Image by: JO MALONE LONDON
ブランドの世界観を発信する大きな役割を担うアンバサダーが今、さまざまに話題になる。ビューティにおいても、多くのブランドがアンバサダーを起用する。連載「美を伝える人」第5回では、「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」のグローバルアンバサダー、アジョワ・アボワー(Adwoa Aboah)氏をフォーカス。モデルや俳優として表舞台で輝きながらも、メンタルウェルネス活動家として悩みを抱える思春期の女性たちに寄り添う活動を続けている。アボワー氏のこれまでと、これからーー。
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◾️Adwoa Aboah(アジョワ・アボワー)イギリス出身の俳優、モデル。メンタルヘルス活動家。次世代のリーダーとして米「タイム」誌の表紙を飾り、「フォーブス」誌では「30 Under 30」にも選出された。メンタルウェルネス問題で苦労した過去をもとに、悩みを抱える思春期の女性たちの心をサポートするプラットフォーム「ガールズトーク(Gurls Talk)
」を設立。世界中で開催するイベントやSNSなどを通してメッセージを発信し続けている。昨年6月、長年メンタルウェルネス問題に取り組んできたジョー マローン ロンドンのグローバルアンバサダーに就任、ともにメンタルウェルネスの啓蒙活動を行う。
ー幼少期はどんなお子さんでしたか?
とてもシャイな子どもだったわ。ナーバスで、自分にまったく自信を持てていませんでしたね。
ーなぜ? こんなに素敵なのに!
ありがとうございます。でも、とにかく自分に自信がもてなくて、周囲に対して劣等感を抱いてばかりいました。大人になっていく過程でいろんな経験を経て、少しずつ自信をつけていくことができました。10代のころって、どうでもいいようなことばかり気にして考えすぎてしまったりするでしょう? 私の10代はずっと、そんなマインドに支配されていたなと今振り返ると思います。
ーとても辛い想いを抱えて10代を過ごしてきたのですね…。それを乗り越えてモデルや女優として活躍されるまでに自分を高められることは並大抵のことではないですよね。モデルや女優になることは幼いころからの夢だったのですか?
正直、ティーンのころに明確な夢というものはありませんでした。モデルになるなんてもちろん考えていませんでしたが、父が撮影をコーディネイトする会社のオーナー、母がフォトグラファーなどのアーティストマネジメントを行う会社の経営者というクリエイティブな業界を身近に感じる環境で育ったせいか、「演じる」ということに幼いころから漠然と興味があり、自然な流れでその道に進みました。
俳優業は13歳から18歳まで、大学でも演劇を専攻していましたが、卒業後はモデルとしてキャリアをスタートさせました。でも、メンタルウェルネスに問題を抱えていた時期だったから、周囲のモデルたちと自分を比べて落ち込んだりすることが多く、だんだん心身がむしばまれていってとても辛かったですね。
ー確かに、ティーンエイジャーのころって、今考えると大したことがないように思えることでも、すごく大きく捉えて必要以上に落ち込む…ということはありますよね。
私の場合は長年メンタルウェルネスに問題を抱えていたから、その感情が人よりも強かったんだと思います。とにかく自分に自信が持てなかったし、自分自身のこともまったくわかっていなかった。何かあると内にこもってしまうようなところもあって、自分自身のアイデンティティを常に探し続けていたような気がします。すごく混乱していて、あんまりハッピーではありませんでしたね。
ー混乱とは?
恋愛とか家族のこととか…。そういう自分の中での心配ごとで常に頭や心が支配されていたと思います。ただ唯一幸運だったなと思うのは、ネガティブな状況に陥ってしまった時でも、信頼できる友人がいつも側にいてくれたこと。彼らに感化されて、「何かに情熱を注ぐ」というようなポジティブな方向へ進んでいくことができたと思っています。
ーその“情熱”とは、現在取り組んでいらっしゃるチャリティワーク「ガールズトーク(Gurls Talk)」のことですか?
それもありますね。立ち上げ当初は人生のどん底だったので、こういう活動をするなんて考もしませんでしたが、「コミュニティに対して何かしたい」とか「自分1人じゃないんだよ、というメッセージを何らかの形で発信できたら」という思いは、ずっと心の内に秘めていました。友人たちのサポートもあって、少しずつ実現していくことができました。
Gurls Talk
思春期の少女と若い女性の精神的健康と幸福の促進に特化したコミュニティ主導の非営利団体。アジョワ・アボワー氏のメンタルヘルスに関する個人的な経験に基づき、オンラインとオフラインの両方で安全な場所を提供することを目的に設立。少女や若い女性たちが、経験を共有するとともに、孤独を感じたり心を閉ざしたりしないよう、学術機関やメンタルヘルスの専門家と提携し、心理教育を提供する。ポッドキャストやライブイベント、オンラインコミュニティなどを通じて、心に寄り添いながら、メンタルヘルスに関する偏見を取り除くことにも取り組んでいる。
ーガールズトークへの想いをお聞かせください。
ガールズトークではメンタルウェルネスに重きをおいています。私自身の経験からもたくさん語れますし、学術的な事実もしっかり伝えて、私のように悩んでいる若い女の子たちの力になれたらと思っています。自分たちの小さな世界に囚われてなかなか声を上げられない、そういうかつての私のような女の子たちに、もっと安心して言葉なり発信なり、話ができる場所を与えてあげるというようなことをしていきたかったんです。
ーこれから発信していきたいことはありますか?
ジョー マローン ロンドンとメンタルヘルスという重要課題への取り組みに対し、情熱を共鳴することができてとても光栄です。多くの人に知ってもらい、理解してもらえる活動に力を入れていきたい。
今回のキャンペーン写真は、あえてこれまでとはまったく違うチャレンジングなものにしています。ここからジョー マローン ロンドンに初めて触れる人が増えたら嬉しいですし、その奥にある私たちのメッセージも受け取ってもらいたいという想いもあります。また、ガールズトークではポッドキャストも配信しているので、さらにいろんなメンタルウェルネスをサポートするような取り組みやメッセージを広く伝えていけたらと思っています。
(文・ライターSAKAI NAOMI、聞き手・福崎明子)
■ジョー マローン ロンドン:公式サイト
美容ライター
美容室勤務、美容ジャーナリスト齋藤薫氏のアシスタントを経て、美容ライターとして独立。25ansなどファッション誌のビューティ記事のライティングのほか、ヘルスケア関連の書籍や化粧品ブランドの広告コピーなども手掛ける。インスタグラムにて、毎日ひとつずつ推しコスメを紹介する「#一日一コスメ」を発信中。
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