インサイド

■女性たちの歴史にフォーカス　今回のテーマは「AN IDEOLOGY OF PRADA（イデオロギー・オブ・プラダ）」。「人間性への憧憬と省察」という、メゾンの思想体系を表したものだ。ショーの開催前、公式インスタグラムにはモデルたちの幼少期の写真や映像が公開された。これは過去と現在を繋ぎ、女性たちの歴史を構成するというコンセプトによるもの。幼い頃のケンダル・ジェンナー（Kendall Jenner）がスケートを楽しむキュートな姿も映し出された。■どこまでもシンプルなタンクトップを主役に
　コレクションのキーアイテムとなったのは、プラダのトライアングルロゴを胸元にあしらった白いタンクトップ。そこにシアーな膝下のペンシルスカートを合わせ、意外性に満ちたスタイリングを披露した。　また、コートのテーラリングにイヴニングウェアの要素を織り交ぜ、彫刻的なフォルムを演出。フェイクファーやフェザーをあしらったコートや、オーバーサイズのMA-1ジャケットも、斬新なプロポーションを生み出していた。■削ぎ落とした中に光る、プラダらしい味付け
　色味を抑えたメイクアップと、きっちりとまとめ上げたヘアスタイルで、モデルたちはどこかアンドロジナスな雰囲気。だが、透け感のあるレイヤードスタイルや、何層にも連なるチェーンのネックレスなどがプラダ流のフェミニ二ティを体現している。　また、トライアングル型のハンドバッグや幾何学模様のニットなど、プラダらしいアクセントは健在だ。■歴代のプラダモデルがランウェイに復帰
　ランウェイにはリヤ・ケベデ（Liya Kebede）、エリン・オコナー（Erin O'Connor）、ハンネロール・ナッツ（Hannelore Knuts）といった40代のベテラン勢を起用。　オープニングにはカイア・ ガーバー （Kaia Gerber）、クロージングには人気ドラマ『Euphoria（ユーフォリア）』に出演するトランスジェンダーのハンター・シェイファー（Hunter Schafer）が登場するなど、世代を超えたイットガールたちの共演も話題に。メゾンのアーカイヴを未来へと再構築し、すベての女性のヒストリーを祝福する力強いコレクションとなった。

PRADA

RAF SIMONS

Fashion

女性たちの過去と未来をつなぐ「プラダ」 2022年秋冬ウィメンズコレクション

■フェンディ一族のワードローブが着想源に　今シーズンのコレクション制作の発端となったのは、フェンディ一族の四代目であるデルフィナ・デレトレズが身につけていたプリントブラウス。デルフィナが母であるシルヴィア・フェンディのワードローブから見つけたもので、キム・ジョーンズはその一着からインスピレーションを得てメゾンの歴史を探求していったという。　フォーカスしたのは、1986年春夏の幾何学プリントやテーラードと、2000年春夏の透ける素材の軽やかさを融合したスタイル。2つのコレクションをコンテンポラリーなフィルターを通して再解釈し、「女性の生活の様々な側面に寄り添う、あらゆる世代の女性のためにデザインされたワードローブ」を提案した。■透けるドレスとアンダーウェアの繊細なスタイル　極薄のシフォンで仕立てられたスリップドレスにモヘアのブルゾンを羽織ったコケティッシュなファーストルックをはじめ、序盤はシアー素材がメイン。ベージュ、ピンク、グリーンといった淡いトーンにヴィヴィッドなオレンジを効かせて、フリルがアクセントに。同素材のアンダーウェアや、カシニヤニットのグローブをスタイリングし、フェミニンで繊細な装いを印象付けた。　アーカイヴプリントや、アイコニックな「FF」モチーフをアレンジした「オーロック（O'Lock）」プリントも極薄の素材に取り入れられ、ショー終盤の軽やかなルックを飾った。■ランジェリーの要素をテーラードスタイルに　ランジェリーを想起させるディテールはテーラードスタイルにも取り入れられ、ツイードジャケットにキャミソールドレスを合わせたり、シフォンのフリルを組み合わせた。コルセットのシルエットを取り入れたりビスチェを重ねたシャツ、クロップド丈やウエストを絞ったジャケットといった、女性らしいフォルムが際立っている。■バゲットバッグが誕生25周年　今シーズンの特徴的なアイテムのひとつが、ウェアと共地のベルト。ウエストマークを強調するとともに、スマートフォンを入れることができるポケットが機能的で、フェンディの実用主義を象徴している。ランウェイではさらに、極小サイズのバゲットバッグがチャームとなってアクセントに。　また、1997年に誕生したフェンディのアイコンバッグ「バゲット」の25周年を祝い、カシミヤ、シアリングで縁取りされたレザー、そしてインターシャミンクの3型が復刻となる。　デルフィナ・デレトレズが手がけるジュエリーでは、新たに「F」を鍵のモチーフに変えたイヤリングやペンダントなどが登場した。創業年の「1925」が刻まれ、アクセサリーにおいてもフェンディの歴史やヘリテージへのオマージュを見て取れた。

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