美しいデザインとパターンで多くの服好きを魅了し続けている「ザ・リラクス(THE RERACS)」と、中目黒に店舗を構え東京のファッションシーンを牽引する1LDK、そしてF/STOREの3社によるコラボレーションアイテムがリリースします。ブランドの定番であるグルカパンツやCPOシャツに加え、別注を機に一から作成したという新型を含めた3型を展開。タッグを組むことになったきっかけや、ブランド・アイテムの魅力とは?デザイナーとバイヤー、それぞれの指揮者がコラボレーションの全容を暴きます。
THE RERACSデザイナー 倉橋さんから見たトリプルコラボ
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ートリプルコラボを作ることになったきっかけを教えてください。
1LDKさんとは周年の際にグルカパンツの別注のオーダーをいただいて、ありがたいことにそれが好調ということもあり、継続して何かやりましょうという話をしていたところ、F/STOREバイヤーの英恵さんからも取り組みのお声がけをいただき、トリプルコラボという形で進行することになりました。もちろん英恵さんや1LDKのバイヤーである中根さんとの個人的に繋がりもあったということが前提にあるのですが、少しビジネス寄りの話をすれば、1LDKさんには情報コンシャスで感度の高いお客様がたくさん集まり、実店舗として自分たちの手の届く範囲のお客様を大切にしている一方で、F/STOREはファッションメディアとして影響力のあるFASHIONSNAPのECサイトなので、幅広い層の方にお届けすることが出来る。そういったことから、このトリプルコラボが3社にとって良い効果があるかと思い、お取り組みを提案しました。
ー3社にとって良い効果とは?
情報の発信力やお客様とのリレーションなど、それぞれの強みを活かしながら健康的な相互関係が築けるということ。F/STOREで情報を発信して1LDKさんの店舗に行って直接商品を見る、その逆も然りで1LDKさんの店舗に直接伺えない方がF/STOREで購入する、このようにいい循環でサイクルすることを期待しています。その過程を通じてザ・リラクスというブランドのことも知ってもらえるので、3者にとって相乗効果をもたらす形での取り組みになると思っています。
ー今回展開するアイテムのことについて教えてください。
グルカパンツとCPOシャツ、そしてCPOシャツをメンズサイズにアップデートした新型の計3型を展開します。
ーグルカパンツはインラインでも作っていますよね?
7年くらい前からずっとやっているのですが、ブランドの定番として認知され始めたのはここ4年くらいですね。
ーアイテムの特徴はありますか?
一般的なミリタリーのアイテムはハリコシのある硬い綿などを使うのが一般的ですが、ウールを用いて綺麗に仕上げているのが特徴です。この素材に合うように、工場もカジュアルなパンツを取り扱うところではなく主にスラックスの縫製を担当するところにお願いしています。グルカパンツはデザインも仕様もかなり特殊なので生産できるところが限られてしまうのですが、この特別な背景を使用しているのも独特な顔になる大切な要素の一つ。デザイン自体はあくまでもミリタリーですが、素材や付属は綺麗なものを用いることで上質な方向性に振っているアイテムですね。
ー確かに上品な印象ですね。デザインやパターンも一般的なものとは少し異なりそうですね。
ザ・リラクスではグルカパンツをハイウエストで穿くことを提案していて、その穿き方にフィットするようにタックの分量を深く取り、どちらかというとパンツというよりキュロットやスカートに近い形のパターン設計を採用し、全体で見た時に綺麗なシルエットを作り上げています。グルカパンツ自体は時代や年代によって仕様も変わり、バッグポケットの有無も分かれるのですが、ザ・リラクスのものは本来ポケットが存在しないモデルに日常使いしやすいようバックポケットを付けていたり、またカッティングも少しラウンドさせ柔らかく仕上げているのが特徴です。またミリタリーのアイテムをモチーフにする場合、基本的には現代的な方向に寄せていくと思うのですが、このポケットのカッティングやパターンなどの細かなディテールで女性らしい要素を取り入れ、トラディショナルな方向に寄せて柔らかく仕上げていくことは、ブランドとして意識しています。
ードライなタッチで艶のあるいい生地感。これはウールですよね。
ハリ感と肌離れ、ドレープ感と揺れ感が抜群で唯一無二の生地だと思っています。グルカパンツのシルエットを出すためにはこれ以上のものはないです。夏は涼しくて冬は暖かいので通年使える。そういった面でも優れていますね。
ー一方でシャツは生地を変えてるんですよね?
ブランドオリジナルのポリエステル生地を使用しています。コットンのような質感を表現しながら、化繊らしい機能性を備えた優れもの。コットンだと水分を吸ってシワになってしまいますが、一日中着ていてもシワにならず立体感があり、なおかつ洗濯しても美しさが続くんですよね。
ーシャツのこだわりについても教えてください。
原型となるCPOシャツは元々はセットインスリーブなのですが、少しソフトな雰囲気に仕上げるためにラグランに変更しています。ラグランにすると袖山が角立って大きく見えがちなのですが、それを抑えるために肩幅に対して身幅を大きく取ることで、肩から裾までシワがよらず綺麗に落ちるシルエットを作っています。この設計のおかげで、ある程度どんな体型の人が着ても同じように美しい着用感が実現でき、これは新型の方も同様の考え方で作っています。
ー綺麗に縦の線が出ることが美しいシルエットということ?
