2017年に誕生した中国コスメブランド「フローラシス(花西子FRORASIS)」は、中国・浙江省の杭州宜格化粧品が立ち上げたブランドだ。創設以来「美が、花ひらく」をコンセプトに研究開発を行い中国の伝統文化と古典美学を商品やパッケージに取り入れ人気を獲得。日本には2021年にアマゾンでの展開で上陸した。
そんな「フローラシス」がGINZA SIXに初の海外旗艦店を1月27日にオープンし日本市場への戦略にアクセルを踏んだ。同ブランドの共同創業者である⾶慢(フェイマン)⽒は「GINZA SIX店を皮切りに、5年で日本国内に25店舗の出店を計画している」と話す。その背景に、2024年売上が前年比2ケタ成長を達成し、さらなる拡大へのポテンシャルを感じているからだという。
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フローラシスは2021年に日本上陸後、アマゾンでは華やかなデザインとともに、“Cビューティ”や“チャイボーグ”といったトレンドを捉えた商品で注目を集める。2023年にはECに加え、@coseme TOKYOや伊勢丹新宿本店でポップアップを開催。ベストセラーの「玉養桃花 ルースパウダー」は、平均で1日1万個売れるなど、日本での存在感も高めている。
「中国を除き、110以上の国と地域にECで販売する中でも日本は最も成長率が高い。オンラインでの販売を続けながら、2023年からはオフラインでポップアップを開催するなど注力してきた。中国も日本も化粧品市場は競合ブランドが多く、レッドオーシャンだ。しかし、われわれが成功を収めることができているのは、中国文化を取り入れたブランドのあり方と圧倒的な仕上がりによるものだろう」(⾶慢氏)
伝統文化や漢方を取り入れ中国発のビューティブランドを確立
フローラシスはスキンケアとメイクアップともに、中国の伝統文化と古典美学を商品パッケージやデザインに取り入れ、伝統的な漢方の知恵を用いて植物由来の天然エキスを配合しているのが特徴だ。「中国ではそれまで“中国発のビューティ”という概念が希薄で、たいていのブランドが世界中のトレンドを参考にした商品を作っていた」と⾶慢氏は分析する。
「漢方の知恵に基づき天然草花のエキスを取り入れ、中国の伝統文化の魅力を化粧を通じて伝えられるのは『フローラシス』の強み。レッドオーシャンの中でもローカライズした商品が中国の消費者の心を掴んでいる」と話し、中国ビューティをリードするブランドでありたいと意気込む。中国では近年「国潮(グオチャオ)」といわれる中国の伝統文化と現代的な要素を融合したスタイルが、ファッションや化粧品、食品、家電など幅広い分野で支持され、フローラシスにとっても追い風になった。
「中国と日本は文化的に共通する点も多い。日本には“匠(たくみ)”という言葉がある。この言葉は『フローラシス』の理念と一致する。匠の心を持って、商品の研究や開発を続けていきたい」(⾶慢氏)。
中国の伝統的な模様を彫刻したリップ「百花同心錠 彫刻リップ」
オンラインでもオフラインでも消費者のニーズを取り入れた商品開発に注力
さらに「フローラシス」では年に1〜2回ほど商品をアップデートし、年間で100SKU以上がデビューするのも特徴だ。常に新しいものを試したいという消費者の声に応えて、人気の商品であっても決して刷新を怠らない。例えば、7年ほど前にデビューしたルースパウダーは新たな技術を取り入れながら、これまで10回ほどのリニューアルを実施しているという。「(新商品ばかりを作るのではなく)1つの商品を長く愛用し、ファンを獲得するため、色展開や機能性、仕上がりの持続など消費者の声を取り入れながら常に進化させている」と⾶慢氏は話す。
ベストセラーのひとつ「玉容桃花 プレストパウダー」
また、ECを中心に拡大してきたフローラシスはショッピングサイト内にレビュー機能を備え、消費者の声を収集。さらにブランドの成長に伴い、消費者リサーチセンターを香港に構築した。オンラインとオフラインの双方で消費者と密にコミュニケーションを取り幅広くニーズを拾うことでローカライズされた商品を生み出しているという。「現在はインフルエンサーやヘアメイクアップアーティストを中心に使用感のヒアリングを進めているが、オフライン展開を進める中で日本でもしっかりと消費者の声を拾っていきたい」。
今後は中国、日本、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアを主要市場とし、中国の文化や成分に敏感な消費者をメインターゲットに事業を展開するという。特に成長が期待できる日本では百貨店への出店も視野に入れ、2028年までに、25ヶ所のリテールプレゼンスを目指す。「日本の化粧品市場はアジア全体をリードしているといえる。われわれは創設当初からグローバル展開を見据えて、日本の品質基準や安全性をクリアする商品の開発を意識してきた。日本の消費者に好んでもらえているのは、その結果ともいえるだろう。そして文化面で分かり合える部分も大きいはずだ。今後も日本の消費者の声に応えていきたい」と⾶慢氏は語る。
(編集:平原麻菜実)
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