photo by FASHIONSNAP
東京のファッションウィークは、ショーや展示会、関連イベントを含めたファッションの祭典として、春と秋の年2回開催されています。1985年秋に「東京コレクション」がスタートして以来、体制を変えながら31年目となる今年は、新たにAmazon.comの日本法人アマゾンジャパン合同会社が冠スポンサーに決定。名称が「Amazon Fashion Week TOKYO」に変わりました。10月の初開催に先駆け、東京のファッションウィークの実状を調査し課題や意見を浮き彫りにするため、FASHIONSNAP独自のアンケートを実施。ファッション業界内外の様々な職業の方々から生の声を集めました。
目次
ADVERTISING
東京のファッションウィークとは? これまでの歩み
1985年に発足した東京ファッションデザイナー協議会(CFD)によって同年11月に第1回東京コレクションが行われ、以来20年間にわたって自主開催。2005年に日本ファッションウィーク(JFW)推進機構が立ち上がり、官民一体となって同年10月に「東京発 日本ファッション・ウィーク(JFW in TOKYO)」が初めて開催された。2010年7月に、JFWの自立化とグローバル化を図るため米IMGとスポンサーシップ販売代理店契約を締結。2011年から2016年3月開催までメルセデス・ベンツ日本が冠スポンサーを務め、2016年10月開催からはアマゾン ジャパン合同会社が冠スポンサーを務める。東京は「世界4大ファッションウィーク」(NY、ロンドン、ミラノ、パリ)に並ぶ主要都市の位置付けで、「世界5大ファッションウィーク」に含まれることもある。
なお、JFW推進機構が掲げてきたファッションウィークのスローガンは次の通り。
- 世界に向けた新人デザイナーの登竜門に
- 「創」(デザイナー)、「匠」(製造事業者)、「商」(アパレル・小売)の連携の起点に
- 東京をもっとおしゃれで楽しい街に
>>東京コレクションはどのようにして始まったのか?歴史と変革
アンケート概要
FASHIONSNAPの独自アンケートは、ファッション関係者(経営者、デザイナー、広報、バイヤー、ジャーナリスト、スタイリスト、モデル事務所、等)をはじめ、ファッションに関わる可能性のある職種の方々を対象に幅広く実施。今回は集まった221の回答から、グラフとコメントで調査結果をまとめました。
Q1
東京のファッションウィークおよび関連イベントに関わった・参加した経験はありますか?
Q2
東京のファッションウィークの印象は?
Q3
あなたの職種にとって、東京のファッションウィークはビジネスの場になると思いますか?
Q4
東京のファッションウィークはBtoBとBtoC どちらの方が良いと思いますか?
Q5
ファッションウィークは日本・東京に必要だと思いますか?
Q6
東京のファッションウィークに必要、および参加して欲しいブランドは?
Q7
東京のファッションウィークについてのご感想や、良い点、要望、課題、改善点といったご意見をお聞かせください。
Q1. 東京のファッションウィークおよび関連イベントに関わった・参加した経験はありますか?
