寒さが厳しい冬本番は、あたたかい室内で読書を楽しんでみませんか?今回はヒロインの活躍が印象的な小説をピックアップ。「プラダを着た悪魔」や「ブリジット・ジョーンズの日記」など、小説と映像を見比べてみたいウーマン・ノベルを中心に紹介します。
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等身大のヒロインに励まされる作品
ファッション好き必修の映画「プラダを着た悪魔」の原作小説です。ジャーナリストを目指すアンディは、全くファッションに興味が無いにも関わらず、誰もが憧れる有名ファッション誌のアシスタントに就くことになってしまいます。鬼編集長・ミランダの洗礼を受けていくなかで仕事の面白さに目覚めていき…。著者のローレン・ワイズバーガーは、実際に米「ヴォーグ(VOGUE)」誌でのアシスタント経験がある人物。小説ではミランダがより冷淡に「悪魔」度高く描かれています。
続編小説も上下2部作でリリースされています。映画版では描かれていないストーリーを是非チェック!
アラサーで独身。ダイエットはもちろん、禁酒も禁煙もうまくいかない。ロンドンの出版社に勤務する主人公・ブリジットの日常を描いた「ブリジット・ジョーンズの日記」は、世界中の女性たちの共感を得て、今も愛されている作品。恋に仕事に邁進するブリジットの等身大の姿に、笑って励まされる快作です。
ジェーン・オースティン原作の「高慢と偏見」にインスパイアされている「ブリジット・ジョーンズの日記」。ブリジットの恋のお相手のひとり、マーク・ダーシーは原作の登場人物の現代版として描かれ、英BBC版「高慢と偏見」では映画版でもお馴染みのコリン・ファースがマーク・ダーシー役を演じて話題に。
作者であるエリザベス・ギルバート自身の体験を元にしたベストセラーエッセイ「食べて、祈って、恋をして」。夫との価値観のすれ違いによる離婚を経て、自分自身を見つめなおす旅への出発を決意したエリザベス。イタリア、インド、バリと世界を巡るうちに彼女が手にしたものとは?今の自分になんとなく焦りを抱いている方に読んで欲しい作品です。
個性的な主人公が魅力の作品
ロアルド・ダールの作品は、直近ではロバート・ゼメキス監督、アン・ハサウェイ主演で「魔女がいっぱい」が映画化されたばかり。児童向け作品の傑作のひとつが「マチルダは小さな大天才」です。横暴な大人たちに立ち向かう、賢いマチルダが痛快なストーリー。ダニー・デヴィートが監督・怪演した映画版やトニー賞を受賞したミュージカルも要チェック!
「ムーン・リヴァー」の旋律に彩られた、オードリー・ヘプバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」。ニューヨーク五番街の「ティファニー(Tiffany & Co.)」本店のショーウィンドウ前でバケットをかじるシーンはあまりに有名ですよね。実は、映画版と小説版とでストーリーにかなりの違いがあり、作者のトルーマン・カポーティは、映画版の仕上がりにいたく立腹していたという逸話もあるほど。特に、オードリー演じるヒロインのホリー・ゴライトリーの描写には驚いてしまうかもしれません。「神童」と呼ばれた作家の代表作、ぜひオリジナルの小説をチェックしてみては?翻訳は村上春樹によるもの。
人気ドラマシリーズの原作も!SF・ファンタジー
動画ストリーミングサービス・Hulu制作によるドラマ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」の原作である「侍女の物語」。数々の賞も受賞した傑作ディストピア小説です。女性が物扱いされ、人権を剥奪された近未来を舞台に、どんなに絶望的な環境下でもめげずに戦う主人公・オブフレッドの姿が勇気を与えてくれます。また、作中で描かれる様々なメタファーを通して、現代社会の様々な問題について考えさせてくれる作品でもあるのです。
大ヒットヤングアダルト小説の「ハンガー・ゲーム」シリーズ。計24人の少年少女が、最後のひとりになるまで殺し合うサバイバルゲームを描いています。妹を守るため、残酷なゲームへの出場を自ら志願した主人公・カットニスの活躍から目が離せません。