そうですね。余計なシワが出ず、重力を邪魔していないということを意味します。パターンと素材の相性を突き詰めていくと、自然としてはいけないデザインが見えてくるというか。きちんと時代にあった寸法と素材とのマッチングを考え抜くと余計なデザインは一切しなくてもいいという考えが私たちにはあり、その考えを体現したようなアイテムです。
ーでは最後に、今回の別注アイテムをどんな人に着て欲しいですか?
私たちの洋服はいろんな人が似合う最大公約数のような設計を採用しているので、そういう意味で言うと幅広い人に手にとってもらい、ブランドを好きになってくれたら嬉しいです。綺麗なパターンやデザインを採用した洋服は、着た時に直接脳に伝達されるように、有無を言わさず格好いいと認識できるんですよね。美しい洋服を体感してもらうことが私たちにとっての生き甲斐なので、お客様もザ・リラクスの洋服を着て“美しい”という感覚を味わって欲しいです。それは似合う、似合わないの軸ではなくて、今までの自分とは少し違うという良い意味での高揚感を感じられるものであり、今回の別注をきっかけにして体感していただけたら嬉しいです。
1LDKバイヤー 中根さんから見たトリプルコラボ
ー中根さんにとってザ・リラクスってどんなブランドだと思いますか?
初めて展示会に伺った時から、どこにも属さない空気感を纏ったブランドだと思っていました。ザ・リラクスの洋服を着ている人を見ると瞬時にわかるというか、それくらい特徴的な空気感を纏ったブランドだと思います。
ーそれはどんな部分が作用していると思いますか?
ブランドらしい点でいうと、やはり素材でしょうか。上質な生地を使用しているブランドはたくさんあると思いますが、ただ良い生地を選ぶということではなく、着ることを前提とした選び方をしていること。今回の別注アイテムも同様に、シャツだとシワになりにくいポリエステルの生地を採用したり、ボトムスだと通年穿ける生地を使用したりと、ちょうど良い落としどころで永く使える、先を考えてものづくりをしているところがブランドの魅力だと思います。
ー良い生地を使いながらあくまでも日常使いできるということですかね。
そうですね。お客様にも寄り添いながらブランドの世界観をきちんと表現しているので、僕は誰でも着られる日本のメゾンブランドだと思っていて。ブランドのことを知っている人はもちろん、知らずにザ・リラクスの洋服に袖を通したお客様にもぴったりフィットする。バイヤーとしてそこに対する信頼感や安心感は絶大ですね。
ー触ればすぐに“いいもの”とわかりますもんね。
もちろん生地もそうですが、それだけではなく価格帯もポイントになっていると思います。決して安いものではないですけど、ちょっと頑張れば買える価格帯というのが、1LDKのお客様にも支持を得ている理由の一つ。ちゃんと上質で高揚感も味わえるプロダクトなのに、価格を見るといい意味で釣り合っていないというか、その点も魅力的ではないでしょうか。
ー今回の別注アイテムを初めて見た時の感想を教えてください。
まさに理想通りというか、本当にいいものができたと思います。シャツで言えばボタンも本水牛のものを使っていたり、細かなところまでブランドらしい繊細な息遣いが感じられる仕上がりです。
ー中根さんのお気に入りポイントはありますか?
黒に近い上品な印象のダークネイビーの色味が気に入っています。お店のイメージやお客様が1LDKから連想するイメージカラーがネイビーということもあり、色は1LDK側で希望を出させてもらったのですが、インラインにない特別なカラーに仕上げてもらい、とても満足しています。
ーパンツはどうですか?
前回のシーズンに1LDKで別注し、おかげさまでそれが好評だったので、今回もこのグルカパンツをベースにさせていただきました。毎シーズンお買い求めいただくようなお客様もいるくらいアイコニックな存在で、定番として揺るがない強さを備えた稀有なアイテムだと思います。
ー今回のアイテムを1LDKのお客さんにどんな風に着こなして欲しいですか?
