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FASHIONSNAPによる業界の職業図鑑。ファッション業界にはどんな職業があるのか? 名前は聞いたことあるけど実際どんな仕事をしているのか? という疑問を解消すべく立ち上がった連載企画です。業界の最前線で活躍する人を招き、リアルな職務内容や必要なスキルなどをファイリングしていきます。
第10弾はアパレル販売員編。ルミネ新宿内 ユナイテッドアローズ新宿店で働きながら、“令和のカリスマ店員”を決める接客コンテスト「STAFF OF THE YEAR 2023」で全国約8万人の販売員の頂点に立った仲希望氏の協力を得て、この職業の魅力を探ります。
目次
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アパレル販売員ってどんな仕事?
一言で言えば、服を売る仕事。ショップにご来店いただいたお客様のご要望を伺い、それに沿った品物を紹介するのが主な業務です。
何よりお客様の来店動機など心の機微に考えを巡らせることを大切にしています。折角足を運んでいただいたので、服を買って終わりではなく、お店に来た時間を楽しんで帰ってもらえるよう努力しています。
アパレル販売員になるには?
アパレル販売員になるための一般的な道筋はありません。
私は文化服装学院でファッションについて勉強してからこの仕事に就きましたが、新卒採用で学歴や経験が重視されることはあまりないと思います。中途で入社される方も、前職はホテルマン、営業など様々です。仕事への熱意さえあれば、みなさんにチャンスがあります。
必要な資格や勉強しておいた方が良いこと
アパレル販売員になるために必要不可欠な資格は特にありませんが、「カラーコーディネーター」や「骨格診断士」といった資格を取得しておくとより質の高い提案をするのに役立ちます。
海外のお客様も増えているので、英語や中国語が話せると重宝されると思います。特に中国語。英語は翻訳ソフトを使えば割と意思疎通を図ることができますが、中国語はソフトがあまり機能しないことが多いので、中国語を話せることは大きな強みになるでしょう。
アパレル販売員のある1日のスケジュール
やりがいは?
顧客の立場に寄り添い、考えて提案した服が喜んでもらえた時に喜びを感じます。
お客様が「服を選んでほしい」と自分を指名してご来店くださる時は本当に嬉しいですね。店舗に足を運ばずともオンラインで買い物ができる現代だからこそ、実店舗の価値を提供していくことが大切だと思います。
大変だなと感じる時は?
接客だけが業務ではないので、SNS運用やオンラインストアへの掲載など、他の仕事をこなしながら売り上げを取っていく必要があります。忙しい時は帰る時間が遅くなることもあるので、体力勝負な一面もあります。
開店中は接客業務がメインになるため、繁忙期にはお店が閉まったあとにそれ以外の業務を進めることもあります。また、1日で多くの人と関わる業務の特性上、風邪をもらうリスクも高いので体調管理には特に注意が必要です。
休みについては、シフト制になるのでカレンダー通りではありません。土日休みが欲しいという人にとっては大変に思う部分もあるかもしれませんが、その代わり「希望休」として取りたい日に休みを取得できるため、私はあまりストレスに感じてはいません。旅行するときなどに平日の比較的空いている、安い時期を選んで行けるのはむしろメリットと言えるかもしれません(笑)。
アパレル販売員の収入はいくら?
厚生労働省が2023年に実施した賃金構造基本統計調査によると、アパレル販売員を含む「販売店員」の月間所定内給与額(役職者を除く)の平均は22万9625円。所属している会社や任せられている仕事内容によって人それぞれです。
働きながら接客・販売のスキルを学ぶことが会社への貢献につながり、それに伴って収入も上がっていきます。
アパレル販売員からの発展性、転職などは?
私の周囲ではファッション関係の営業に転職する人が多い印象ですが、中には独立し、培ってきたコミュニケーション能力を活かしてコンサルティングなどの会社を立ち上げる人もいます。
仕事上、相手の気持ちを考えながら笑顔で話すことに長けている方も多く、転職時の面接などの印象は良いのではないかと思います。また、アパレル販売員は体力勝負な部分もあり、ストイックな人が多いため、仕事に取り組む姿勢について転職先からの評価が高いと聞いたことがあります。
アパレル販売員に向いている人や大切なこと
お客様をはじめ、多くの人と多く関わる仕事なので、「人を好きであること」がアパレル販売員の重要な資質。また、服が好きであること、体力があることも大切です。
コミュニケーションのテクニックについては、弊社の場合は入社してから「こういう話の時にはこういう返しをすると楽しく会話できる」といった部分を先輩から教えてもらえたりするので、あまり心配しなくてもいいと思います。人と話すことが好きで、お客様に良い買い物をしてほしいという熱意が何より重要です。
アパレル販売員を志す人に向けて
アパレルショップの販売員というと、なんとなくハードルが高いように感じている人もいるかもしれませんが、熱意さえあればスキルは入社後に先輩や実際の接客を通して吸収することができると思います。また、再雇用制度をはじめとする福利厚生もしっかりしている企業が増えてきました。年齢を問わず、興味がある人はぜひ挑戦してみてほしいなと思います。
アパレル販売員の年間スケジュールの一例
1月
・秋冬物セール
・卒業式、入園式など セレモニー提案
2月
・春夏物立ち上がり
・卒業式、入園式など セレモニー提案
3月
・館のキャンペーン
・新生活提案
4月
・新生活提案
・GW提案
5月
・館のキャンペーン
・夏物提案強化(半袖など)
6月
・春夏物セール
7月
・春夏物セール
8月
・秋冬物立ち上がり
9月(繁忙期)
・館のキャンペーン
10月(繁忙期)
・ニット打ち出し
11月(繁忙期)
・館のキャンペーン
・アウター、ニット提案強化
12月(繁忙期)
・秋冬物セール
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