ブランドデビューまでの道のりを赤裸々に綴っていく連載「デザイナー奮闘記」。前回は展示会用にアイテムを作る過程で学んだ事についてご紹介しました。今回は、今後どの商品にも付けるブランドロゴの制作過程の奮闘模様を綴らせて頂きます。
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ブランドのロゴってどう作るの?
ブランドロゴを作るにあたってシンプルながら文字に雰囲気を纏ったロゴを作りたいなと考えていました。文字の間隔やフォルムなど、プロでないとこだわれない点が沢山あると知り、知人を通じて紹介して頂き、グラフィックデザイナーの榎悠太さんに制作をして頂きました!
ー打ち合わせ第1回ー
ネームやタグなどに使用するブランド名やシンボル的なイラストを、総じて私たちはロゴと呼んでいました。ですが榎さんとの打ち合わせを通して、ロゴタイプというものとロゴマークというものに分けれる事を教えて頂きました。
ロゴタイプ:社名や商品名などを表す文字のデザインのこと。
ロゴマーク:消費者がブランドを識別するためのシンボルのこと。
また、デザインを考えるにあたってブランドのベンチマークも知れると進めやすいとも教えて頂きました。
ベンチマーク:将来的な方向として模範となりそうなブランドのこと。
その上で、私たちはブランドのコンセプトやヴィジュアルイメージなどを説明した後に、下記のようなお願いをしました。
ロゴタイプ:聖書に出てくるような、ローマン体をベースとしたフォント。できる限り繊細な仕上がりにして頂きたい。
ロゴマーク:私達のブランドのシンボルフラワーとして使用するスミレとスズランを用いてほしい。
作って頂きたいデザインの方向性を確認しあって、1回目の打ち合わせは終了しました。
ー打ち合わせ第2回ー
第1回目での話を踏まえて、榎さんがブランドの雰囲気に合ったロゴを数通り考えてきてくださいました。名刺とタグのデザインも併せてお願いしており、選んだデザインを基に、今度はどういった手法で印刷していくかを話し合いました。
ペーパーサンプルというものと、箔押し・エンボス・ホットプリントなどが様々な色紙で試されている印刷色・加工色サンプルというものを見ながら決めて行きました。作成するにあたり、羽車という印刷会社を教えて頂きました!ネットでオーダーできるにも関わらず、紙の種類が豊富だったり特殊加工も施せたり、サイト内で枚数や印刷方法を入力すると簡単に見積りも出るので、初めてでコスト感のわからない方にもおすすめです。
印刷の種類などを決めた後に、2回目の打ち合わせは終了しました。そして、メールで微調整を加えて頂いた後に、こちらのデザインが完成しました!
私たちの作るものに込められた「祈り」みたいなものを表現して下さり、昔の聖書の表紙で描かれている紋章のような形状にして下さいました。二人でやっているデザイナーズブランドが珍しいからと、それぞれを象徴するスズランとスミレの茎や葉が絡み合って、一つの植物にも見えるようにして下さっています。
私たちの説明がつたなかったにも関わらず、沢山の要素を汲み取ってとても素敵なロゴマークを作って頂きました。様々な方たちの印象に残る、シンボルになってほしいなと思います。
下げ札には、パチカという名前の、型押しした部分(熱があたった部分)が透明になるユニークなファインペーパーを使用する予定です。それは、ロゴマークがレースのような繊細な雰囲気に仕上がりそうと、榎さんがおススメしてくださったからです!
ー最後に織ネームについてー
作っていただいたロゴタイプを用いて、服に縫い付ける用のタグを制作する予定です。今回私達はマコト織ネームリボンという会社に依頼をすることにしました。織ネームや洗濯表示ネーム、サイズネームなどさまざまなものをオリジナルで作って下さる会社です。過去の制作見本などを数種類送って頂け、それらを参考に織り方などを決めることができます。
まとめ
なんとなくでしか知らなかったグラフィックデザインでしたが、色々教えて頂きながら素敵な方に素敵に作って頂き、これから長年使用していくことがとっても楽しみになりました!また、直近の出来事として、別注で作っていたレースが上がってきました。ブランドのシンボルの花として使用しているスズランとスミレ柄のレースです。トーションレースの産地として有名な足利にある大定で作って頂きました!初めてのことって予想できない事が起きそうで不安になる事も多いなと感じていたのですが、オリジナルの生地やサンプルなどが少しずつ上がってきて、頭で描いていた理想のものたちが具現化していく事のとてつもない楽しさを感じています!
最近の私たちのこと
ブランド立ち上げを目指す一方で、現在「HUNDRED FLOWERS PROJECT」と題したデザインプロジェクトを行っています。プロジェクトでは魅力的なお仕事や生活をなさっている方から、過去の大切なお話を伺い、記憶の花のレースの編み手と織り手として、大切な記憶を守って新しい未来に導く修道服(守導服)を作り、お贈りしています。プロジェクト第5弾ではアーティストの江原茗一さんにお話を伺いました。
江原さんがお祖母さんについて話して下さった内容がとても印象的でした。30代になって以降、今も寝たきりで会話をすることができないお祖母さんの口から、聞けなかったお祖母さんの人生にまつわるお話がたくさんあるのではないかと考えることがあるそうです。江原さんにとってのお祖母さんは、周囲に多少向こう見ずと思われても自信に満ち溢れ大らかで、思い切りの良い女性だそうで、お祖母さんと話ができていれば、もっと密な関係を築けたかもしれないと、時折思うそうです。
江原さんは自分に自信が持てず、女性らしい振る舞いや服装をすることに抵抗があるとおっしゃっていて、一方で江原さんのお祖母さんはいくつになっても女性らしく、女性であることを常に楽しんでいる人だったそうです。そんなお祖母さんの姿を見て、子どもの頃は恥ずかしく感じることもあったそうですが、今となってはそんなお祖母さんを見習いたいと話して下さいました。
私たちは彼女の雰囲気や、作っているもの、話して下さった記憶など、どれもが素敵に感じていて、その沢山ある魅力を彼女らしく表現するお手伝いができる服をお贈りしたいと考え、着心地の良いモヘヤのニットレオタードとタイトめなシルエットのレースのドレスを作らせていただきました。撮影は江原さんが考え事などをする時などによく通うカフェで行いました。
次回は展示会直前の準備にまつわる奮闘模様を綴らせていただきます。お楽しみに!
連載:デザイナー奮闘記
・まず何から始める?先輩デザイナーへの相談篇
・どこでオリジナル生地を作る?機屋探し篇
・ブランド名はどうやって決める?事業計画編
・展示会で何を発表する?サンプル作りのフロー
・ブランドロゴはどう作る?グラフィックデザイン編
・ルック撮影はどうやる?展示会準備編
・初めての展示会をレポート
■EUCHRONIA:インスタグラム
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