約9割が仕事および来場者として携わったことが「ある」と回答。「ない」と回答した人の理由としては「仕事上で繋がりがなかった」が最も多く、「充分な資金がない」(服飾デザイナー)、「一般消費者はメディアを通して見るという印象」(大学教授)、「参加ブランドに興味がない」(学生)といった声も寄せられました。
「とても面白い」「面白い」回答者のコメント抜粋
- 若手が粗削りながら元気。(経営者)
- 東京のファッションの面白さに触れられる一方で、ファッション関係者向けのものが多く、異業種を取り込めたらもっと面白くなると思う。(学生)
- 日本の技術力、クリエィティブ力を世界にむけて発信できるチャンスがある。少しずつだが、世界で通用するクリエーターが出て来ている。(生産・素材・工場)
「どちらでもない」回答者のコメント抜粋
- アジア圏のファッションウィークと比べてデザイナーのレベルは東京が上だがバイヤーや会場と観客の熱気はアジアの方が熱い。悪くは無いが、もっとおもしろくなるはずなのに伸び悩んでいる印象。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- ジャーナリストとして取材するのはブランドによって面白さは感じるが、マネタイズには遠い。全体的に日本ならではの良さがなく外部への発信や認知が不十分なこともあって、一般から見たら面白いつまらないの前に印象は「無」だと思う。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- つまらないとは思わないが、革新的であったり驚きであったり、といったことは特にないので、面白いという印象でもない。(バイヤー・ディストリビューター)
- 日本を代表するブランド集まっているわけではないから、世界のファッション・ウィークと比較したら物足りない。しかしブランド単位で見れば、毎回新しい発見がある。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
「つまらない」「かなりつまらない」回答者のコメント抜粋
- 集客ができるブランド(ビジネス的にも成功していると言える規模のブランド)が圧倒的に少ない。(コンサルタント)
- ファッションウィーク自体の時代との不適合性。(経営者・クリエーター)
- 誰の為のイベントで何を目的としているのか全くわからないから。(経営者)
Q3. あなたの職種にとって、東京のファッションウィークはビジネスの場になると思いますか?
半数弱が「なると思う」で最も多い結果になりました。「日本は世界でみてもファッション大国で意識が高い」という位置付けから、戦略や仕組みによって「ビジネスを生み出す可能性はある」という回答が多数。しかし一部では「可能性はあるが実際には満足のいくビジネスになっていない」という側面も浮き彫りになりました。
「なると思う」回答者のコメント抜粋
- すぐに実売につながるかは疑問なものの、少なくとも国内におけるPRの場としてはこれ以上のものはない(服飾デザイナー)
- ファッションウィークと店の連動企画を考えるようにしている。ショーの高揚感を維持したまま買い物をしてもらい実績が取れた経験があり、取り組み方一つでビジネスに変えられる。ライブ感のあるドキドキを店頭でも感じることができたら、ドキドキはビジネスに変えられると確信している。(バイヤー・ディストリビューター)
- 新しい才能を発掘できる。(経営者)
- ファッションウィークは今、デジタル化させないと全く意味がないので、どのようにタイムリーに国内外の人たちに発信するかによってビジネスになる。リアルなミレニアル世代がデジタルを徹底的に戦略にするべき(経営者・PRコンサルタント)
- 報道する意義はある。東京のファッションが盛り上がらなければ、日本のファッションビジネスは衰退するから。東京のデザイナーもアパレル経営者もそのことを理解していない。一方、アジア各国・地域に行くと東京の状況は必ず聞かれる。聞かれるうちに東京が浮上しないと、注目されることもなくなるだろう。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- なるとは思うが、ルックの撮影のためにあれだけ多くのカメラマンは必要無いし、年々人数は減っていくと思う。(フォトグラファー)
「なると思わない」回答者のコメント抜粋
- 時期がかなり遅いのでバイヤーの予算がない。(服飾デザイナー)
- 時期がかなり遅いのでバイヤーの予算がない。(服飾デザイナー)
- ショーをメディアで観てもらうことでブランドイメージを高めるという従来の手法自体が古くなっていて、消費者志向に合っていないのではないか。若手ブランドに関しては顧客との接点として見直し、体験を通じた新規客開拓、ブランドロイヤリティの向上などのビジネス効果を考えるべきだが、十分なマーケティングができていないのでは。(経営者)
- クリエーティブ性のみ突き詰めても伝わらなければ意味がない。"売る"為にどうするかを関連した業界全体が連動して運営し、仕掛けられなければ存続できない。(経営者)
「どちらでもない」回答者のコメント抜粋
- ファッションショーだけが発表の場所では無いので、わくわくさせる様な発表と地方の産業などを巻き込んだビジネスが出来ればと思っている(服飾デザイナー)
- 東京のファッションウィークでランウェイショーを行い、服を売ったという印象があるブランドは20分の1程度。プロモーションとしてコレクションを行い、スポンサー契約に繋げるといったブランドは10分の1という印象。(広報・PR)
- 驚きや革新的な発信などは無い印象なので、必ずビジネスのつながるとは言えない。知る機会、参考にする機会にはなる。(バイヤー・ディストリビューター)
- 異業種だが、やり方によっては面白いPRの場になるかもしれないとは思っている(経営者)
- 日本全体的にファッションウィークへの興味が低い。ファッションという物の価値を全体的に上げていく必要がある。デザイナーの存在がもっと前面にアプローチされるべき。(スタイリスト)
- ビジネスの定義による。何も生まない場所では無いが、何かが花開く場所でも無い。(スタイリスト)
Q4. 東京のファッションウィークはBtoBとBtoC どちらの方が良いと思いますか?