米HBO制作のメガヒットドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作小説が「氷と炎の歌」シリーズです。中世ヨーロッパ風の世界観を舞台に、7つの国の覇権争いを描いたファンタジードラマが繰り広げられます。見どころは、多数の登場人物が織りなす群像劇。スターク家のアリアやサンサのほか、「ドラゴンの母」デナーリスなど、たくましく魅力的な女性キャラクターからお気に入りを見つけてみては。全7部作想定のところ、現在は5部作まで出版済み。
手に汗にぎるミステリー小説
全世界で1億部以上を売り上げた、北欧ミステリーを代表するスウェーデンの傑作「ミレニアム」シリーズ。本作のもうひとりの主人公とも言えるのが、天才ハッカーのリスベットです。ストーリーが進むにつれ、謎に包まれた彼女の素顔が明らかになっていきます。唯一無二の、クールで個性的なアンチヒロインの活躍をお見逃しなく。
実は、「ミレニアム」三部作は作者スティーグ・ラーソンが心臓発作で急逝した後に出版、映画化された作品。作者の死後に莫大な印税が発生したので、彼のパートナーと家族間では遺産を巡る騒動に発展したことも話題に。全6作のタイトルのうち、4作目からはダヴィド・ラーゲルクランツが担当しています。本国スウェーデンとハリウッドでも映画化されました。
ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ラ 19-1)
著: ダヴィド ラーゲルクランツ
翻訳: ヘレンハルメ 美穂、羽根 由
メーカー: 早川書房
価格: ¥902(2020/12/25現在)
息つく間も無く読み進めてしまうミステリー「ゴーン・ガール」。結婚5周年記念日に突如姿を消してしまった妻・エイミー。夫・ニックに妻殺しの疑いがかけられるようになりますが、もちろんニック自身に見の覚えは無し。何が本当で何が嘘なのか、どんでん返しのラストまで目が話せない作品です。先述の「ミレニアル」のハリウッド制作による映画版「ドラゴン・タトゥーの女」と同様、名匠デヴィッド・フィンチャー監督による映画版もハラハラが止まりません。
英国流女性小説
ミステリー界随一のおばあちゃん探偵といえば、ミス・マープル。英国ミステリーの女王であるアガサ・クリスティーが生み出した名キャラクターです。物腰穏やかなミス・マープルが続々と問題を解決していく様が見ものの短編小説が13編収められています。
エディンバラの厳格な女子校を舞台に、教育者としての理想に燃える女性教師を描いた「ブロディ先生の青春」。お気に入りである6人の生徒たちの中には、次第にブロディ先生に違和感を抱くようになる者も出てきて…。なんとも皮肉たっぷりで不思議な読後感の作品は、ブッカー賞候補にも輝いたイギリスの作家・ミュリエル・スパークによるものです。
「ハリー・ポッター」シリーズのマクゴナガル先生役でもお馴染みのマギー・スミスは、映画版でミス・ブロディを演じてアカデミー主演女優賞を受賞しました。
日本や韓国など、アジアの作品
蒼井優主演で映画化もされた、山内マリコの「アズミ・ハルコは行方不明」。舞台は、ありふれた郊外の街。28歳のOL・安曇春子の失踪を軸にしてストーリーは進んでいきます。「アラサー」「ハタチ」「女子高生」という3つの世代の女子の生きざまを描いた作品です。
現代社会を生きる女性の閉塞感を克明に描き出した「82年生まれ、キム・ジヨン」は、韓国で社会現象になるほどの大ヒットを記録した作品です。主人公、キム・ジヨンは1982年生まれ。子供と夫とソウルのマンションで暮らしています。しかしある時から、母親や友人の人格が憑依したような振る舞いを見せるように。彼女に一体何が起きてしまったのか。ジヨンの人生を振り返りながら、女性であるがゆえの困難や理不尽さが描かれています。映画化もされ日本では今年公開されました。
イラン人の作者、マルジャン・サトラピの自伝に基づくグラフィックノベルが「ペルセポリス」です。1979年のイスラーム革命以降の激動のイランを、一般市民の少女の視点でシニカルに描いています。身の回りの人の投獄や処刑、虐殺。不安定な政情の中、自分らしく生きようとする主人公の姿が心に迫る作品です。
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