メイクアップ クリエイティブ ディレクター、トム・ウォーカ氏
Image by: ジバンシイ
今年1月に「ジバンシイ(GIVENCHY)」のメイクアップ クリエイティブ ディレクターに就任した、トム・ウォーカー(Thom Walker)氏がこのほど初来日し、2023年新製品発表会に登場した。写真のクールなイメージとは裏腹に、ひと懐っこい笑顔で一つずつ丁寧に製品を紹介する姿は集まった人々を魅了した。ジバンシイのメイクアップといえば20年以上、ニコラ・ドゥジェンヌ(Nicolas Degennes)氏が率いて革新的な製品を生み出してきた実績がある。そこからの飛躍を任されたウォーカー氏の現在の思いとはーー。
ージバンシイのメイクアップ クリエイティブ ディレクターのオファーが来たときの思いを教えてください。
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大変光栄に思うと同時に、自分の仕事が認められたこと、また活躍していた前任の革新的なメイクアップ クリエイティブ ディレクターたちの力強い遺産の一部となれたことを、とても誇らしく感じました。
ー約1年ですが、メイクアップ クリエイティブ ディレクターを務めてみていかがでしょうか?
まず、この1年はとても早く過ぎました。忙しい年でしたが、ようやく旅行をして他の国々を見ることができ、とてもすばらしい気分です。ブランドとその真のクチュールDNAについて、さらに多くのことを学びました。
ーそういったクチュールDNAを神髄にコレクションを作り上げていますが、クリエーションのインスピレーション源はどういったところから得ていますか?
私のカラー クリエーションは、これまで多くのモノからインスピレーションを受けてきました。自然、海外旅行、食べ物、本、芸術作品など、あらゆるものから得ているので、何かひとつに絞るのはなかなか難しいですね…。中でも建築とインテリアがとても好きです。
ーたとえば建築からのインスピレーションとは?
建築は、私たちを包み込み、安心感を与えてくれるものですが、その逆もまた可能で、その緊張感が好きです。ロンドンのロイズ・ビルディング(Lloyd’s of London)や、パリのポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)を手がけた建築家リチャード・ロジャース(Richard George Rogers)は、建物が内側からひっくり返ったような、あるいはリップスティックのように見える建物を作った人です。そういった建物からインスピレーションを得て製品やパッケージに応用していると思います。
2023年1月1日、日本のために開発された限定シェードが登場
ー一方でジバンシイ以前のキャリアとして、ファッションシーンで活躍されていましたが、ジバンシイでどう生かされていますか?
私の最初のキャリアは、美容部員です。ハーヴェイ・ニコルズ(Harvey Nichols)やセルフリッジズ(Selfridges)、ハロッズ(Harrods)といった高級百貨店で働いていたのですが、ファッションのキャリアを追求するために退職してショーのバックステージやファッション誌のアシスタントを経験して自分自身の作品を作り始めました。
当時から追及していた、ミニマルでシンプルな美へのアプローチは注目されていたのではないでしょうか(このアプローチは今でも変わりません)。 この2つの道のりが、今の私の仕事に役立っていると感じていますね。
ーこれまでは感度の高いモード誌や、セレブリティのメイクアップを手がけてきました。ジバンシイに入り、消費者を対象にしたクリエーションを作る難しさはありますか?
私自身はそれほど大変だとは思っていませんが、コレクションの制作はかなり早い時期から始めているので、コレクションを発表する一方で、時には2年前から新しいコレクションを制作していることもあります。頭が混乱することもあるのですが、それも楽しみのひとつですし、私たちが取り組んできたことをお客さまにご覧いただけると思うと、いつもとてもワクワクしてます。
ーたくさんのブランドがある中で、ジバンシイの強みは?
ジバンシイの最大の強みは、ファッションの伝統やクチュールに対する強い意識と、製品の革新性、そしていかに先進的なブランドであるかということだと思います。ジバンシイは、4つのハーモニーを持つフェイスパウダー、「プリズム・リーブル」を初めて世に送り出しました。プリズム・リーブルですが肌はマットでありながら、重さを感じさせない空気のような仕上がりで、顔に明るさをもたらしてくれます。こういった革新的な製品と、共に歩んでいきたいと考えます。
初来日で行った2023年新製品発表会
ー今回初めての来日です。日本と日本人の印象を教えてください。
私にとってアジア自体が初めてでした。日本が大好きになって、なんでも欲しくなりました。この旅は私の心を圧倒しましたし、たくさんの歴史と文化、どこを見てもインスピレーションを受け、日本人の優しさ、細部への配慮に心から感動しました。私はそうした細部への配慮が大好きなのです。
ー最後に、ジバンシイの未来をどう描きたいと思っているか教えてください。
私にとってのジバンシイの未来は、製品の革新性、顧客体験、パッケージや製品に込められたクチュール感など、あらゆる面で卓越したものです。近い将来、私のクリエイションを皆さまにお見せできることをとても楽しみにしています。
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