インサイド

　シベリア出身のピアニスト、パヴェル・コレスニコフ（Pavel Kolesnikov）がランウェイの脇にあるピアノのスツールに座り、鍵盤を弾き始めた。コレクションのオープニングを飾ったのは、日本人モデルのKUYURI。ヨウジヤマモトのショーに14回出演しており、ブランドのミューズの一人でもある。彼女は、黒いシースルー生地で、複雑なパターンワークのドレスをまとい、そこから真っ赤なテープが長く垂れ下がっていた。ハンドペインティングがなされたタイツも印象的だ。　様々な素材や手法を織り交ぜながら、スポンティニアスな感覚を帯びた、アシンメトリーなドレスを打ち出していく。三角形や四角形の布を鎖のようにつなぎ、大胆で巨大な結び目は荒々しくも魅力的なドレープを作り出す。部分的なプリーツや文様にカットアウトされた生地、肋骨のようなベルトやラフなステッチによる縫合、繊細なレースやエンブロイダリーもある。複雑さと軽やかさを併せ持ちながら、フィニッシュで"綺麗"にさせすぎることなく、無造作で、混沌とした状態のままで表現される。そこに見えるのは、子どものような無邪気さだ。　今シーズンの特徴として、レースが巧みに用いられた。ハットから片側だけヴェールのように垂らして肌を美しく透けて見せ、またドレスの端で軽やかに揺れることで、複雑な構造の最終的な印象を軽やかに仕上げている。　38体の黒い服の連続は、いかにもヨウジヤマモトらしい展開だったが、最後の5ルックは堰を切ったように、真紅のドレスが登場した。黒の服に比べるとシンプルな構造とカッティングで、その静かなエレガンスが漂う様は、まさにマスタークラスと呼ぶにふさわしいものだった。　パヴェル・コレスニコフのパフォーマンスでは、バッハ（Bach）やクリストフ・ヴィリバルト・グルック（Christoph Willibald Gluck）といった巨匠の曲と並んで、イルカの「なごり雪」、石川さゆりの「津軽海峡冬景色」など、日本人なら馴染み深い歌謡曲がピアノアレンジで演奏された。フランス流の豪華絢爛さが凝縮されたHôtel de Villeの暗く重厚な空間では、その文化的コントラストが独特の雰囲気を醸し出す。フィナーレが近づくとピアノの音は止み、スピーカーからレナード・コーエン（Leonard Cohen）の「You Want It Darker」が流れ始めるが、これはもちろん山本耀司によるカバーだ。　無論、真剣勝負の場ではあるが、「ヨウジ ヤマモト」のショーは喜劇的でもある。シリアスでありながら、どこかユーモアもある。「人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇」という、チャールズ・チャップリン（Charles Spencer Chaplin）の言葉を思い出す。アウトサイダーとして生き続けてきた山本耀司は、その人生の深みと味わいをコレクションに反映しているようだ。

Yohji Yamamoto

Fashion

2025年春夏コレクション

無造作なドレスと優しいピアノ　「ヨウジヤマモト」のランウェイに見る人生の喜劇

＃１FOCUS ON：レースアイテムBEAUTY HINT：パステルカラーのアイラッシュ　今回は、“ロマジュアル（ロマンチック・カジュアル）”なレースを取り入れたスタイルに、視線を惹きつける鮮やかなパステルカラーのアイラッシュをコーディネート。　思い切って、目元の下側に重心を置けば、可愛らしさと遊び心、モードなバランスが黄金比に。・・・BEAUTY HINT・・・（右上から時計回りに）（A）rihka LIPSTICK RLS002 lèvre（4180円）、（B）NARS アフターグローリキッドブラッシュ 02802（4620円）、（C）DIDION スムース カラー アイライナー 02 BPM135（1540円）、（D）SHISEIDO リップライナーインクデュオ 02 beige（2860円）、（E）uneven カラーリングマスカラ covered yellow（1650円）・くっきりと色づくパステルカラーの（E）のマスカラは、下まつげにダマになるくらい重ね塗りしてしっかり発色させて。上まつげは先端にちょんちょんと重ね塗りすることで、根本とのコントラストでカラーが際立つ。・下まぶたにはマスカラと同系色のアイシャドウや（C）のアイライナーをオン。・チークはピンクのムードを兼ね備えた、透明感を引き出すパープル（B）をチョイス。頬骨あたりから広めにラフに塗ることで、全体のカラーのバランスが整う。・リップはまずベースに（D）のベージュを仕込み、リップラインをオーバにとる。そこに（A）のブラウンのニュアンスを含んだピンクを重ねて、ほどよい血色感を演出。＋α ベースメイクはうるおいに満ちたような、ナチュラルなツヤ肌に。目元の発色を強調しつつ自然体のムードも忘れずに。