従来のプレタポルテ(既製服)のファッションショーはバイヤーやジャーナリストといったプロに向けたBtoB(=企業間取引)が主流でしたが、ITの進化によって情報発信がスピーディーになり、またブロガーやインフルエンサーが席を埋めることも少なくなくなりました。今年は、複数の欧米ブランドが"見てすぐ買える(=see now buy now)"といった新作発表と販売を連動させたBtoC(=企業対消費者間取引)の取り組みを導入したことで話題を集めています。東京のファッションウィークでは、これまでも海外バイヤーを招聘するなどビジネス促進の施策の一方で、街や商業施設との取り組みによって一般社会における認知向上を課題のひとつとしています。今回のアンケートでは「(BtoBとBtoCの)両方」が過半数を占め、「BtoB」派と「BtoC」派がほぼ同数という結果になりました。
Q5. ファッションウィークは日本・東京に必要だと思いますか?
9割強が「はい」という回答でした。その中には「ファッション産業の振興のため」「アジアの軸であるべき」といった義務としての開催意義や、「今後に期待したい」「必要であってほしい」といった期待を含んだ回答が含まれていました。「いいえ」の回答の理由としては「日本のブランドが世界に羽ばたく企画があれば、ファッションウィークという形にこだわらない」といった意見が寄せられました。
「はい」回答者のコメント抜粋
- ブランドの発表の表現方法が自由な今、場所や時間もブランドに合った提案方法でいいと思う。ただ、東京の消費力はエネルギーがあるので「ファッション」にスポットを当てるウィークは存在すべき。街全体(原宿、渋谷、表参道など)が会場となるくらいの取り組みにできれば、10月と3月はファッションは人が生きる活力であることを感じる特別な月になる。そこで実力ある日本の代表ブランドも、若手ブランドも、店とともに表現と実績を共有できるウィークにしたい。(バイヤー・ディストリビューター)
- GDP上位、中間層が多い日本。消費コンテンツの中では服の比率も多い。ただし消費の動向が変わっていることもあり、東京にしかできない新たなファッションウィークのあり方を模索すべき。時期やスポンサード制度、招致への積極性など。(服飾デザイナー)
- 東京が、少なくともアジア圏におけるファッションのコア(ハブ)になるためには必要。特に国内外の新進ブランドに対して開けた場所としてあり続けること、継続することは必須。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- クリエーションを競い服飾文化の発展に寄与するのがパリコレなら、東京はストリートやマーケットから浮き出るトレンドを表現できる場所であり、日本のサブカルチャーの進展に寄与していると思う。若手の発掘や育成により、業界やマーケットの活性化にも繋がる。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- 日本には4兆円超規模のアパレル産業構造がある。これを世界にアピールしない必要性は感じられない。技術やアイデア、文化も独自な育みが高次元で存在し、これは海外に通じる。しかし各業界が分断されている。(経営者)
- 長年東京を中心にファッションやカルチャーを研究している者として感じるのは、そろそろパリを中心としたファッションのシステムに変わる(または並ぶ)新しいプラットフォームが必要とされており、それを実現できるのはNYか東京ではないかと期待している。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- 近隣アジア諸国からは、東京のファッションウィークに参加したい、というデザイナーがまだまだ多い。(経営者)
- 欧米に発信するというよりも、アジアに発信するプラットフォームとしての重要性が、今後さらに高まっていくのではないか。(服飾デザイナー)
「いいえ」回答者のコメント抜粋
- 個別のブランドがそれぞれのスケールで適切なタイミングでショーを開催すればよく、他国にくらべて相対的にまとめるほどの情報量や価値を持っていないと思う。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- もちろんまとまって見せるという意味のファッションウィークは必要だが、東京コレクションのブランド数なら3〜4日で十分という意味でウィークはいらない。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- 消費者が興味を持ってない。(経営者)
- インターナショナルバイヤー、プレスはただでさえ世界のファッションウィークで忙しく、東京に来る時間的・経済的余裕がない。これはスケジュール上、どうやっても解決できない。日本ブランドの国際競争力をインキュベートするには、東京ではなく世界の舞台で発表できるような水準に達せられるよう、ファッション業界全体でサポート(クリエイティヴ面でもファイナンス面でも)するべき。(コンサルタント)
Q6. 東京のファッションウィークに必要、および参加して欲しいブランドは?
