「ザ・リラクス(THE RERACS)」と「ワンエルディーケー(1LDK)」、「F/STORE」によるトリプルコラボ第二弾が本日よりリリースされます。コラボコレクションの販売開始に際し、トリプルコラボの立役者でありファッションシーンを牽引し続ける「ザ・リラクス」の魅力を紐解くべく、ブランドディレクターやフォトグラファー、インディペンデントマガジンのクリエイティブディレクターなど、ブランドに関わりのある3人のクリエイターにインタビューを敢行しました。「ザ・リラクス」に魅了されるワケとは?それぞれから見たコラボコレクションの魅力とは?「ザ・リラクス」のことを知り尽くす3人に紐解いてもらいます。
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加藤順子さんから見た「ザ・リラクス」のこと
2015年、大学生時代にモデル業をスタート。現役の歯科医師でありながらも、ブランドのクリエイティブディレクターとしても手腕を振るい、数多くのブランドとのコラボレーションも果たす。2024年には、明治時代創業の老舗オーラル化粧品ブランドの代表取締役に就任するなど、活動の幅を広げている。
ーブランドとの出会いについて教えてください。
私がまだ学生だった時にフォトグラファーの大辻さんから紹介していただいて、一緒に展示会に行ったのがブランドとの出会いです。当時展示会なんて行ったことがなかったので、こんなに輝かしい世界があるのかと驚愕したのを今でも覚えています(笑)。大学を卒業して上京した後も展示会には行かせてもらっていて、当時からもちろん好きだったのですが、ここ数年でよりブランドの魅力がわかってきたような気がします。
ーそれはどんな変化があったんですか?
自分が物を作る立場になってわかったのですが、「ザ・リラクス」の洋服は物を作る側の人間が似合うということ。私自身、歯科医師やブランドディレクターなど様々な肩書きがあり、一見すると全く異なる仕事をしていると思われがちですが、何かを作るということにおいて共通していると思っていて。自分が前に出ていく時というよりも、ものづくりをしている時に着たいと思えるような、まるで制服に近い感覚を「ザ・リラクス」の洋服からは感じられて、それが心地よいと思えるようになりました。
ーあくまでも作り手に寄り添うということ。
そうですね。“主役になる人の洋服”ではなく、“主役を作る人たちのための洋服”を「ザ・リラクス」は提案し続けている。“主役になる人たちのための洋服”を作ってるブランドが多い中で、その考えをブラさずに作り続けているのが格好良くて、それが理解できてから一層ブランドに対する愛が深まりましたね。
ー作り手という立場で言うと、今年の8月に「平尾賛平商店」の代表取締役に就任したことが大きいのでしょうか。就任することになったきっかけを教えてください。
「平尾賛平商店」が元々出していたダイヤモンド歯磨という日本で初めて作られた国産の歯磨き粉を見つけ、そこからブランドのことを知り、創業家である平尾家の方に連絡したのがきっかけです。歯科医師として患者さんと接している時に感じるのですが、ファッションや美容に興味があっても、歯のことについてきちんと意識を向けている人は少ないように思っていて。こうなった原因を考えた時に、やっぱり手に取りたいと思えるようなものがなかったり、そういう作法を素敵に提案しているブランドが存在していないのが大きいと感じていて、そこを補うために自分でブランドを始めようと決心し、連絡させていただきました。
ー一番最初にリリースしたのはフロスですが、これはどのような狙いがあったんでしょうか?
歯ブラシはするけど、フロスまでを「歯磨きの手順」として習慣にできている人はかなり少ないと思っていて。私が歯科医師としてまず一番提案したかったのがフロスだったので、「平尾賛平商店」の代表商品であるダイヤモンド歯磨をモチーフにしてブランド初のアイテムとして作りました。今後も徐々にオーラルケアのアイテムを増やしていく予定です。
ー商品を作る時に意識していることはありますか?
私自身もそうなのですが、いわゆる古いだけのものには惹かれないので、「古いけど新しい」とか「古いけどクリーンさも感じさせる」というのは意識しています。「平尾賛平商店」は明治期創業なので、そのテイストを引き継ぐだけだけではなく、ブランドらしさは残しながら少しモダンさを加えてアイテムを魅せるように工夫しています。ファッションと美容業界は関係性もあって結びつきも強いと思うのですが、ファッションと歯科業界を結ぶブランドや人はほとんどいないので、ゆくゆくは二つの業界を繋ぐような存在になれたらと思っています。
ーファッションに興味を持ったきっかけはなんだったんですか?
