FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ファッション業界にはどんな職業があるのか? 名前は聞いたことあるけど実際どんな仕事をしているのか? という疑問を解消すべく立ち上がった連載企画です。業界の最前線で活躍する人を招き、リアルな職務内容や必要なスキルなどをファイリングしていきます。
第9弾はショープロデューサー編。「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「カラー(kolor)」など国内外でのランウェイショーおよびファッションイベントの演出・企画・制作を行うDRUMCAN incでショーの制作と進行を担当している小川真里奈氏の協力を得て、この職業の魅力を探ります。
目次
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ショープロデューサーってどんな仕事?
ブランドやアパレル企業から依頼を受けて、ショー会場や美術、音響、照明などの手配、モデルオーディションのセッティングなど、ショーの企画から実施までを一貫して請け負う仕事です。クライアントからコンセプトなどのヒアリングを重ね、ショー実現のために尽力します。
ショー当日には会場設営から撤去までをマネジメントします。表舞台だけでなく、ショーの要とも言えるバックステージの環境を整えたり、スタッフやモデルの皆さんとコミュニケーションを図り、万全な体制で本番を迎えられるようサポートしています。
ショープロデューサーになるには?
服飾系の大学や専門学校に進学し、インターンで経験を積んで就職するのが一般的な道筋です。
元々は服を作る仕事に就くことを志して進学したものの、授業の一環としてファッションショーの裏方を経験し、ショーの企画や演出の道に興味を持つ人は多いですね。
私の場合は大学卒で、特にファッションを専攻していたわけではありませんでした。ファッションが好きでファッションに関わる仕事がしたい!という強い気持ちがあり服飾関係の仕事を探したのですが、なかなかビビッとくる仕事に巡り会えなくて。そんな時に知人がこの会社のことを教えてくれて、インターンを経て入社しました。
必要な資格や勉強しておいた方が良いこと
ショープロデューサーになるために必要不可欠な資格は特にありませんが、関係各所との連携が重要になる仕事なので、コミュニケーション能力は磨いておくのがベター。また、マストではないですが「Adobe Illustrator」や「CAD」といったソフトを使えると何かと便利です。
大勢の人と関わることが多いので、先方と良好な関係を築けるよう「人としての基礎」をしっかりと固めておくことが大切です。
ショープロデューサーのある1日のスケジュール
やりがいは?
ファッションショーはライブ性が非常に高いコンテンツで、その一瞬しか味わえない感動を肌で感じられることがやりがいです。また、短くても2ヶ月、長い時は半年以上の時間をかけて作り上げるものなので、ショーが多くの人に評価されたり、クライアントに喜んでもらえると達成感に繋がります。
ファッションショーは、デザイナーさんやブランドの皆さんにとって本当に特別なもの。その時しか存在しない大切な時間を生で感じさせていただけるのはとても光栄なことです。
大変だなと感じる時は?
先の予定が読めないので、プライベートの予定は立てにくいです。基本的には土日休みですが、案件が入るともちろん曜日関係なく出勤する必要があります。また、ショー直前はやはり多忙で、日を跨いで仕事をすることもあります。
入社したばかりの頃は先輩や上司について回ることが多く、プライベートの時間はあまりなかったです。自分で案件を担当できるようになってからはある程度調整できるようになりました。
ショープロデューサーの収入はいくら?
収入は人それぞれ。
弊社は積み上げた実績に応じて賞与が決定するシステムなので、頑張れば頑張っただけ報酬に還元されます。
ショープロデューサーからの発展性、転職などは?
それまでのキャリアで得た経験を活かして、独立してイベント制作系の会社を立ち上げる人が多いです。
ファッション系かそうでないかの違いはあれど、この職種の人は離職してもイベント制作に携わる仕事からは離れないイメージがあります。
独立された先輩方は皆さんファッションにとどまらず、様々なライブコンテンツのプロデュースをされています。地方創生、アート、演劇などそれぞれの強みを活かし、多方面で活躍されているので、いつも刺激をもらっています。
ショープロデューサーに向いている人や大切なこと
複数の案件を同時進行する場合もあるので、一つずつ仕事を捌いていくタイプよりは、マルチタスクが得意な人の方が向いていると言えます。また、絶対的な締め切り(ショー当日)がある仕事なので、「こういうことが起きるかもしれない」と予想してリスクヘッジする能力や、変化する状況の中で臨機応変に対応するフレキシブルさも大切です。
もちろん服が好きであるのに越したことはないです。でも、我々は実際に服作りに携わるわけではないので、そこよりも「絶対にショーを成功させる」という責任感の方が重要だと思います。
ショープロデューサーを志す人に向けて
ショープロデューサーは華やかなファッション業界の中では裏方で、話を聞いてもどんなことをしているのかピンとこないと思います。でも、ファッションショーというかけがえのない時間を生み出すことに関われる本当にやりがいのある仕事。興味があったらぜひ挑戦してみてください。
ショープロデューサーの年間スケジュールの一例
1月
・パリメンズ秋冬コレクション
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
2月
・パリウィメンズ秋冬コレクション
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
3月(繁忙期)
・東京秋冬コレクション
・TOKYO GIRLS COLLECTION 春夏
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
4月
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
5月
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
・GW
・比較的ゆっくりできる時期
6月
・パリメンズ春夏コレクション
・都内ファッションイベント
・地方イベント・ブランド展示会
7月
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
8月
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
・夏休み
9月(繁忙期)
・パリウィメンズ春夏コレクション
・東京春夏コレクション
・TOKYO GIRLS COLLECTION 秋冬
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
10月(繁忙期)
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
11月
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
12月
・都内ファッションイベント
・地方イベント
・ブランド展示会
・年末年始休暇
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