インサイド

素材とカラーの”寒暖差”がちょうど良い、カナコ サカイのモヘアカーディガン　この時期は、気分新たに今年もファッションを楽しんでいくぞ！と、去年とは違うアイテムにチャレンジしようと意気込むのですが、結局変わり映えしないアイテムを選びがち…。やっぱり人の価値観ってそう簡単には変わらないんだなと痛感します。特に色の好みは一番変わらないんじゃないかと感じており、僕はやはり安心安全のブラックに行き着いてしまいます。とはいえ、そう簡単に安牌はとりたくない。ほんの少し色使いで遊んでいたり、素材感で変化をつけたアイテムなら、去年とは違うファッションが楽しめるかなと思い選んだのは「カナコ サカイ（KANAKO SAKAI）」のモヘアカーディガン。　毛足が長いモヘア素材特有の柔らかい雰囲気を、メインカラーのブラック、袖や裾にあしらわれたシルバーのラメ系とフロントのメタリックなボタンで引き締めたクールな一着は、ルードなグランジ感と品の良さの塩梅が絶妙です。もちろん暖かさは言うまでもなく、オーバーサイズなシルエットなので、インナーを工夫すれば寒暖差がある春先にはちょっとしたアウターとしても活躍してくれそうです。余談ですが、FASHIONSNAPのオフィスはビルの空調の関係で割と暑くなりがちなので、このカーディガンをさっと羽織ってひんやりとした外の空気を浴びにいくのがちょうど良さそう。（ディレクター YA）

KANAKO SAKAI

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【今週のウィッシュリスト】素材とカラーの”寒暖差”がちょうど良い、カナコ サカイのモヘアカーディガン

