戸阪急が伝えたいビューティとは?ビューティー営業統括部 化粧品商品部 マーチャンダイザーの藤尾瑞子氏と同バイヤーの大野暁氏に聞いた。
ー化粧品ですがこれまでの1フロアから3層に広がりました。まずは今回の改装のポイントを教えてください。
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大野暁バイヤー(以下、大野):これまではメイクブランドが中心でしたが、日常で使いたいアイテムから、特別な日に綺麗になりたいといったときまで、ひとりのお客さまのさまざまなシーンを想定して全て揃えました。
ーフロア構成について教えてください。
大野:まず2階ですが、約900平方メートルに国内外のブランドを揃える「ラグジュアリービューティ」を展開します。プレミアムキャビンやウェブカウンセリング、バーチャルメイク、非接触型測定など新しいビューティ体験を提供します。
展開ブランド:29ブランド
本館1階から移設リニューアルブランド:25
RMK、アルビオン、イプサ、イヴ・サンローラン、SK-II、エスティローダー、エスト、
カネボウ、クラランス、クリスチャンディオール、クリニーク、クレ・ド・ポー ボーテ、
コスメデコルテ、資生堂、 ジバンシイ、ジルスチュアート、シャネル、スック、スリー、
トムフォードビューティー、フレグランス、ポーラ、ポール&ジョー、MAC、ランコム
新規導入ブランド:4(うち神戸初3ブランド◎)
◎ナーズ、◎ファイブイズム バイ スリー、◎メゾン・クリスチャンディオール、アディクション
3階は300平方メートルで展開する「ライフスタイルビューティ」です。「地球にも私にもやさしい」国内外のナチュラル&オーガニックの最新バス&ボディコスメを集積。ファッションの街、神戸のお客さまのライフスタイルが充実する7つのブランドを揃えました。
展開ブランド:7(すべて新規導入、うち神戸初出店4ブランド◎)
◎アヴェダ、◎エトヴォス、サボン、ザボディショップ、◎ハーン、メルヴィータ、◎レルボラリオ
4階は約500平方メートルで展開する「ビューティサロン」を集めたフロアです。神戸のエレガンスなファッションやビューティを取り扱うフロアを目指し、ネイル、アイラッシュ、アイブロウ、シェービングなど、専門性の高い施術、肌の悩みに応えるハイタッチカウンセリングのコスメ、最新のビューティーギアを集積し、自分磨きができる感度の高い“美”の体験を提供するフロアです。従来は予約して行くことが多いと思いますが、自由にクルージングしてもらえるような、歩いているだけでも楽しいゾーンとしています。
展開ブランド:9
移設リニューアルブランド:6
アクセーヌ、アナスタシア ミアレ、カバーマーク、ケサランパサラン、ネイルズユニーク・アルティミッド、リファ
新規導入ブランド:3(すべて神戸初出店)
メゾンビューティーフェイス、ヤーマン、エフェクティム(期間限定)
ー一人の顧客でもニーズは多様化していますが、そのニーズに対応するということでしょうか?。
藤尾瑞子マーチャンダイザー(以下、藤尾):これまでの神戸阪急のビューティのお客さまは、トレンド発信のうめだ阪急とよく似た構造で、館全体で少し若い世代に向け、メイクブランドを中心に取り扱っていました。実際、トレンド感のあるアイテムを手に入れた後、その次にお客さまがほしいと思う、ボディケアなどのライフスタイルやフレグランスなどは、神戸阪急の外に行かなければならない状態でした。そこで、ライフスタイル系で7ブランドを揃え、さらには「もっとお手入れを楽しみたい」といった人に向けて、4階には施術系ブランドを導入したことで、神戸阪急でビューティライフが完結する形を取りました。
ーこれまでとは全く違うフロアになったのですね。
藤尾:手前味噌になりますが、本当にすばらしい、ワクワクするビューティをお見せできるようになったと思います。
大野:買い物をしなくても、そこに居るだけで、楽しめるフロアになったのではないでしょうか。
ー2階のラグジュアリービューティですが、これまで1階で展開していた化粧品売り場との違いは?
藤尾:今の潮流を鑑み、ライブ配信やウェブカウンセリング、デジタル施策などを取り入れ、単なる化粧品を売るということではなく、その場とお客さまがつながることができる売り場になっています。
大野:ブランドでいえば、新ブランド、神戸初ブランドも揃えゾーニングにもこだわっています。“お友だち”ブランドも揃っていますし、先ほど藤尾も言いましたが、オフライン、オンラインでもつながっていけるような取り組みで、お客さまづくりを進めたいと思っています。
ーゾーニングを拝見すると、これまでの若年層だけでなく、もう少し大人の層もターゲットにしているということですか?
藤尾:年齢でいえば幅広くなるかもしれませんが、どんな風にビューティに関わりたいか、日常使いのコスメを選びたい人、ギフトを選びたい人、自分自身がもっときれいになるためのお手入れをしたい人、家でデジタルで選びたい人。お客さまが選択できるようなビューティの館になったと思います。
ーこれまで1階が化粧品フロアでしたが、1階に化粧品は残らないのでしょうか?
藤尾:一部、フレグランスが残ります。1〜4階までアイテムで分類したというよりは、全てのフロアはファッションと連動し横とのつながりから、相性の良いアイテムを揃え、相乗効果を図りたいと考えています。
ー三宮という土地もポイントですね。
藤尾:西の玄関口である三宮の駅前の立地になります。JRや私鉄など主な電車、地下鉄、さらには高速バスの発着所があります。中四国といった広域からお客さまも取り込めることから、そこに相応しい化粧品フロアとは?と考えたました。だからこそ全てのアイテムを揃えようと。また現在、駅前は再開発中です。数年後にはより神戸阪急でお買い物しやすい環境になると思います。
ーそのセレクトの基準は?
藤尾:核となるのは、阪急らしく、楽しくお客さまが買い物できるショップ。その上で、お客さまがどんな風にお化粧品と向き合いたいか、それを考えたこだわったセレクトになっています。
ーコロナ禍も2年半が過ぎました。コロナ前との変化や、その変化が今回のリモデルに影響を与えていますか?
藤尾:コロナは神戸阪急に限ったことではありませんが、マスクをした状態が続いたことで、マスクを想定したフルお手入れや、フルメイクが基本になっています。お客さまのニーズとして、この2年間でやりたかったこと、やってほしかったことは、プロにメイクを教えて欲しいということだと思います。Instagramなどでの発信も増えましたが、その中心はあくまで発信者であって、自分軸ではありません。自分軸で提案してくれる百貨店の店頭は、今、お客さまが戻って来ており、楽しんでくださっている状態です。そういった意味で、そのニーズに対応する、このリモデルオープンはとても良いタイミングだと思います。まもなくクリスマス商戦を迎えるので、数字も上向きに推移すると思っています。
ーリニューアル後の売上目標を教えてください。
大野:最低でも初年度は前年比130%を目指します。地域1番店を目標とし、お客さまと一緒に楽しみながらお店をつくって行けたら、数字はその後自然についてくるのではないでしょうか。
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