FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ファッション業界にはどんな職業があるのか? 名前は聞いたことあるけど実際どんな仕事をしているのか? という疑問を解消すべく立ち上がった連載企画です。業界の最前線で活躍する人を招き、リアルな職務内容や必要なスキルなどをファイリングしていきます。
第1弾はファッションデザイナー編。「ダブレット(doublet)」デザイナーの井野将之氏の協力を得て、この職業の魅力を探ります。
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井野将之
1979年生まれ。群馬県出身。東京モード学園卒業後、株式会社アバハウスインターナショナルに入社。2005年からは「メゾン ミハラヤスヒロ(Maison MIHARA YASUHIRO)」で靴やアクセサリーの企画生産に従事。2012年に独立し「ダブレット(doublet)」を立ち上げた。2013年に「Tokyo新人デザイナーファション大賞」を受賞。2018年にはLVMHによる世界最高峰のファッションコンテスト「LVMH Prize for Young Fashion Designers 2018(LVMHプライズ)」のグランプリを日本人で初めて受賞した。
ファッションデザイナーってどんな仕事?
服のデザインをする仕事。企業デザイナーと独立系デザイナーでは仕事内容やサイクルが異なりますが、デザイナーズブランドの場合は年に2〜4 回のコレクション発表に向けてデザインを行います。
ファッションデザイナーになるには?
服飾の専門学校を卒業し、企業デザイナーとして経験を積む、もしくはブランドでインターンとして働き、そこから独立するという流れが一般的。
井野氏
今はもう時代が変わってきているため、
一概にこうしないとファッションデザイナーになれないというわけではありません。
必要な資格や勉強しておいた方が良いこと
ファッションデザイナーになるために必要な資格は特にありません。しかし、デザイナー職を目指すのであれば服飾専門学校などに通い、ミシンの使い方やパターンの作り方、デザインの基礎知識、ファッションビジネスについて学ぶことが近道と言えます。またデザイナーになる前に、アパレル販売員やバイヤーの職種を経験し、店頭で売れるものを理解しておくこともいいでしょう。海外での活動を視野に入れているのであれば、語学を学ぶとなおよし。さらに、アートやカルチャーに触れて、普段からインスピレーションやデザインの引き出しを増やしておくと仕事に役立つでしょう。
井野氏
工場への視察や、展示会準備などのサンプル運搬で運転することはあるので自動車免許は持っていると便利ですね。
デザインを考える時によく使うので、イラストレーターやフォトショップの使い方を勉強しておくのもいいと思います。
ファッションデザイナーのある1日のスケジュール〜井野氏の場合〜
やりがいは?
自分がデザインした服が店頭に並び、売れたときは仕事が評価された瞬間。その商品を身に着けている人を見かけたときには大きな喜びを感じます。収入が増え、売り上げを拡大できればやりがいにつながります。
またテレビや雑誌、SNSなどのメディアで紹介されたり、著名人に着用されたりすることで注目を浴びることができます。コンテストやファッションショーで評価を得ることができれば、世界中へ知名度を向上することも。さらには、企業や著名ブランドからのオファーを受けて、デザイナーやディレクターとして起用されれば、より多くの人に向けてデザインを手掛けることになり、より大きな影響力や、収入を得ることもできます。
井野氏
最近だとBTSのテテがライブでダブレットのアイテムを着用してくれました。妻がファンなので自慢になりましたね(笑)。道ですれ違う人がブランドの服を着てくれてたりするのもすごく嬉しいですね。
大変だなと感じる時は?
井野氏
コレクションやショーのテーマなどアイデアが出ない時です。年に2回新作を発表していますが、考える時間は限られています。
ファッションデザイナーの収入はいくら?
企業デザイナーは新卒だと大体月15万円〜20万円程度、5年目には月収30万円〜40万円程度※編集部調べ
井野氏
ピンキリで、0円から数十億円まで、幅があると思います。
ファッションデザイナーからの発展性、転職などは?
デザイナーは、いわばモノづくりのプロフェッショナル。デザインをする事が主な仕事ではありますが、モノづくりの全工程を知ることができます。そのため生産管理や生地メーカーで働くことも可能です。
井野氏
知人には、独立系デザイナーから企業デザイナーに転身した人や、講師として働いている人もいます。
ファッションデザイナーに向いている人や大切なこと
ファッションが好きで、デザインに強い関心を持っている人が向いています。販売する半年から1年後の未来に向けた服をデザインするため、時代のニーズを理解する鋭い感覚が必要になります。世間や時代に求められる服を提案するには、広い視野や知識、情報を持つことも大事になります。
また他のブランドと差別化できるような独創性や個性豊かなアイデアを生み出す力も必要不可欠。服を作るためには、素材メーカーや職人、パタンナー、縫製士など、多くの人と携わるため、人に指示を出して仕事を進めることができるリーダーシップや、コミュニケーション能力も必要になります。
井野氏
発想力や独創性、服に対する知識などはもちろん必要ですが、制作してくれる人達に対してリスペクトを持つことが最も大切です。
ファッションデザイナーを志す人に向けて
井野氏
人のマネをするのではなく、自分が素直に作りたいものを表現するために行動することがファッションデザイナーへの近道だと思います。誰もがオリジナリティを持っているので、それを特化していって下さい。
ファッションデザイナーの年間スケジュール
1月
・パリで秋冬コレクション発表
・海外で展示会を開催
・春夏のアイテム立ち上がり
・国内取り扱い店舗のイベント開催
・販売員へアイテムの特徴などを説明する勉強会を開催
・取扱店に訪問して売れ行きをチェック
2月
・パリから帰国
・国内で展示会を開催
・取り扱い店舗の売り場スペースの設営
・春夏の販促用のムービーを準備
・秋冬の店舗VMDのプラン出し
3月
・春夏商品の別注アイテムを考案
・素材や技術のリサーチのため工場に視察
・春夏コレクションのアイデア出し
4月
・春夏コレクションのデザインスタート
・素材の仕込み
・パターンを製作
・ショーの計画を開始
5月
・春夏コレクションの製作期間
6月
・春夏パリコレクション
・海外で展示会を開催
7月
・パリから帰国
・国内展示会
・秋冬商品立ち上がり
・国内取り扱い店舗のイベント開催
・販売員に向けた勉強会の開催
8月
・DSM各国のスペースの設営
・秋冬の販促用のムービーを準備
・春夏の店舗VMDのプラン出し
9月
・素材や技術のリサーチのため工場に視察
・秋冬コレクションのアイデア出し
10月
・素材の仕込み
・パターンを制作
・ショーの計画を開始
11月
・秋冬コレクションの製作期間
・取り扱い店舗の売り場スペースの設営
12月
・秋冬コレクションの製作期間
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