uneven

Beauty

BEAUTY for FASHIONLOVER

BEAUTY HINT：“ロマジュアル”なレース × パステルカラーのアイラッシュ

キーモチーフはパリの地図　今回の着想源になったのは、メゾンのアーカイヴである1950年代初頭のスカーフ。その裏側にプリントされた、モンテーニュ通り周辺を描くパリの地図がキーモチーフとなった。 　ショーの会場は、古地図の中にも描かれていたチュイルリー公園。フランス王アンリ2世の王妃 カトリーヌ・ド・メディシス（Catherine de Médicis）によって作られたこの場所は、パリ市内にある最古の庭園だ。カトリーヌはイタリア出身で、ハイヒールやコルセット、ブラーノレース（ブラーノ島の伝統的レース）といった文化をフランスにもたらしたことでも知られる。そんな彼女のイノベーションが、今回のコレクションに取り入れられた。フランスの宮廷ファッションをモダナイズ　コレクションの中でも目を引いたのは、宮殿で着用されていたようなクリノリン・スタイル。そしてコルセットやゴールドの手袋、花の刺繍などバロックの要素を現代的に解釈したルックが多数登場した。　一方で、ディオールのカナージュを施したフーディ、デニム、トレンチコートなど、ウェアラブルなルックも提案され、キウリの絶妙なバランス感を印象付けた。会場のセットは段ボールで作られた洞窟　会場の装飾を担当したのは、アーティストのエヴァ・ジョスパン（Eva Jospin）。エヴァはパリを拠点に活動するアーティストで、ドローイングや刺繍、彫刻、インスタレーションなど様々な作品を発表している。今回はバロック様式の宮殿を洞窟のように再現した神秘的な空間を作り上げたが、よく見ると全て段ボールでできており、観客らを驚かせた。　また、ショーを盛り上げたのはダンサーたちの存在。ヌードカラーの衣装を纏った男女がランウェイの傍ら、生命力溢れるパフォーマンスを披露した。この特別な舞台を作り上げたのはダンサー・振付師でもあるイムレとマルネ・ファン・オプスタール（Imre & Marne van Opstal）のデュオ。キウリは「このコレクションは、創造性の芸術としてのファッションへオマージュ」だと語っている。BLACKPINKのジスなど豪華ゲストが来場　客席には、ブランドのミューズを務めるナタリー・ポートマン（Natalie Portman）や、グローバル アンバサダーでありBLACKPINKのメンバーであるジス（JISOO）、ASTROのチャ・ウヌ（Cha Eun-woo）などの姿も。女優の中村アン、kemio、よしあきとミチ、AMIAYAらも来場した。

