インサイド

　「オープンハウス」は、DSMGの顧客やフレンズなどに向けて、ライブパフォーマンスやブックサイニングのイベント、特別インスターレション、限定アイテムの展開を通して、"国内外のデザイナーやアーティストと直接交流し、様々な⼈と出会い、⾊々なものから刺激を受け、何かを学び感じることのできるオープンなスペースを提供するイベント"、として日本では2019年4月に初開催。以降不定期に開催されている。　1階のウィンドウでは「メゾン マルジェラ（Maison Margiela）」2024年「アーティザナル」コレクションの世界観からインスパイアされた"夜のパリの暗闇"をテーマに、「BLEACH」などでも知られる漫画家 久保帯人が描き下ろしたイラストレーションが11⽉24⽇まで展開。漫画風に加工された雨粒や石畳のプリントなどで、3Dと2Dの要素が混在しウィンドウを彩っている。　反対側の1階エレファントスペースでは、スイス⼈のヴィジュアルアーティスト ローマン・シグネール（Roman Signer）と「コム デ ギャルソン（COMME des GARÇONS）」によるスペシャルインスタレーションを展⽰。同氏の最新書籍とコム デ ギャルソン⽣産・デザインのTシャツを販売する。　2階には「アワーレガシー（OUR LEGACY）」のスペースを新設。ヴィンテージのアルテックチェアにクロシェ編を施した特別アイテムを販売するほか、同じフロアには、2022年度LVMHプライズを受賞した「エス エス デイリー（S.S.DALEY）」のスペシャルインスタレーションを展開。両ブランドともにデザイナーも来日する。　3階はベルリンのアイウェアブランド「クボラウム（KUBORAUM）」が、AGNES QUESTIONMARKとのウォールインスタレーションでスペシャルアイテムを発売するほか、イタリア人デザイナーのダニエラ・グレジス（Daniela Gregis）が古新聞をアップサイクルするプロジェクト「しまんと新聞ばっぐ」に賛同して制作した四万⼗新聞バッグを販売。4階では「エクストリーム カシミア（extreme cashmere）」の英国のスクールウェアにインスパイアされたDSMGのイニシャルが刺繍された限定版セーターが登場した。　5階では、国内ではDSMG先行で、「フィービー・ファイロ（PHOEBE PHILO）」の取り扱いをスタート。アウターやシャツ、ドレス、シューズ、バッグなどのアイテムが店頭に並ぶ。　また、6階には川久保玲デザインによるヴァリアスウィメンズスペースが新設。2024年度LVMHプライズを受賞した「ホダコヴァ（HODAKOVA）」や、同プライズのファイナリストに残った「ポーリーヌデュジャンクール（PAULINE DUJANCOURT）」、「ヴァケラ（VAQUERA）」「リトコフスカ（LITKOVSKA）」など、新進のウィメンズブランドがセレクションがされている。　26日はデザイナーが11時から20時の間、店内に在廊するほか、ブックサイン会、トークショー、映像上映などのイベントが7階のローズベーカリーで行われる。

Fashion

DSMG「オープンハウス」が開催、国内外22組のデザイナー・アーティストが来店

　スティーブン・ストーキー・デイリーは、イギリスのリヴァプール出身。ウェストミンスター大学でファッションデザインを学び、卒業コレクションが世界的スタイリストのハリー・ランバート（Harry Lambert）の目に留まったことがきっかけに注目度が高まった。2020年に大学を卒業後、自身のブランドであるエス・エス・デイリーを設立。労働者階級で育った経験を反映し、人種やセクシュアリティ、階級などの視点を取り入れながら、英国の伝統的な衣服を現代的に再解釈したコレクションを展開している。2024年秋冬コレクションショーは第105回ピッティ・イマージネ・ウオモ（Pitti Imagine Uomo）期間中の1月11日に、伊フィレンツェのヴェッキオ宮殿で開催された。エス・エス・デイリーがロンドン以外でショーを行うのは今回が初めてとなる。　2024年秋冬コレクションは、デイリーにとって馴染み深いイギリスの寄宿学校がインスピレーション源。寮というオンとオフの両面が共存する共同空間の場にある、形式（アカデミック）と親密さ（脱衣）という異なる観念が重なり合っている感性を軸にしており、アカデミズムらしい黒と白のフォーマルスーツには放蕩さを表すためにシャンパンのアクセントが散りばめられ、Pコートにはベッドマットレスのようなステッチを施し、オックスフォードの燕尾服をズボンなしで着こなすなどで表現している。アーカイヴを元に、生地やディテールをアップデートして仕立てるという手法はファッションの世界では当たり前として機能しているが、エス・エス・デイリーがこのアプローチを採用するのは、「親密さ=現代性」と捉えているためだろう。　また、EM・フォースター（E. M. Forster）が1911年に発表した「The Story of a Panic」から、イギリス人旅行者仲間とのイタリア旅行のストーリーも引用。魚の絵が描かれたナイトシャツと襟がスエードの黄色いフィッシングコートの組み合わせなど、より軽く、より爽やかなファッションを提案した。インターシャによる柄の入ったニットはデイリー自身のキュートなアイデンティティが反映されており、ブランドとして初めてシューズを製作。エス・エス・デイリーのシグネチャーと言えるうさぎのモチーフは今シーズンも健在だ。　ショー直後には、ハリー・スタイルズ（Harry Styles）からの投資を受けたとし、ブランドの少数株を売却したと説明。パジャマからユニフォーム、ワックス・ジャケットまで、英国のワードローブでおなじみのシンボルが、デイリー独自の解釈で再構築された同コレクションを皮切りに、英国発のメゾンに向けた新章はスタートする。

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