最初から興味があったというよりも、インテリアの派生で洋服にも興味を持ったという流れの方が正しいかもしれません。インテリア好きから始まり、部屋の中を整えた先にこの空間にマッチする自分のスタイルってなんだろうと考え始め、洋服にも派生していった感覚です。ソファやラグ、テーブルと同様に部屋の中にいる自分の構成要素の一つとしてカウントされ、それで初めて部屋として完成すると思っているので、インテリアの延長線上として洋服を捉えているのかもしれません。何を選択しているかということが、その人の人生を表しているような気がしていて、その最たる例がインテリアだと思うんですよ。不特定多数の人に見せるわけではないけれど、自分がどうなりたいのかとか、どういう方向性で生きていきたいのか、という選択が集約されていると思っているので、どちらかといえばインテリアの方を重要視しているかもしれません。
ーインテリアや洋服に限らず、惹かれるものの共通点はありますか?
共通している点で言うと静かなものですね。ここ数年で“クワイエットラグジュアリー”という言葉が使われるようになりましたが、その前からそういったミニマルなものが好きでした。若い頃はポップなものの好きだったのですが「ポップってチープかも」と気がついた時から、自然と静かなものに惹かれるようになりました。素材で言うと木ではなく大理石とか、どちらかと言うとクールで冷たくて、温度がないようなもの。その文脈で言うと私が「ザ・リラクス」に惹かれるのも、そういった無機質な部分に共鳴しているからなんだと思います。
ーソリッドみたいなことですかね?
簡単に表現するとそうだと思います。洋服で言うと色や素材ももちろん大切だと思うのですが、特にシワ感は重要視していて。先の話にも繋がりますが、シワが多いものは表情が豊かすぎて、どうしても温度が高くなるような感覚があり、私の目指しているクリーンな無機質さとは乖離してしまうんですよね。「ザ・リラクス」の洋服はシワ感すらもコントロールされていると感じるほどに、つるっとしていて、圧倒的に無垢。だからこそどんな人やスタイルにも馴染み、似合うのだと思います。
ーそれはブランドを初めて見た時から変わらず?
ずっと変わらないですね。職人のようにストイックで、だけどどこか安心感があって、こんなに変わらないものづくりを続けているブランドは珍しいと思います。それでもシーズンを重ねるごとにブラッシュアップを続けていて、同じように見えても着てみると全く違うものという感覚を味わえる。それがブランドの凄みだと思います。
ーでは最後に、今回のコラボアイテムを着てみた感想を教えてください。
ハリントンジャケットとグルカパンツをセットアップで着ましたが、「ザ・リラクス」らしい制服感があって心地よかったです。シルエットが綺麗だからこそメリハリがあって、平面的ではないのがブランドらしくて魅力的。普段ショート丈のアウターをあまり着ないのですが、今回のようなセットアップでの提案だと気負わず着られるので素敵だと思いました。寒くなったらタートルネックのニットやブランド定番のチェスターを合わせたりと、マニッシュなムードで着たいですね。
大辻隆広さんから見た「ザ・リラクス」のこと
福井県出身。フォトグラファーの石黒幸誠氏に師事、のち2007年に独立。メンズ・レディース問わずファッションシューティングの世界で活躍し、2023年には自身がディレクターを務めるWEBマガジン「building building」をスタート。大切な誕生日を一緒に祝い、記録に残すことを目的とした「Birthday Girl」などフォトグラファー目線の独自コンテンツで人気を博す。
ー今回のコラボアイテムのメンズルックも大辻さんが撮影されたと伺いました。ザ・リラクスとはいつから撮影されているんですか?
2011AWコレクションのルックを撮ったのが初めてですね。僕が信頼している人から「ザ・リラクスというブランドのルックを撮って欲しい」とお願いされたのがきっかけ。僕自身も独立してから3年目くらいの若手でブランドのルック撮影もあまりしたことがなかったのですが「将来絶対伸びるから、ぜひ協力してほしい」と言われ、デザイナーの倉橋さんから話を聞くことになりました。ブランドとしてやりたいことが沢山あって熱量も感じたのですが、軌道に乗る前だったということもあり金銭面的にも厳しいと相談を受け、少ない予算の中でどう撮影を成功させるかを3人で話し合ったことを覚えています。これから先、売れてからも僕を必ず使ってくださいねと約束をして、撮影することになりました(笑)。
今回の別注のために大辻さんが撮影したルック
ーそうだったんですね。今では当たり前になった数十体のルック撮影も当時では珍しかったと。
2011年当時、もちろんシンプルなルック自体は沢山ありましたが、僕が知る限り全カットで全てを削ぎ落として堂々と正面から勝負するというシンプルな形式のルックを始めたのは「ザ・リラクス」が一番最初だと思います。予算もないという割に30体以上撮りたいと言われた時は、正直驚きましたが(笑)。
ーそれでも撮りたいと思ったのでは、どうしてでしょうか?