DIOR

「ディオール」が宮廷のドレスを現代的に　2023年春夏コレクション

第二の肌、守る服　身体を守るように肌にぴったりと添うストレッチ素材のハイネックトップスやドレス、ボディスーツは、まるで"セカンドスキン＝第二の肌"のよう。今シーズンは多くのブランドから、薄手の素材で肌を覆うタイトなアイテムが提案された。色柄のバリエーションと組み合わせ次第で、個性豊かなレイヤードスタイルを楽しむことができる。また、全身を1つの色や素材で統一したワントーンルックも目立った。・アイコニックな総柄やレース素材　「マリーン・セル（MARINE SERRE）」や「エミリオ・プッチ（EMILIO PUCCI）」はアイコニックな総柄のストレッチ素材。「ジバンシィ（GIVENCHY）」や「トム フォード（TOM FORD）」、「サルヴァトーレ フェラガモ（Salvatore Ferragamo）」は、透ける素材のボディタイツでセンシュアルに。ランジェリーライクなデザインも、今シーズンの特徴として多く提案されている。   ・ボディスーツとパワーショルダー：リック・オウエンス　「リック・オウエンス（Rick Owens）」は、ほぼ全てのルックでタイトなボディスーツを着用。マスクとタフなブーツを合わせた姿は、まるで新時代の戦士のよう。スパングルを施したり、パワーショルダーのケープやボンバージャケットを合わせて、強いプロポーションの提案も。 ・ラフ2シーズン目もレイヤード：プラダ　ラフ・シモンズが加入してから2シーズン目の「プラダ（PRADA）」は、先シーズンに引き続きハイネックトップスのレイヤードスタイルを提案。前回はチーズのように穴の空いたデザインが目立ったが、今回は壁紙のような柄が特徴。オールインワンにグローブをプラスして、全身を覆ったスタイルも。 ・鎧をボディスーツに：バレンシアガ　"身体を守る服"という意味で異色だったのが「バレンシアガ（BALENCIAGA）」。ゲームの世界から飛び出してきたかのような鎧を模したボディスーツ、NASAの宇宙服をモチーフにしたウェアなど、防護服の要素を落とし込んだ。 様々な「セカンドスキン」スタイル2021-22年秋冬コレクショントレンド特集01: 煌めく「スパークル」02: よりタイトに「セカンドスキン」03: 好景気のサイン？「マイクロミニ」04: 意外な露出「カットアウト」05: 包み込むシルエット「コクーニング」最新コレクションをCHECK

