マニアが「Gショック(G-SHOCK)」の魅力を深掘りする「マニアが深堀り! Gショック編」。「Gショック(G-SHOCK)」にまつわる情報をほぼ毎日更新するサイト「great G-SHOCK world」運営者が、基本情報からマニアックな話まで独自の視点から紹介します。第2回ではコラボや周年記念、イルクジや復刻など、発売時期になるとGショックフリークの間で必ず話題になる「特別」なモデルにフォーカスしていきます!
目次
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押さえておくべき特別モデルの種類
高級時計店のみならず家電量販店や通販など、様々な場で購入可能なGショックは、多くの人にとって非常に身近な腕時計であり、毎月のように新しいモデルが登場するので見る者を飽きさせない魅力があります。そんな、一見大衆派にも思えるGショックですが、その中には特別なモデルが存在しています。それらはそれぞれ、
・「コラボレーション」モデル
・「周年記念」モデル
・「イルカクジラ」モデル
・「セット」モデル
・「復刻」モデル
・カスタマイズサービス「MY G-SHOCK」
と区別することができます。では一体、何が特別なのか。その説明に入る前に、少しだけGショックの基本情報について触れておきたいと思います。
大定番のDW-5600について
まず、全てのGショックにはアルファベットと数字の組み合わせによる「型番」がついています。ここではGショックの中で大定番と言える品番、スクエア型の「DW-5600」を例にして解説していきましょう。
型番のアルファベットと数字の意味
Gショックの型番はアルファベットと数字が複雑に並べられていますが、基本は「DW-5600」のように「アルファベット→ハイフン→数字」の配列をしています。まずこの二文字のアルファベット「DW」は、メーカーからの公式な見解は出されておらず、定かではありませんが、デジタルウォッチを意味していると言われています。さらに、「DW」の他には「GW」「GA」「MT-G」「MR-G」など数多くの型が存在していて、その意味が公式に設定されているもの・されていないものが混在しています。なのであまり深く考えず、アルファベットは製品番号から派生した単なる記号、くらいに捉えておくのが良いかと思います。
次に、四桁の数字です。こちらの意味もアルファベットと同様に公式な見解は出されておらず謎が多いのですが、強いて言えば四桁のうち下二桁に特徴が表れることがあります。「DW-5600」なら00ですが、「DW-5035」や「DW-6930」のように5の倍数が付けられたモデルがあります。この5の倍数が付けられたモデルはGショックの周年を記念して発売された「周年モデル」であることを示しています。とはいえ、全ての周年モデルの下二桁が5の倍数になっているかというとそうでもなく、下二桁が00で展開されている周年モデルもあるので、参考程度に覚えていただくのがちょうどいいかもしれません。
ここからは、「アルファベット→ハイフン→数字」の基礎配列から派生していくパターンについてです。「DW-5600」シリーズに、「DW-5600BB-1JF」という型番があります。見ていただいてわかる通り、四桁の数字のすぐ後ろにアルファベット、その後ろにハイフン、数字、アルファベットと続きます。
まず、基礎配列の数字のすぐ後ろに付くアルファベットですが、そのモデルの特徴や特別性を意味していることが多いです。「DW-5600BB-1JF」の場合の「BB」ならベゼルと文字盤が「ブラックブラック(オールブラック)」という意味になります。他にも「GA-2100SK」の「SK」なら「スケルトンカラー」、「GWX-8902K」の「K」なら「イルカクジラモデル」といった具合に、特別性を示すためにアルファベットが用いられたりします。ちなみに、「GMW-B5000D」という型番があります。四桁の数字のすぐ後ろに「D」が付くモデル。この「D」はGショックで定番的に展開されている「メタルブレスレットモデル」だけを指す共通アルファベットとして設定されているようです。
少し話は逸れますが、「D」だけではなく「M」もまた共通アルファベットのひとつです。「M」の場合はGショックの中でも「ハイクラスモデル」だけに付けられています。ただ、「M」は数字の後ろではなく「MRG-B5000」や「MTG-B2000」のように型番の頭文字に付いています。
それでは再び「DW-5600BB-1JF」に話を戻します。次は基礎配列の後ろにあるハイフン後の最初の数字「1」です。この数字は、Gショックファンの中での共通知識になりますが、「カラー番号」を表しています。Gショックのカラー番号は大まかに色分けされていて、型番を見ることで色の系統を判別することが可能です。それがこちら。
1:ブラック
2:ブルー系
3:グリーン系