望む声が最も多かったのは、川久保玲がデザイナーを務める「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」。続いて「サカイ(sacai)」や「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」「イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)」「アンダーカバー(UNDERCOVER)」などが並び、「パリコレクションに参加している日本のビッグメゾンも、違う形で東京を盛り上げてほしい」といった声が挙がりました。また、「マメ(mame)」や「タロウホリウチ(TARO HORIUCHI)」「アカネウツノミヤ(AKANE UTSUNOMIYA)」などショーを行っていないブランドへの期待も。少数派では「ユニクロ(UNIQLO)」や「無印良品」といったSPAブランドもラインナップし、「消費者に支持されているブランドが出るべき」という意見も寄せられました。
《回答数が多かったブランド》
コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)
サカイ(sacai)
ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)
イッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)
アンダーカバー(UNDERCOVER)
マメ(meme)
ハイク(HYKE)
リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)
ファセッタズム(FACETASM)
トーガ(TOGA)
アンリアレイジ(ANREALAGE)
ユニクロ(UNIQLO)
クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)
ケンゾー(KENZO)、エヌハリウッド(N.HOOLYWOOD)
アンケート結果から導く6つの課題
アンケートの最終質問だったQ7では、東京のファッションウィークに対する感想および要望や課題、改善点といった意見を求めました。寄せられた様々な回答から、以下6つのポイント別にコメントから抜粋して紹介します。
【1】閉鎖的なイメージからの脱却
- とても閉鎖的な雰囲気で周りの社会とはかけ離れている感じがして違和感を感じていた。ファッションは社会を映すものでもあるし、もっとパブリックに開かれた部分があれば楽しいイベントになるのでは。(服飾デザイナー)
- イベント自体に選民意識と閉鎖的な雰囲気が感じられ、なんとなく近寄りがたい。それが悪いというわけではないが、限られた人と密な関係性をとりたいのか、オープンに開いていきたいのか伝わりにくい。ファッションをいわゆる服に絞り込むのか、広義に定義するのかによっても広がりが変わってくる。(企画・MD・VMD)
- 一般もオーダーできるようなシステムに取り組めばいいと思う。大手流通業の力添えが必要。(ディレクター)
- SNS世代の子達をリアルイベントに参加させてあげる事が大切では。(経営者)
- せっかくポテンシャルがあるのに、ファッション関係者以外にはほとんど認知されていない。海外のファッションウィークのように都市を挙げて盛り上げ、認知度を上げるため、政財界に協力を求めて官民の連携が必要ではないか。(スタイリスト・バイヤー)
- ファッション業界だけではなく、アートや伝統産業などの幅広いコンテンツを世界に向けて効果的に発信する場になれば良いと思う。(広報・PR)
【2】参加ブランドの基準とビジネス意識
- もっとバチバチのガチンコ勝負みたいなものがあったほうがいいと思う。(服飾デザイナー)
- 世界で闘える才能を育て、闘えない人は選ばない場所にすること。それに尽きる。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- 日本のファッションウィークは、JFWに変わり若手に門戸を広げたときに方向性を誤ったと思う。若手で完成度が不十分でビジネスになり得ないブランドでも参加できるようになり、売れるブランドは敬遠するようになった。参加ハードルが高ければ、若手にとっても参加することが大きな目標になり、切磋琢磨しブランド力を高めただろうが、その努力の機会を奪ったのではないか。高クリエイティブ、高クオリティなブランドの発表の場として参加のハードルを上げていれば、世界から注目を集められたかもしれない。(経営者)