洋服作りに対する圧倒的なこだわりと絶対的な自信が感じられたからでしょうか。「ザ・リラクス」は、良い生地を使いながらも値段を上げるのではなくて、あくまでもユージュアルかつデイリーに使えるものを目指していたり、1つ先のステップのブランディングをしているように感じて。ただなんとなく売れたいというよりも、もっと深い部分での考え方が当時から根付いていたように思います。残念ながら昨今様々なブランドが無くなってしまっている一方で、「ザ・リラクス」は残りそして伸び続けているということが何よりの証拠だと思います。
ーその撮影をきっかけにして、今まで関係性が続いているわけですね。
有難いことにそうですね。個人的には半年に一回の撮影は親戚の集まりというかそんな感覚に近いものがあるのですが、それでも毎回でも必ず緊張感があり、現場で高みを目指す姿勢が感じられるのは倉橋さん含めブランドのすごいところだと思います。
ー大辻さんから見た「ザ・リラクス」のイメージを教えてください。
洋服を初めてみた時に感じた熱量や服作りに対するこだわりは10年以上たった今でも変わらず、良い意味で何も変化していないと思います。僕は洋服の細かなディテールや生地については詳しくないのですが、それでも袖を通せばシーズンを増すごとに魅力的に見える感覚があって。もちろん時代感やトレンドを反映しながらも、服作りの根幹は変わらずにバージョンアップを続けていて、それが多くのファンを魅了している理由じゃないかなと思います。10年前に買ったコートを今着ても全く色褪せないけれど、少しずつ進化しているから新しいコレクションのコートも欲しくなる。そのバランス感がブランドの魅力だと思います。
ールック撮影をする際に意識していることはありますか?
生地感やドレープ、モデルの顔、全体的なシルエットは追求していますが、根本的な考え方は“奇を衒わないということ”ですかね。
ー奇を衒わないとは?
ライティングもポージングもベーシックということ。ライティングは写真学校などで一番最初に習うような王道中の王道で、モデルのポージングも基本的に直立なんですよね。もちろんファッション写真としてライティングを作り込んで、洒落たポージングで撮影した写真の格好良さもあると思いますが、「ザ・リラクス」の洋服とはミスマッチだと感じていて、洋服自体も奇抜なものではないので、これくらいベーシックな撮影手法の方がハマっているような気がします。
ーそれが一番最初のルックから今に至るまで変わらないということ?
そうですね。そしてこの形式で撮り続けてきたことが「ザ・リラクス」の凄み。一見するとベーシックかつ普遍的で誰のものでもないはずなのに、やり続けてきたことでこれが「ザ・リラクス」のものとして認識されるようになった。僕自身も「このライティングと構図はザ・リラクスのもの」という意識があるからこそ、他のブランドと撮影する時には異なる画を提案するようにしています。それはブランドに対するリスペクトであり、他で同じようなことをすると共に築いてきたものを壊してしまうような気がするので。それを最初の1発目で決め切ったというのは、僕と倉橋さんの相性が良かったとも言えるんだと思います。
ー今回のコラボアイテムの感想を教えてください。
先ほどグルカパンツを穿かせてもらいましたが、やっぱりシルエットが抜群だと思いました。自分のスタイルって何十年も見続けていて、自分が一番理解しているじゃないですか。そのスタイルに違和感なくハマったというのは、やっぱりシルエットが綺麗だから成立するんだろうなと。
ー普段はどのような格好をしていますか?
撮影をしていると膝ついたり、しゃがんだりしないといけないので、現場では汚れてもいいボトムスばかりですね。オフの日も同様で、年を重ねるごとにカジュアルで楽な格好が多くなりました。職業柄、展示会に呼んでもらうことも多いので気がついたら全身知り合いのブランドなんてこともよくあります。
ーではこのような綺麗めボトムスはほとんど穿かない?
でも一定数こういったアイテムに対して憧れがあるんですよ。先日の展示会でセットアップをオーダーしたくらいなので、定期的にその周期が来るというか。倉橋さんが言っていた「良い生地を使って高い値段をつけることもできるけど、そうすると雑に使えないじゃないですか。ある程度価格帯を抑えているのは、家に帰ってきて脱ぎっぱなしでソファに置いておいても、罪悪感がないようなものを目指しているからなんですよ」という話を今思い出しました。それで言うと、僕はまだそれが出来ないのかもしれません。汚れなんて気にせず当たり前のように「ザ・リラクス」の洋服を着こなせるような人間を、まずは目指したいですね(笑)。
HIROYUKI KUBOさんから見た「ザ・リラクス」のこと
“タイムレスな美しさ”をコンセプトに掲げ、国内外の著名なフォトグラファーやスタイリスト、モデルを起用した、独自の世界観が投影された唯一無二のエディトリアルを展開している、東京発インディペンデントマガジン「UNION MAGAZINE」のクリエイティブディレクター。
ーKUBOさんが「ザ・リラクス」を知ったきっかけを教えてください。
デザイナーの倉橋さんから電話をもらったのが一番最初です。雑誌のことを根掘り葉掘り聞かれ、かつ当時はブランドのことをほとんど知らなかったので、困惑したのを覚えています。そこから関係が始まり、2017年にはロンドンで一緒にルックを撮影したりと、今に関係性が続いている感じです。
ー「ザ・リラクス」とはどんな印象のブランドですか?