着方に関しては本当に考えてなくて。押し付けがましくこういうスタイルで着て欲しい、と提案するのが個人的にもあまり好きではないので、本当に気に入っていただいたお客様の好きなように着ていただけたら嬉しいです。1LDKで取り扱いのあるブランドとはもちろん、古着でも相性良く着こなせるような、全体のバランスを調和してくれるものができたと思っているので。
ーミニマルだからこそ為せるのでしょうか。
そうだと思います。ザ・リラクスは極限まで引き算していきながらブランドの世界観を表現していて、潔く削ぎ落としていく姿勢に惹かれますね。
黒のTシャツをインナーに、レザーシューズを合わせたミニマルなスタイリング。普段はスニーカーを履くことが多いという中根さんですが、グルカパンツはレザーシューズを合わせたくなるとのこと。ラフにボタンを開け、グルカ特有のウエストのディテールを活かすようにタックインしたスタイリングもおすすめ。
F/STOREバイヤー 英恵さんから見たトリプルコラボ
ーブランドとの出会いを教えてください。
前社でバイヤーを担当していた時に、ファーストシーズンから拝見していました。まだコレクションのピース数も少ない当時から今と同様に真摯なものづくりが好印象で、過去には沢山の取り組みをさせていただきました。そんなスタート時から見ていたザ・リラクスが初めてショーを行った時は、改めてコレクションの進化と広がりを感じ、親戚の様な気持ちで胸が熱くなるほどで。今でもブランドとしてのスタンスは変わらず、手に取りやすい価格帯で、インポートに負けないリュクス感のあるジャパンブランドとして、スタイリングを洗練させてくれるクリエイションにずっと魅了されています。
ー英恵さんが思うブランドの魅力はなんですか?
一見するとシンプルなデザインの中に、すさまじい熱量でストイックに計算された機能美とデザイン美をとことん追求した職人愛を感じさせるコレクションが魅力だと思います。アイテムの歴史などトラディショナルなものを掘り下げて、さりげなく、しっかりと自分たちのフィルターを通じて展開している。ファッションを熟知しているからこそ、可能な進化だと思います。小手先の技術ではなくて正面からものづくりに向き合っていて、かといって真面目すぎないブランドらしいニュアンスがあり、そのバランス感にも惹かれます。一見するとユニフォームのようで男前な印象ですが、素材の上質さもあり、着るとエレガントなムードが感じられ、ジェンダレスに馴染むのが魅力だと思います。
ーF/STOREのコンセプトであるジェンダレスにもマッチする。
そうですね。ザ・リラクスの洋服は、フェミニンなものにも、マニッシュなものにもフィットして、いい形でブリッジになり、スタイリングをアップグレードしてくれます。細部まで丁寧で“上質さ”という要素がどのアイテムにも備わっているので、性別もスタイリングも超えて馴染むのだと思います。そしてそれをお客様にはひけらかさず、着心地で伝える職人感。本当に細かい部分までこだわっていて妥協せずちゃんと作り込んでいるのがリスペクトしかありません。洋服に対する愛が無ければできないと思います、生半可ではない情熱を感じます。
ー今回の別注アイテムを見てどう思いましたか。
ブランドらしい程よいきちっと感とカジュアル感がうまく両立されたアイテムができたと思います。シーズン問わず使える生地とデザインが掛け合わされて、絶妙なバランス感が魅力的です。文字通り通年使える仕上がりで、本当に素晴らしく可愛い相棒になりそうです(笑)。
ー英恵さんがCPOシャツを選んだと伺いました。どうしてこのアイテムを選んだんですか?
1LDKさんで別注の実績があったグルカパンツとセットアップで合わせられるもので、いくつか候補をピックした中から最終的にCPOシャツを選びました。グルカパンツはハイウエストでの穿き方がサマになるので、バランスよく着こなせるものとして、トレンドでもあるクロップド丈のCPOシャツを選び、それを元にオーバーサイズ提案として倉橋さんに新型を作っていただきました。女性だったらマキシ丈のワンピースとか、男性だったらカットソーとレイヤードするなど、夏らしいアイテムとも相性よく、重宝すると思います。
ー確かにいろんなスタイリングにハマりそう。このさらっとした生地感もいいですよね。
夏の羽織として日よけにも使えるし、ちょっとしたカーディガンよりも綺麗めに見えるというのも嬉しいポイントですよね。洗濯もできて、かつアイロンをかけずに着られるという機能性も抜群だと思います。
ーグルカパンツのお気に入りポイントはありますか?
グルカパンツらしいサイドベルトのディテールが気に入っています。インラインでは革のトリムが採用されているのですが、シャイニーな方が春夏らしいと思い、別注ではメタルのものを提案させてもらいました。F/STOREのお客様もモードなテイストが好きな方が多いので、こちらの方がマッチするかなと思い、出来上がったのを見て個人的にも気に入っています。このサイドベルトのおかげでウエスト位置も自由に調整可能なので高めに穿いてスタイルアップが叶う本当に優秀なアイテムです。
ーF/STOREのユーザーにどんなふうに着こなして欲しいですか?
もちろんセットで着るのもいいですが、単品でも楽しめるので、ラフにTシャツと合わせたり、スカートと合わせたり、本当に何にでも合うので好きなように着こなして欲しいです。私だったらグルカパンツはフェミニンなトップスや肌見せトップスを合わせてバランスをとったり、セットアップでタックインしてオールインワンライクなスタイリングにしてみたりと、いろんな着こなしを楽しみたいです。
ロングアンドリーンを意識したというスタイリング。ブラックのワンピースの上からレイヤードしクリーンな印象に。あえてメンズサイズの方を選び、首を抜いてラフに着るのもおすすめだそう。オーバーサイズを選んでも馴染み、“着られている”という印象を与えないのは考え抜かれた設計だからこそ。
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