4:レッド系
5:ベージュ・ブラウン系
6:パープル系
7:ホワイト
8:グレー(シルバー)系
9:イエロー(ゴールド)系
最後に、カラー番号のすぐ後ろに付いているアルファベット「JF」です。これは「専用のボックスは付いていません」という意味です。一方、専用ボックス付きは「JR」です。あまりピンとこない方が多いと思いますが、Gショックは本体が同一でも販売時のパッケージに違いがあったりします。なので、一部の例外は存在するものの、まずは「JF=簡易ボックス」、「JR=専用ボックス」と覚えておくのが良いかと思います。
Gショックの形状について
初代モデルである「DW-5000C」の伝統を強く継承している「DW-5600」は、Gショックの耐衝撃構造で最初に確立された「中空構造」を備えています。実はGショックの耐衝撃構造はいくつも存在しています。なので、ここでは基本である中空構造について説明していきます。
外装のウレタンを八角形にし、その角々に切り込み、液晶面には段差を加えることで落下時の衝撃が本体内部に強く伝わりにくい形状をしています。さらには、内部のムーブメントをケース内の点で支えることでわずかながら空間を作り、衝撃の緩衝を最大限に生み出す構造をしています。この中空構造がGショックの耐衝撃構造の大元となり、その後の「コアガード構造」、「デュアルコアガード構造」、「カーボンコアガード構造」と、時代とともに進化を続けています。
4.Gショックの種類や新作について
Gショックは「DW-5600」の見た目のようなウレタンのデジタル時計という認識が強いブランドですが、最近はメタル素材やチタン素材を採用した高級感のあるモデルであったり、アナログ表記のモデルのバリエーションが増えています。また、新作モデルの発表を毎月行っていることもGショックならではの特徴と言えます。これは世界的に見ても、他の時計ブランドとは明らかに違う圧倒的なスピード感です。年間を通して最も最新モデルを投入している時計ブランド、それがGショックだと思います。
以上がGショックの基本情報になります。それでは、ここからが本編のスタートです。特別モデルについてそれぞれ触れていきましょう。
ブランドやスポーツ選手、アーティストなどとタッグを組むコラボモデル
Gショックと親和性の高い“ブランド”とタッグを組んで発売されるシリーズ、それがコラボGショックです。コラボ相手となるブランドはファッションだけでなく一流スポーツ選手やアーティストなど多岐に渡ります。個人的に印象深いコラボレーションの一例には、
・ファッションブランド(または企業)
「ビームス(BEAMS)」、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」、「ニューエラ(New Era)」、「ハフ(HUF)」、「ポーター(PORTER)」
・スポーツ選手(または組織)
八村塁(プロバスケットボール選手)、石川遼(プロゴルフ選手)、五十嵐カノア(プロサーファー)、広島カープ(日本プロ野球チーム)、Bリーグ(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットリーグ)、モンテディオ山形(プロサッカークラブ)
・アーティスト
エミネム(Eminem)、バンプ・オブ・チキン(BUMP OF CHICKEN)、布袋寅泰
などがあります。
コラボGショックの特徴は、定番モデルをベースにコラボ相手を彷彿とさせるカラーやプリントを施した特別感の強い仕様で、かつ数量限定であることがほとんどです。なので、発売日には好きなブランドを常に身に着けていたいファンなどが集中し、発売直後に即完売ということも少なくありません。ちなみにポーター(PORTER)とのコラボGショックは、数年に一度のペースで登場していますがどれも即完売ばかりで、入手すること自体が非常に難しいコラボの一つとして挙げられます。
私のお気に入りは第1回でも登場した、世界的なギタリストである布袋寅泰氏とのコラボGショックです。過去に複数回発売されており、いずれのモデルも布袋氏を象徴する「ギタリズム」柄が時計全体にプリントされ、まさに唯一無二の仕上がりになっています。
コラボモデルの基盤としてもド定番な「DW-5600」をベースにしている「DW-5600HT-1JR(HOTEI 35th ANNIVERSARY GUITARHYTHM MODEL)」。バックライトまでギタリズム柄になっており、HOTEIファンならば興奮を禁じ得ない逸品です。
そしてこちらも第1回から引き続きとなりますが、エミネムとのコラボGショック「GD-X6900MNM-1JR」。2013年発売モデル「GD-X6900」がベースです。
全体をオールブラックで仕立てつつ、レッドカラーで配されたエミネムの頭文字をもじった逆Eマークやバンド部分に施されたデトロイトの高層ビル群を意味する「スカイライン」が目を引きます。バンドと裏蓋部分それぞれにはエミネム自身のサインが記されています。
