ファッションは「着るアート」でもある。古今の装いを集めた展覧会は美術館でも人気を呼んでいる。日本でも最近はファッション展覧会が増えてきた。本格的なファッション展は目を楽しませてくれるだけでなく、おしゃれを磨いたり、ファッションの美を知るきっかけにもなる。
神戸ファッション美術館(神戸市)は6月28日まで「コレクション展 1960-2000年代のファッション サンローランからガリアーノ、マックイーンまで」を開催中だ。20世紀後半を代表するデザイナー約30人の約50作品を展示している。これ程多くのデザイナーの作品を一度に公開するのは、同館では初めての試みだという。
同館は日本では唯一のファッション専門の本格的公営博物館。10月13日~12月25日には「メイク・アップとヘア・モード展(仮称)」が控える。2012年1月14日から4月1日には現代日本の10ブランドを集めた「現代日本のファッション展(仮称)」の開催を予定している。
熊本市現代美術館では6月25日、ファッション史を振り返る「ファッション 時代を着る」展が開幕する(9月4日まで)。「CHANEL(シャネル)」「Christian Dior(クリスチャン・ディオール)」などの歴史的アーカイブを含む約100点を展示する。「Comme des Garçons(コム デ ギャルソン)」「ISSEY MIYAKE(イッセイ ミヤケ)」などの日本ブランドの軌跡もたどる。

文化服装学院服飾博物館(東京・新宿)は6月11日まで、「ヨーロピアン・モード ウェディング・ドレス」展を開いている。18世紀のロココ時代から、ミニスカートが登場した1970年代までのヨーロッパファッションの変遷を、実際の装いを通して解説。英国のロイヤルウェディングにちなんで、様々な時代のウェディングドレスも特集している。
数々の有名デザイナーを輩出してきた同学院だけあって、年4回のテーマ展は毎回、服飾史を横断する切り口が用意されている。豊富な収蔵品があり、民族衣装や生地、素材の展示も興味深い。今年は「暑さと衣服」(7月5日~9月24日)、「世界の絣(かすり)」(10月14日~12月17日)が予定されている。
美術館でのファッション展は欧米では定着している。とりわけ有名なのが、ニューヨークのメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)。同館コスチューム・インスティチュート(Costume Institute)でのファッション展は人気が高く、今年はアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)氏の回顧展「Alexander McQueen: Savage Beauty」が7月31日まで開かれている。
開幕に合わせて開かれる豪華なガラパーティーも話題を集める。毎年、女優やデザイナーが最高をおしゃれを競い合うようにして集うこのパーティーでの装いは最新トレンドと着こなしを学ぶ絶好のチャンスだ。今年はファッションアイコンの女優サラ・ジェシカ・パーカー(Sarah Jessica Parker)と最も稼ぐモデルのジゼル・ブンチェン(Gisele Bundchen)がそろって、マックイーン氏のデザインしたドレスに身を包んで現れ、装いのオマージュを捧げた。

日本では東京都現代美術館(MOT)がファッションをテーマにした展覧会に積極的だ。MOTでは2009年に「ラグジュアリー:ファッションの欲望」、2010年に「フセイン・チャラヤン──ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅」が開催された。
ファッション展ではリアルクローズとは別世界の突き抜けたクリエーションや希少なアーカイブと出会える。モードの歴史や、デザイナーの発想などをリアルに体感できるのと、ファッションの奥深さを感じ取れるので、ファッションやデザインをテーマにした展覧会・イベントがあったら、積極的に出掛けてみては。
(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江)
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