吉原秀明と大出由紀子が手掛ける「ハイク(HYKE)」は、先シーズンに続き無観客で行ったショーの映像で新作を発表した。2021年春夏コレクションも引き続き、古着などから着想し、歴史ある服のディテールを色濃く反映したコレクションを展開。コロナ禍の制作となったが、不安な思いはありながらも「前に進むことに注力した」(吉原)という。今シーズンは男女で着られるサイズを用意するなど、新たな試みで展開を広げている。
■夜のカートパークがランウェイに
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ハイクは今シーズン、ソーシャルディスタンスを保ちながら安全にランウェイショーを開催することが難しいと判断。ブランド立ち上げから3年半は映像で、2017年秋冬以降はショーで発表してきた経験を活かし、過去のコレクション発表を融合する形でショー映像の撮影を行った。
舞台は廃墟のような雰囲気のカートパーク。退廃的なフロアとは対照的な、白いボックス型のゲートからモデルが登場する。ファーストルックはネイビーのロングコート。1940年代の英国軍のデザートストームコートを参照したデザインで、素材は超軽量ナイロンのパーテックスを使用。大振りのバックパックを背負いながらも、風をはらんだテキスタイルがアクセントのグログランリボンと共になびき、ソックスと合わせたベージュのオープントウシューズが上品な印象に仕上げている。
■バッグやイヤーカフなど展開拡大
今シーズンも、王立海軍(ROYAL NAVY)のベンタイルスモックやアーマーベスト、メディカルガウン、ガンジーセーターといった、ミリタリーや古着に精通したデザイナーならではのインスピレーションソースを、独自の感性で再構築。テクニカルな機能素材やフェミニンなシフォン素材、鮮やかなブルーなどのカラーを差し込むことで、唯一無二のスタイルを作り上げた。
HYKE 2021年春夏コレクション Image by HYKE
シューズは引き続き、竹ヶ原敏之介が手掛ける「ビューティフルシューズ(BEAUTIFUL SHOES)」とコラボレーション。「チャコリ(CHACOLI)」との継続的なコラボレーションによるバッグは、新たにナイロン素材を採用し、様々な生活シーンに沿う素材とサイズを展開する。また、イヤーカフなどのアクセサリーも拡充した。
HYKE 2021年春夏コレクション展示会より
■要望が多かったジェンダーレスサイズ
今シーズンのハイクは新たにジェンダーレスサイズを導入し、展示会で初披露。これまでもセレクトショップの別注などで販売したメンズサイズが好評で、また「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「アディダス(adidas)」といったコラボでも男女問わず支持があり、サイズ拡大の要望が多かったという。通常は1〜3のサイズ展開だが、カットソーからアウターまで9型のみ1〜5に広げ、男女問わず着られるようグレーディングを工夫した。
ジェンダーレスサイズ対象アイテム
・ストレッチトロピカル デザートストームコート
・ストレッチトロピカル ショップコート
・パーテックス ブリティッシュアーミー デザートストームコート
・ストレッチ テーパードパンツ
・バックサテン ベーカーパンツ
・M-51 シェルパンツ
・コットンツイル アーミーチノ
・ショートスリーブT
・タンクトップ / ビッグフィット
ハイクの吉原氏は、コロナの影響について「小売店や製造現場への影響は少なくないので、今後の状況によっては間接的に影響が出る可能性はあると感じています」と話すが、2020年秋冬コレクションの消化が良く、またインバウンド依存がないことから、現時点でビジネス面の影響は受けていないという。また、コロナ以前からオフィスのリモート化を進めていたことも功を奏している。国と地域によって状況が異なる海外の卸売先とは、タイムリーな情報交換で要望に応えるなど対話を重視。海外バイヤーから新規取り扱いのオファーを多く受けているが、今年は既に取引がある10数社のセールスに注力しつつ、コロナが落ち着いてから改めて話をしていくとしている。
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