Gショック誕生を祝う周年記念モデル
Gショックは1983年の誕生以降、5年もしくは10年区切りで記念モデルを発売しています。それが周年記念モデルと呼ばれるものになります。
これまでの周年記念モデルのおおよその流れですが、Gショックの歴史上人気が高いモデルや大きく話題になったモデルのカラーリングを取り入れたモデル、有名アーティストとのコラボモデル、素材やデザインなど細部にこだわったモデルなど、周年を迎えるタイミングにおいて重要なモデルをフィーチャーして、約1年間に20〜30種類が記念モデルとして立て続けに発売されます。この周年モデルの最大の特徴は、レギュラーモデルでは考えられない贅沢なモデルが多いということです。
35周年にあたる2018年には多くの周年記念モデルが発売されており、2023年は40周年にあたります。2022年秋頃からすでに40周年記念モデルが発売されており、Gショックフリークの間では話題の中心となっています。私自身、周年モデルはこれまでにGショックが発売してきたモデルの総決算的な意味合いや、これからの方向性を見定める意味でも重要だと捉えます。そして貴重なモデルが多く登場するまたとない機会になるため大きな期待を抱いています。
こちらは2008年3月に発売されたGショック25周年記念モデル「DW-5025D-8JF “オーシャングレー”」。外装がグレースケルトン、文字盤はミラー液晶、裏蓋は特別ゴールド仕様のスクリューバックになっています。
25周年記念モデル「DW-5025D-8JF “オーシャングレー”」
2013年5月発売の30周年記念モデル「DW-6930BS-8JR」は、同じく2013年に開催された世界最大のウォッチ&ジュエリーの祭典「バーゼルワールド」出展を記念した特別モデル。ヘアライン加工された美しい文字盤が特徴です。
30周年記念モデル「DW-6930BS-8JR」
2018年の11月に発売された35周年記念モデル「GWF-1035F-1JR “マグマ・オーシャン”」。2018年は人気モデルである“フロッグマン”誕生25周年であり、本作は本体や液晶バンドなど合わせて25匹の蛙が刻印されています。
35周年記念モデル「GWF-1035F-1JR “マグマ・オーシャン”」
毎年夏に登場する風物詩的存在、イルクジモデル
Gショックならではの特別モデルとして常にチェックされ続けているのがイルカクジラモデル、通称イルクジです。第1回でも少し触れていますが、イルカクジラモデルとはイルカ・クジラと自然の素晴らしさを伝える活動に取り組む環境団体「アイサーチ・ジャパン」とのコラボGショックのことで、毎年6月頃に発売されています。Gショックは自然保護の観点のもと様々な環境団体とコラボを行っていますが、その中でイルクジは最も高い認知度を誇ります。ファンの間でも春頃から「今年のイルクジはどんなモデルが採用されるんだろう」と話題になるため、Gショック界の夏の風物詩と言えます。
イルクジが人気になった理由のひとつには、イルカとクジラがキャッチーなアイコンとして取り込まれていることで、特別でありながら親しみやすさもあり、なおかつ夏を盛り上げるファッションアイテムになったことで現在まで続く突出した知名度を得たように感じています。
そんなイルクジの特徴は、発売時期である夏に適したベースを採用し、カラーリングも海や自然を取り入れたポップで爽やかなテイストが選ばれています。そして、なんといっても本体の随所にイルカやクジラのプリントや刻印が施されているのが本モデルならではの魅力です。ちなみに、冬時期にペアウォッチとして展開されている「ラバーズコレクション」と同じくイルクジもペア展開が基本なので、実はカップル使いに向いているGショックでもあります。
2015年6月に発売されたイルカクジラモデル「GWX-8902K-7JR」。ムーングラフとタイドグラフ機能搭載のサーファー向けGショック「GWX-8900」がベースです。押しやすいライトボタンと視認性が高い大きめの時刻表示が特徴。
「GWX-8902K-7JR」
2020年6月発売、イルカクジラモデル「GW-M5610K-1JR」。本モデルは、家族の絆が強いと言われるオルカ(シャチ)がモチーフとなっている珍しいイルクジ。ベースモデルには人気の「GW-M5610」が採用されており、白黒のコントラストが美しいモデルです。
「GW-M5610K-1JR」
交換用バンドなど付属パーツが充実したセットモデル
Gショックは基本的にパーツ類の交換ができませんでしたが、5年ほど前から徐々にベゼルやバンド部分などの交換が可能なモデルが増えてきました。今では年におおよそ1〜2型くらいのペースでパーツ交換が可能なモデルと、ブランド公式の交換用パーツが発売されています。パーツ交換ができるようになったことで好きなファッションに合わせてGショック自体を着せ替えて楽しむことが可能になりました。そんな流れの中で、本体と交換パーツをセットで販売する「セットモデル」が誕生しました。