洋服を見る度にオタクが作っているんだなとつくづく感じます。僕はどんな分野においてもオタクが世界を回していると思っていて、「ザ・リラクス」はまさに素材オタク。どの洋服を見ても上質な素材感を感じられ、そこに落ちるシルエットが太文字としてアクセントをプラスしているような印象です。素材やシルエットなどのパーツごとに見るとこだわりが詰まっていて、個々の主張があるんですが、全体で見ると静かで普遍的な価値を持っていると思います。
ー「UNION MAGAZINE」のコンセプトである“タイムレスな美しさ”にも通じることですね。エディトリアルを構成しているうえで、大切にしていることはありますか?
時代感を入れないことは意識しています。何十年後に見ても古臭さを感じさせないということは常に心がけていますね。そのシーズンの洋服を使ったとしても、写真の撮り方やモデルのキャスティング、ヘアメイクなどを調整すれば、充分に時代感はコントロールできます。たとえ数十年後に見たとしても、それが古臭さを感じさせないのは、そういった工夫があるからこそ。トレンドを追うのは簡単なことですが、タイムレスなものを構成するのは意外と難しいことなんです。
ーそれは第一号から変わらず?
媒体を始めた当初からトレンドは追わないということは決めていたので、その考え方は第一号から一貫していると思います。もちろんブラッシュアップは続けていますが、いま第一号を見ても古いと思わないのは、その考え方が徹底できているからではないでしょうか。
ーKUBOさん自身が心動かされるのも、タイムレスなものが多いのでしょうか。
そうですね。身に付けるものも飽きが来ず、タイムレスに使えるかということが判断基準の一つになることが多いかもしれません。これさえ買えばもう一生買い替える必要がないと思えるほど、普遍的なものを選ぶことは意識しています。ただ最終的に迷った時の判断基準になるのはそのものが美しいかどうか、ですね。
ー美しさって多角的ですよね。それぞれにとって美しいという捉え方が違うようにも思います。
少し大きな言い方をすれば、地球上に住んでいる限り、全ての人間は最終的に美しいものに惹かれるように出来ていると思っていて。散らかった部屋に住んでいる人より、整頓された部屋に住んでいる人の方が魅力的に見えるし、汚ない料理よりも綺麗な料理の方が美味しそうと感じるじゃないですか。最終的にそういう風に本能的に美しいものに惹かれるように出来ているはずだと思っているので、僕なりの美しさを追求して、それを媒体を通じて発信している感覚です。
ー美しさを追求するうえで意識していることはありますか?
僕の仕事は無形文化財みたいなものであり、美しさという概念を提供していると思っており、自分が綺麗じゃないといけないと感じているので、仕事を始める前には部屋を掃除するのがルーティンになっています。完璧に綺麗にしてからじゃないと仕事が始められないし、うまくいかない。美容的に綺麗という話ではなく、綺麗なオーラを纏っているかというところは、自分の中で大切にしていますね。その点で言うと「ザ・リラクス」の洋服は京都の街並みみたいに理路整然と整った印象があって、僕が目指している美しさに近しいものを感じます。
ー洋服を選ぶ時に大切にしているポイントはありますか?
意識しているのは「タイムレスに使えるか」と「主張がないけど上質なもの」という2軸であり、探してみるとこのポイントを叶えてくれるものは意外と少ないんですよ。相手には伝わりにくいうえに完全に自己満足の世界なのですが、これらをずばり満たしてくれるのが「ザ・リラクス」だと思います。
ー今回のコラボアイテムの感想を教えてください。
チャコールグレーが一番好きな色なので、まずこの上品な色味に惹かれました。ぬめっとしたタッチと艶のあるカレッジフランネルの表情は、さすがの仕上がりだと思います。カシミヤに似た柔らかさと光沢感、それに軽さも加わり、完成度も高く、個人的にも結構欲しいくらいです。普段からロング丈のアウターを着ることがほとんどないので、さっと羽織れるショート丈のハリントンジャケットは重宝しそう。今日みたいにブラックデニムにグルカサンダルを合わせたスタイリングで楽しみたいですね。
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