PRADA

RAF SIMONS

Salvatore Ferragamo

Rick Owens

BALENCIAGA

EMILIO PUCCI

GIVENCHY

MARINE SERRE

2021-22年秋冬トレンドキーワードを解説　02「セカンドスキン」

Simone Rochaとは？　「シモーン・ロシャ（Simone Rocha）」は、アイルランド出身のシモーン・ロシャ（Simone Rocha）がデザイナーを務めるイギリスのブランド。　香港出身でファッションデザイナーのジョン・ロシャ（John Rocha）を父に持つシモーンは、ダブリンのアート＆デザイン国立大学（National College of Art and Design）とロンドンのセントラル・セント・マーチンズ（Central Saint Martins）という二つの名門校出身。2010年にブランドを立ち上げ、同年のロンドン・ファッション・ウィークでデビューを果たしました。デビュー以降は、ブリティッシュ・ファッション・アワードをはじめとするファッションアワードを受賞。ロンドンファッションウィークでコレクションを発表するなど、イギリスのファッションシーンを代表するウィメンズブランドの一つです。　コラボレーションにおいても、精力的に参加。2014年の「ジェイブランド（J Brand）」とのコラボから着実にステップアップを重ね、2018年には「モンクレール（MONCLER）」のコラボプロジェクト「モンクレール ジーニアス（MONCLER GENIUS）」のデザイナーの一人としても選抜されました。そして2021年の今年、毎年恒例の「H&M」のデザイナーコラボレーションに選ばれ、今後も活躍が期待される女性デザイナーです。Simone Rochaの特徴　「シモーン・ロシャ」の魅力は、ひと目でわかるフェミニン＆ロマンチックな世界観。シルエットの基本はボリューミー。リラックスフィットのボディにサテンやチュール、フリルなどをあしらい、フェミニンでドリーミーな美学を追求しています。　アクセサリーでは、パールやビーズ、クリスタルなどもよく登場するモチーフです。ひとつ取り入れるだけで「シモーン・ロシャ」の魅力を味わえるアイテムが揃います。Simone Rochaのアイテムをチェック！トップス　カジュアルアイテムのTシャツも、「シモーン・ロシャ」の解釈ならロマンチックな仕上がりに。ローズがプリントされたオーバーサイズのTシャツは、ふんわりとしたバルーンスリーブのフォルムを強調するチュールがあしらわれています。Farfetch で購入する　こちらもチュール使いが優美なTシャツですが、ウエスト部分できゅっとすぼまったシルエットに。袖や裾のボリューミーなディテールを引き立てていますね。SSENSE で購入するスカート　2020年秋冬コレクションより、コレクションのキーテーマとなった光沢感のあるサテン素材を使用したスカートです。優雅なドレープが、贅沢なシルクの輝きをより一層引き立てています。MATCHESFASHION で購入する　気分はまるでバレリーナ？な、ペールヌードトーンのチュールスカートです。ウエスト部分のリボンを結べば、後ろ姿も決まります。Farfetch で購入する　シアーなシルクが何層にも重ねられたラッフルスカートです。いつものコーディネートにONすれば、新鮮な発見がありそう。Farfetch で購入するパンツ　ウエスト部分のベルトがアクセントになった、ペーパーバッグスタイルのクロップドパンツです。ややボーイッシュなテイストを、上質な素材で大人の女性の装いに格上げしてくれています。Farfetch で購入するワンピース　ゆったりとしたシルエットのシャツワンピースは、ヘムラインがポイント。前から後ろにかけて長くなっているアシンメトリーなデザインになっています。Farfetch で購入する　コットン素材のホワイトのシャツドレスです。コルセット風の少しセンシュアルなディテールと、スモック風のガーリーなシルエットの組合わせが斬新。クリーンな素材感もピュアな印象をプラスしています。SSENSE で購入する　ポプリン素材とブルー×ホワイトのストライプの組み合わせのシャツドレスは数あれど、「シモーン・ロシャ」は立体的なシルエットで勝負。胸元を飾る超ビッグサイズのリボンとパフスリーブでひねりが加えられています。MATCHESFASHION で購入するシューズ　クロスストラップや厚底といったディテールで、少しハードなイメージで仕上げたバレエシューズ。キュートだけれどほんのりとしたエッジも感じる一足です。SSENSE で購入する　バックストラップのレースアップパンプスは、ポインテッドトゥがシャープな印象。芸術的なクリア素材のフローラルモチーフヒールが抜け感を演出してくれています。Farfetch で購入するバッグ　カンバセーションピースになること間違いなし！オンリーワンなデザインのクラッチです。パールホワイトに輝くアクリル素材のエッグ型の中身には、あなたなら何を入れる？手持ちとショルダーの2WAY仕様が楽しめる、取り外し可能なストラップ付きです。SSENSE で購入する　フラワーモチーフのビーズとラウンドカットクリスタルをつないだビーズバッグ。どこかレトロなムードも漂います。特別な日のお出かけを更に楽しく演出してくれるでしょう。SSENSE で購入するアクセサリーなど　パールビーズも、「シモーン・ロシャ」のブランドシグネチャーとも言うべき存在。イミテーションバロックパールによるフローラルモチーフがあしらわれたベルトは、上品かつ存在感のあるアクセントとして活躍してくれそう。MATCHESFASHION で購入する　両耳で違うデザインが楽しめるこちらのフープピアス。片耳のみ、有機的なフォルムのマザーオブパールをフィーチャーしています。ユニークな遊び心を感じさせつつ、フェミニンにまとめているところはさすがです。SSENSE で購入する　パールをあしらったドロップピアスです。およそ12.5cmと長めのロングラインシルエットはインパクト大。イミテーションパールとクリスタルでとびきりロマンチックな耳元に。SSENSE で購入する　まとめ髪にさっとひと差しするだけのヘアピンなら、毎日の生活にも取り入れやすいですね。クリスタルビーズによるフラワーモチーフをあしらったヘアピンは、鮮やかなレッドがレディライク。Farfetch で購入する

Simone Rocha

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MONCLER GENIUS

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ロマンチック＆ガーリーな注目ブランドをゲット！Vol.2＜シモーン・ロシャ＞

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