インサイド

　板橋区 下赤塚駅すぐの蔦に覆われた山小屋。営業しているのか心配になりながら、扉を開けると優しいママが迎えてくれる。そして、席に着くなり必ず「コーヒーでいいですね」と聞かれる。なぜなら、この店にはコーヒーしかないから。そもそもヒュッテは火曜日しかやっていない。火曜日だけの地元の人々のサロンのようなお店。常連のおじいさんとおばあさんたちが、ワクチンを何回打ったかや、回覧板文化が廃れてしまったこと、若い頃の旅の思い出などの話に花を咲かせている。※KEISUKEYOSHIDA22AW、川島明のねごと、エアメールの嘘

Food

超私的喫茶録 〜火曜日だけのサロン　下赤塚 ヒュッテ〜

　東中野駅のホームから見えるところにあるジャックと豆の木。中央線の線路沿いで46年営業している。カウンター6席にテーブルが1つの小さなお店。店に入るとマスターは大抵新聞を読んでいる。店内に流れるのはいつもJ-WAVE。無駄な注意を引かせない透明で完璧なBGR（バックグラウンドラジオ）。日曜昼下がりには、「TOKIO HOT 100」のクリス・ペプラーによるアーバンで流線的なナビゲーションが、この狭い店内でのささやかなひとときをより濃いものにする。禁煙。※HOUGA2022AW 、スペインの宇宙食、Daisy Holiday!、犬に噛まれて覚醒したパヴァロッティ

超私的喫茶録 〜日曜昼下がりのJ-WAVE　東中野 ジャックと豆の木〜

　湯島駅と上野広小路駅のあいだ、黒門小学校に隣接するような形でシャルマンは建っている。外観のストライプのテントだけでわくわくするというのに、店内に入るとこだわり抜かれた壁紙と照明に追い打ちを食らう。全てが同じアイテムで統一されているわけではないのに、心地よい均衡がある。これぞ年季がなし得るダイナミズムであり、「レトロ」とはこういうこと。オープンしたのは70年以上前だそうで、私が驚くとママは「昭和のはじめから。古いでしょう」と微笑んだ。喫煙可。※現実脱出論、とろサーモンの冠ラジオ枠買ってもらった。、ウェディングプランナー

超私的喫茶録 〜ほんとうのレトロ　湯島 シャルマン〜

　浅草六区と合羽橋の間に位置する「シーズ（CisZ）」。店内には古い機器や家具が並び、老舗にも見えるがオープンは意外にも6年前だという。この場所で40年ほど営業していた「喫茶エノモト」が閉店し、今のマスターが改装し新しくオープンさせた。店名の由来は、最後のチャンスという意味の「Chance is Z」から。マスターは「もう歳だからこれが最後のチャンスなんだ」と笑った。喫煙可。※motoguoキッズトップス、バイトやめる学校、アンガールズのジャンピン、牛

超私的喫茶録 〜浅草の喧騒から逃れる　合羽橋 CisZ〜

住吉「みどりや」　住吉駅を出て南に歩くと見えてくるみどりや。古い建物と新しい建物が混在するこの地域で、異彩を放つ緑と白のストライプ。60年以上前にオープンしたというが、クラシカルにもモダンにも属さない「かわいい」が時代を超えて輝き続けている。席数は30席ほどで、現在お店を切り盛りするのは、常連客といつも仲良く話すママ一人。彼女の祖母、父、母と受け継ぎ、今に至るという。※プチ哲学、東京ポッド許可局

超私的喫茶録 〜時代を超えるストライプ　住吉 みどりや〜

東大前「こころ」　東大の目の前、看板建築がまだ残る本郷通りを歩いていると、こころはいきなり現れる。店内にはテーブルが9台と、緑と青の配色が目を引く椅子約30脚。外観以上に奥行きのある空間ではあるが、混雑時には満席になる。お店は創業65年ほどで、お父さんが亡くなった今、お母さんと息子さんの2人で切り盛りしているそう。日・祝休み。喫煙可。 ※SIIILON 2021AW、東京大学「80年代地下文化論」講義、奇奇怪怪明解事典、玉置浩二もっとご飯食べて

超私的喫茶録 〜色彩の妙に触れる　東大前 こころ〜

阿佐ヶ谷「よるのひるね」　阿佐ヶ谷駅北口を出て路地裏へ入ると、威勢のよい八百屋の向かいによるのひるねはある。ここは古本カフェ的飲食店。雑誌、漫画、写真集、専門書などジャンルを問わない古本が店内の至るところに陳列されている。薄暗く、本に囲まれた店内は、誰もが本の虫になる、そんな場所だ。ロゴに使われているタツノオトシゴは、お店を始めた頃にたまたまマスターが飼っていたことから採用したらしい。開店当初は実際に店内で飼育もしていたようだ。喫煙可。※HATRA2021AW、問わず語りの神田伯山■よるのひるね住所：東京都杉並区阿佐谷北2-13-4電話番号：03-6765-6997公式サイト

超私的喫茶録 〜本の虫になる　阿佐ヶ谷 よるのひるね〜

新宿御苑前「ポニー」　新宿御苑前駅からほど近く、新宿三丁目駅からも徒歩圏内のところに位置する「ポニー」。お店の名の由来は「ちっちゃいから」だと、ママが教えてくれた。カウンター約4席（座れない場合も多い）に、2人がけのテーブルが7卓。10人入ればほぼ満席のような小さな店内は、他人と共有する家のよう。平日ほぼ毎日、厨房担当のマスターと接客担当のママが2人で営業している。喫煙可。※Mame Kurogouchi 2020 prefall collection、「日和下駄」永井荷風、高田文夫のラジオビバリー昼ズ■ポニー住所：東京都新宿区新宿1-14-9電話番号：03-3356-4854【2】「本の虫になる　阿佐ヶ谷 よるのひるね」（2021年10月28日）【3】「色彩の妙に触れる　東大前 こころ」（2021年12月2日）【4】「時代を超えるストライプ　住吉 みどりや」（2022年4月4日）【5】「浅草の喧騒から逃れる　合羽橋 CisZ」（2022年5月19日）【6】「ほんとうのレトロ　湯島 シャルマン」（2022年6月29日）【7】「日曜昼下がりのJ-WAVE　東中野 ジャックと豆の木」（2022年8月22日）連載「超私的喫茶録」一覧ページ