- 参加したい!と手を挙げたブランドで、しかもお金を払えば誰でもショーを行うことができるという点がまず難しい。パリならばやるべき人でなければ公式スケジュールに入ることができないが、本来はそういう実力者をあらゆる面で支援するべきでは。(ディレクター)
- 人気の高い、セールスも成功している実力のあるブランドをあえてサポートして、皆がお金払ってでも見たいくらいのファッションウィークをやるべき。(企画・MD・VMD)
- デザイナーが良いデザインをすれば良いという時代はすでに終わっていて、 ビジネスパートナーを見つけたり戦略的な経営を学んだりと、ビジネスからの観点が必要。デザイナー自身が経営を学ぶことがスタンダードになり、それを教育するプログラムがあれば。(経営者)
【3】時代に合った運営とサポート体制
- 若手の長期的な支援があったら嬉しい。お金だけではなくても、いろいろなものとつなげてもらえたら。例えば、OEMの仕事が貰えたり、そういったデザイナーが服を売る以外の形で得られる金銭的なサポート、半年に1回の収入以外からの収入を得られる機会があったらいいと思う。(服飾デザイナー)
- 新進デザイナーの合同ショー「東京ニューエイジ」のような取り組みはとても良いので、NYメンズやロンドンメンズで行われているような合同プレゼンテーションなどができれば、資金が少ないインディーズのデザイナーも参加できる。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- 一般からは入場料を取り、スポンサーはクラウドファンドなどを活用。外部と連動してショーを稼げるコンテンツにすべき。今までのショーの形式じゃブランドが稼げない。(モデル・モデル事務所)
- 中心となっている組織にすべてを負わせているのもどうかと思う。少なくとも主体はデザイナーだし、バイヤーだし、消費者。(コンサルタント)
- もっと国や都がファッション産業に力を入れて一緒に盛り上げて行くべき。(広報・PR)
- 新しい風を吹き込むような次世代のリーダーたちを運営側に取り込み、改革を進めていくべき時期に来たのではないか。(コンサルタント)
【4】会場・スケジュールの再考
- メイン会場の渋谷ヒカリエはショー会場としては立派だが、一般の目に触れない場所なので再考してほしい。渋谷の街全体を会場にするような発想の転換が必要だと思う。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- 各ブランドの表現にふさわしい場所は東京のあらゆるところにあると思う。ブランドが公式外の会場(美術館、ホテルなど)を選んだ際は、利用の可否や価格も含め、手伝ってあげられるようなシステムがあっても良い。また来場者の移動が大変な際はタクシー会社と連動しPASSのようなものを発行して、移動の際はFREEにするのも良いのでは。(コンサルタント)
- 大手企業が国内生産に切り替えつつあるので、規模の小さいブランドは進行&制作から発表まで、すべてを早める必要が出てくる。実際、多くのブランドがすでに個展を始めている。海外に出て行こうと思うブランドなら、ますますスケジュールを前倒しにするはず。産地や縫製業もそれらを意識して進行を早める必要がある。次の秋冬だと若手デザイナーは1月末、もしくは2月頭には発表するべきなので、年内には生地が整っていないと。しかし秋冬の生地展は11月末で遅い。(ディレクター)
- デザイナービジネスにとっては大きな転換期。ビジネスの時期も場所もやり方もターゲットも多様化が進んでいる。東京で10月と3月中旬というピンポイントで人を集めるのは難しいのではないか。(コンサルタント)
【5】明確な目的のもと発信力を強化
- 日本に居ると不憫なことのほうが目につくが、世界から見ると東京は注目されている都市だと思う。しかしどのように動いているかという透明性が無い。もっと世界を巻き込むお祭りに。祭は日本で非常に多様化された重要な文化だと捉えてみると、将来性を見出すことも可能だと考える。(アーティスト・クリエーター)
