Image by: HENRY JACQUES
フレグランスの魅力とは、単に“匂い”だけじゃない。どんな思いがどのような香料やボトルに託されているのか…そんな奥深さを解き明かすフレグランス連載。
第9回は、ラグジュアリーフレグランスブランドの代表格「アンリ・ジャック(HENRY JACQUES)」から届いた新作をご紹介。
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この連載の第1回を飾ったアンリ・ジャックが日本初のブティックを銀座にオープンしたのは昨年4月。それから1周年を目前に、またしてもラグジュアリーな新作がお目見えする。
その名も「レ・トゥピーズ(独楽)コレクション」。“独楽(こま)”にインスパイアされたという斬新なボトルは、ブランドのアーティスティックディレクターであり建築家のクリストフ・トレメール(Christophe Tollemer)が約3年かけて完成。片手のひらにボトルを納め、もう片方の手でキャップを取り肌にまとう…そんな美しい仕草をイメージしてデザインされているから、“置く”という概念から離れ、360度どこからも同じに見える、まさにオブジェ。クリスタルメーカーによるハンドメイドゆえ、限定品としての展開である。
“コレクション”というだけあって、実は3組のペアフレグランスから成るのだが、薬機法が厳しい日本には残念ながら1組のみが奇跡的に上陸。それがファンファンとガリレオだ。
使われている香料をみると、ファンファンはトップにサフラン、ラベンダー、ゼラニウム、ミドルにサンダルウッドやローズダマスケナ、ベースにシラーウッド、レザー、アンバーなど。
一方のガリレオはトップにマンダリン、ラベンダー、ゼラニウム、ミドルにパチュリ、ミルラ、ベンゾイン、ベースにオークモス、アンバーなど。
香りを大まかに表現するとファンファンは上品なパリジェンヌ、ガリレオはスタイリッシュなジェントルマンという感じだが、見てわかるとおりトップのラベンダーやゼラニウム、ベースのアンバーなど、いくつかの香料をリンクさせている。だからペアで使ってもお互いを邪魔することなく、むしろニュアンスに深みが加わるところにペア展開の意味がある。
さらにアンリ・ジャックならではの持ち味といえるのが、“香りのおかわり”ができること。今回のファンファンあるいはガリレオを購入した人は、使い切ったボトルに同じ香りを詰めてもらうことができるのは当然のこととして、そのほかにも「レ・エッセンス」の15mLボトルに詰めてもらう、あるいは希釈タイプの「レ・ブルーム」や練り香水「クリック-クラック」への仕様変更も可能。これぞオートパフューマリーメゾン、要は香りの権利を購入するという感覚に近く、他ブランドにはできない本領発揮といえる。
香りを生活の一部として楽しむ⎯⎯“アート・オブ・リビング”をコンセプトとするアンリ・ジャックは昨年、「HJ ヴォヤージュコレクション」を発売している。こちらもクリストフ・トレメール指揮のもと、長い歳月をかけてサヴォアフェールを追求したトラベルケースコレクションだ。
素材は全5種類。ホワイトカーフスキンにバラが描かれたキュイールブランアンプリメ、黒のジャガード織にトンボ柄が飛び交うように織り込まれたティシュージャカール、ロイヤルブルーのポロサスクロコダイルにオレンジ色のジッパーをアクセントに効かせたポロサスブルー、上質な黒のカーフスキンを用いたエレガントなキュイールノワール、そして黒のイールスキンレザー(ウナギの革)がクールなアンギュイーユノワール。 それぞれにレ・エッセンス(15mL)1本用・3本用・16本用、レ・ブルーム(75mL)1本用・3本用の全5サイズが揃う。
気軽に手を出せない価格帯ではあるけれど、ほんの1滴で長く穏やかに続く芳醇な香りは何物にも代えがたいし、それを保管するケースにこだわりたくなるのも必然。まずは銀座店で体感してみてほしい。
ビューティ・ジャーナリスト
大学卒業後、航空会社、化粧品会社AD/PR勤務を経て編集者に転身。VOGUE、marie claire、Harper’s BAZAARにてビューティを担当し、2023年独立。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻修了、経営管理修士(MBA)。専門職学位論文のテーマは「化粧品ビジネスにおけるラグジュアリーブランド戦略の考察—プロダクトにみるラグジュアリー構成因子—」。
■問い合わせ先:アンリ・ジャック 銀座:東京都中央区銀座7-6-19
Tel:03-3289-0068 ※火曜定休
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