セットモデルは、外装全てを新しい仕様にした“オールニュー”として登場するケースもあれば、オールニューとして登場したモデルの発売から数ヶ月後にセットモデルとして販売されるケースもあります。また、定番モデルにないようなカラーリングが採用されたり、バンドも2色セットになっていたりと内容も充実しているのがセットモデルの魅力で、気分やシーンに応じて楽しみながら一本を長く使いたい人に最適だと思います。ちなみにセットモデルですがワンショット(初回生産のみ)であることが多く、早めに購入しないと手に入らない場合もあるのでご注意を。
2020年10月発売の「DWE-5600CC-3JR」。3パターンの替えバンドとベゼルが付属されているセットモデルです。5600シリーズで使われている回路基板のパターンをカモフラージュ柄に落とし込んで外装に採用。グリーンカラーのバンドは蓄光・反射材になっていて回路基板が浮かび上がるデザインに。これもまたマニア心をくすぐる仕様の一つです。
「DWE-5600CC-3JR」
2021年4月発売の「MTG-B2000BDE-1AJR」。メタルアナログシリーズの人気モデル「MTG-B2000」を土台に、目を引くレッドの換えウレタンバンドが付属されたセットモデルです。本体とバンドは専用工具を使用して取り付ける必要がありますが、スライド式脱着機構が備わっているので短時間で交換が可能。ブラックIPとレッドバンドのコントラストに加え、メタルの上質感も兼備した男らしい一本。
過去の名作が再び!復刻モデル
Gショック誕生から40年間の歴史の中には“名作”と名高いモデルがいくつも存在しています。そんな名作を現代に「復刻モデル」という形で都度蘇らせて発売するケースがあります。以下、私の所有モデルに合わせて、ここ数年で復刻された名作について少し触れていきます。
「DW-5700C」スティング
1985年のとあるライブで、ミュージシャンのスティング(Sting)がスクエアタイプのGショックを着用。それから2年後に登場したDW-5700Cは、Gショックの人気上昇の中でなぜか「スティング」と呼ばれるようになったことが名称の由来とされています。また、最新の復刻版として「DW-5750E-1JF」があります。
「AW-500」
Gショック初のアナログモデルとして知られる1989年登場のAW-500。アナログ針はデジタルと比較した場合、衝撃に弱いと言われたりしますが、これはタフネス構造を見事に実現した歴史的モデル。AW-500の復刻版は「AW-500E-1EJF」です。
「DW-8200B-9A」ゴールドチタンフロッグマン
GW-8230B-9AJR
1985年に登場したDW-8200B-9Aはブラックチタンケースにゴールドのヴィヴィッドな差し色が特徴。デビュー当時から人気が高く、中古市場でもいまだに人気のある名品です。これまでに数回復刻されていますが、2022年に登場した最新の復刻版「GW-8230B-9AJR」においても、やはり発売後即完売という結果でした。
MY G-SHOCKで自分仕様にカスタマイズ
カシオ計算機は2021年10月から、Gショックのカスタマイズサービス「MY G-SHOCK」をスタートさせています。MY G-SHOCKとは、スクエアタイプのモデル「DWE-5610」をベースに、本体(文字盤と液晶)、ベゼル、バンドなど、腕時計を構成するいくつかのパーツをカスタマイズし、オリジナルGショックを作成・購入できるという画期的なプロジェクトです。
MY G-SHOCKはカシオオンラインストアでのみ受け付けていて、スマホもしくはPCで注文してから約1か月前後で手元に届きます。さらに、選択できるパーツにはコラボレーションや期間限定モノが存在するなど注文時期によって異なるため、まさに一期一会のGショックです。また、複数注文も可能なので夫婦や恋人、親子など、ペアでオリジナルGショックを身につけることもできます。
筆者が作成したMY G-SHOCK。ケースと文字盤はオリジナルGショックのテイストを残しつつ、バンドは都会的なブルーグレーウレタン、バックルは限定のマットブラックメタルバックルをチョイス。三連にした遊環(ゆうかん)はブルーグレー、そしてGショックカラーであるレッドとブラックを選んで、一見公式モデルにもありそうな雰囲気をイメージして作りました。
筆者が作成したMY G-SHOCK
このように、Gショックは様々な特別モデルが存在する魅力あふれた時計ブランドです。レギュラーモデルも含めて、豊富なバリエーションの中から自分好みの一本を探してみるのも面白いと思います。
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