- 本気で世界に日本発のプロダクトを売り込みたいのならインターネットやテクノロジーをフル活用すべき。これらをPRとして使うだけでなく、服飾産業を超えた新たな運営体系を考え、ダイナミックに提案するプロダクトのフォーマットを新たなファッション基軸で再構築して実施していくタイミングだ。(プランナー)
- ネットの表現・発信力を大胆に生かした運営を試してもらいたい。リアルショーはやめて、すべてのショーをマルチアングルで撮影した動画として公開してはどうか。世界のどこからでも見られるから、欧米のバイヤーにも関心を持ってもらいやすくなる。日本語と英語両方で文字情報を分厚くしてほしい。ぼんやりとイメージをにおわせるようなコメントではなく、バイヤーに買ってもらえるよう、魅力や特徴、素材、工夫点などをわかりやすく書き添えてもらいたい。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- まだまだ発掘されていないアート系アーティストとファッションをコラボレーションさせる等、東京ファッションウィーク自体がメディア化して海外に日本のファッションやアートをより知って貰う事が必要ではないか。(経営者)
- 他の都市のファッションウィークのスケジュールや東京の地理的な不利な点等を考えると、日本の一般顧客向けのアピールの場としての役割を中心に切り替えていく方が良いのかもしれない。(マーケティング・ショールーム・セールス・営業)
- 「受付の対応」に尽きる。先着順でよいし、先着が唯一の来場モチベーションになるなら、それも平等ではないか。ライター、スタイリスト、カメラマン、ヘアメイク、モデルといった、誌面(web含む)でファッションを表現する「協力者」は中に入れるなど、プレス担当者にはフレキシブルな対応を求めたい。日本の「モード&デザイナーズ取り扱いファッション誌」編集部は、webも含めて概算で女性誌20、男性誌10程度が関の山であり、各編集部は多くて3〜6人出席くらいで数は知れてる。しかも男女ブランドは交差しないので、30席くらい毎回確保したら全編集部が毎回行くことができる。メンズファッション誌が誰も着席していないメンズブランドなど、プレゼンテーション機能すらない。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
【6】東京ならではの内容に
- 今のデザイナーやアパレル業界はそれを知ろうとせず、生産を海外に移してしまっているため、我々が自覚的に日本の良さに気がつけない構造になってしまっている。そんな状態で世界に何かを発信しても海外の方は特に見向きもしない。(経営者)
- 実際に海外バイヤーも日本のブランドへの注目は高いが、パリで見たり、ファッションウィーク外、ショールームで見たりすることがメイン。東京に来なくては、という企画性が必要なのでは。(バイヤー・ディストリビューター)
- 「次世代を世に送り出す」というミッションをはっきり打ち出して、全体として役割と効果をきちんと検証できるようにすべきだろう。今は参加者も運営側も目的意識がばらばらで、まとまりを欠き、ファッションウィークとしての輪郭がぼやけているように見える。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
- せっかくランウェイショーだけでもJFWやCFD、東京ガールズコレクション、原宿ファッションウィークなど、消費偏差値の高い生活者が多い日本らしく、ターゲットに合わせていろいろあり、単体のドメスティックビジネスとしては成功しているのかもしれないが、もったいないように思う。国の文化政策として、クリエーションビジネスとしてのファッションを軸にまとまったらいい。(メディア・エディター・ジャーナリスト)
まとめ
今回のアンケートでは、様々な方々からファッションウィークだけではなく、業界に対してもポジティブな変化を求める声が多く集まりました。服飾サークルに所属する学生からは「将来展望、自分への刺激のためにも是非参加したい」という期待を込めたコメントも寄せられています。これからのファッションウィークには何が必要で、どこを目指すべきか。あらゆる側面で過渡期が訪れている今、ファッションに携わる全ての人が、それぞれの立場で考え行動する時がきているようです。
ADVERTISING
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境