ゴッホの絵画に見出した“強さ”　6ヶ月以上前、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ（Vincent van Gogh）の絵画に対峙した森川は、二次元とは言い難い油絵の具の盛り上がり、アブストラクトな筆致から醸し出される人間の感情を知覚し、作家の魂や人生そのものをぶつけられた感覚に陥ったという。「古いと思っていた芸術表現の前で立ち尽くしたのです。折々の時代を捉える現代アートも“強い”でしょう。でも、自分が求めているのは、普遍的で根本的な強さだった」。精密さをも重視する宮廷絵画の時代に、描いてはいけないものだったのが印象派の抽象画だったとしたら、ゴッホの絵画には、決意と確信をもった“強さ”があったのだ。そうして、彼とアトリエのスタッフは、慣れない筆をとって絵を描きはじめた。　タークの中軸は、まごうことなくファブリックだ。既存のものに一手間を加える程度のものは、彼にとって“オリジナル”とはいえない。「概念を一から加え、我の部分が濃縮されたもの。灰汁がでている、自分だけの表現」なのだという。コレクションもまた、服を構成するもっとも重要なエレメントである素材作りからスタートしていく。今季はひときわ、複数のレイヤーの平面化と、それに伴う凹凸を含むコントラストがそれぞれのテキスタイルの上ではっきりと明示されている。「当たり前にやっていること。人真似ではない創作。それに今も、きっとこれからもワクワクしていくのです」。では、今、彼にとって強い服とはなんだろうか？ファーストルックはオールブラックのロングコート　もっとも控えめなルックのひとつであるオールブラックのソリッドなロングコートのファーストルックは、レザーからウールへとなめらかに移り変わる生地のグラデーション——異質の素材同士を、織りによって切り替えるシンボリックなテキスタイルだ。クラシックなオンブレチェックからスムーズなレザーに移行したテキスタイルから、テーラードジャケットやブレザーとボンバージャケットのシームレスなドッキングまで、巧妙なオリジナルファブリックはコレクションの中で決定的な存在感を放っていた。スケッチングのような筆致のプリント　複雑なジャカードで仕上げられた裂織風のデニムは絵画を重ねたようなアブストラクトな印象を残し、スケッチングのような衝動的な筆致のプリント、デニムコートの波状のアンサンブルは、枯山水の曲線のようにもゴッホの太陽のようにもみえる。スカジャンはワントーンで静謐に、カラーブロックされた毛先の長いモヘアニットとロングスカーフは柔らかく大胆に揺れ、裾をリブでとめて膨らむカーブや溜まりのあるボリューミーなトラウザーズや、変形カーゴパンツは歩き様に軽やかさと重厚感を与えている。滲んだ花や庭園は、ジャカードニットやシルクシャツで映えていた。タークのマスキュリニティに対するヴィジョンを感じるニュートラルなモデルが続くうちに、森川が、「“カジュアル”は飽和してみえる。自分なりの答えを出さなくてはいけない時なんです」と言い、「スタイル」というワードを広場で口にしたことを思い出した。「ODDA」編集者がスタイリング　「素材はタークの芯。その分母の広がりの先をショーで見せたいと、6ヶ月前にパリで過ごしながらずっと思っていた。そのためには、新しい力も必要だったんです」。彼がスタイリングを託した「ODDA」のシニア・ファッション・エディターでもあるマリアエレナ・モレッリは、生地を同じくしたセットアップやスリーピースをベースとするコレクションを、いくつかのレトリックをもって知的に解体していったのだ。カラートーンの絶妙な組み合わせはもとより、リアリティのある佇まいを生み出したのは、オーバーサイズコートのスナップやボタンを外した前開きのスタイリング、際立つファブリックを身体に馴染ませるタートルネックとのレイヤードだった。一方、異素材でトリミングされたスリムなノーカラージャケットは端正に、肌の露出がある穴のあいたようにみえるニットはシンプルにみせ、未知感のあるセットアップにはボーイズライクなフーディを加えた。  　「ファブリックから、スタイルに」と彼は言う。が、「ジャポニズムではない方法で」と明言もする。続けて、「ヨーロッパにはない日本人としての服作りの“強さ”を高めながらも、スタイリストやキャスティングディレクターの力と組みながら、悩み、歓喜し、落ち込み、生み出した新しい挑戦の結果なのです」と笑った。タークにおける永遠の方法論——職人的な技巧から育まれる素材が放つテクスチャとクオリティと拮抗する、シルエットとスタイルの高揚する探求が、タークの次なる地平のようなのだ。 山口達也 （Tatsuya Yamaguchi） エディター／コンセプトディレクター 大学在学中から活動を開始し、東京を拠点に国内外のデザイナーやアーティスト、クリエイターのインタビュー・執筆などを行う。近年はメディアコントリビューティングのほか、撮影のディレクションやブランドのコンセプトディレクターを手掛けている。

TAAKK

Fashion

探求した素材の先に新たな力を見つけた「ターク」2023年秋冬コレクション

機能性抜群のダウンベストを色合わせでオシャレに着こなす　朝晩はぐっと冷え込むのに昼間は暖かい日が多い今の季節に、ダウンジャケットほどボリューム感がなく、インナー次第で簡単に温度調節が可能なダウンベストは最適。東京のストリートでは、ヴィヴィットなオレンジのダウンベストを同色のスニーカーと合わせた着こなしや、コーディネート全体の色味とダウンベストの色をリンクさせたコーディネートが見られました。スナップページを見るスナップページを見る適度な抜け感を演出するボッテガ・ヴェネタのブーツに注目　新クリエイティブディレクターにセリーヌ出身のマチュー・ブレイジー（Matthieu Blazy）が就任したことで話題のボッテガ・ヴェネタ。同ブランドのブーツは、厚みのあるソールと丸みを帯びたシルエット、ミニマルなデザインが特徴的で、ジャケットやロングコートなどのフォーマルなアイテムと合わせることで適度な抜け感を演出できます。スナップページを見るスナップページを見るアウターとして活躍するオーバーサイズカーディガン　去年から継続して人気のあるトレンドアイテムのカーディガンをアウター使いするスタイルに注目。オーバーサイズのカーディガンをデニムジャケットの上から着用したスタイリングや、ワンピースの上から羽織った着こなしが見られました。スナップページを見るスナップページを見る

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