ブランドデビューまでの道のりを赤裸々に綴っていく連載「デザイナー奮闘記」。前回は桐生にオリジナル生地を作れる機屋見学に行きました。
新しくブランドを始めるにあたりとても大切なのが、成長していくためのプランとブランド名とコンセプト。長くブランドを続ける上で軸がブレないための指針となるので、自分達らしさをしっかり表現する必要があると思います。今回は私たちのメンターとして相談にのって頂いている「アシードンクラウド(ASEEDONCLOUD)」のデザイナー玉井健太郎さんと生産管理を担当する三澤淳さんに、事業計画の立て方について教わったことと、その教えを基にどのように考えたかをわかりやすくまとめてご紹介します。
目次
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ブランドの要!事業計画の立て方
私たちはブランドの概要を決めていくために半年ほど前から事業計画立てを行っています。頭の中で考えてる事を、人にわかりやすく伝えれるよう言語化し、その都度フィードバックを頂いて訂正を繰り返すことで、自分達が最も大切にするべき事や伝えていきたいことが少しずつ明確化していきました。すると、ブランドのイメージを伝えていく上でどのような販売方法や広め方が良さそうかなども考えやすくなってきて...と言いつつ、まだ色々と完全に決まりきってはいないのですが(笑)。まずは私達が教わった事業計画の立て方、コンセプトやブランド名の考え方をご紹介します!
1:頭の中で考えているブランド概要を全部並べてみる
まず自分の中で考えている「こういうブランドにしたい!」という概要を箇条書きで書き出します。どんな細かな内容でも、良いと思っているアイデアを出しきるイメージで。好きなものや作っていきたい商品イメージのヴィジュアルなどをまとめておくのもオススメです。そして、大まかに種類分けしてまとめます。
2:ターゲットを考える
次に、ブランドで今後やっていきたい事、作っていく服をどのような方たちに届けたいのかを明確にします。年齢やどういった仕事や生活をしているか、どうゆうものが好きな人かなどを具体的に考えます。自分のブランドなので、自分がどういった生活を送っているか思い出すと同じようなものが好きそうな人を想像しやすかったです!
3:ターゲットの方とどう繋がっていくか考える(販売方法、発信方法)
2でリストアップしたターゲットの方がどういった経路で情報を得ていて、どういった場所でお買い物をしてるか考えます。どのようにターゲットの方達と関係を築きたいかなども考えると、販売方法や出店したいイベント、発信ツールが見えやすくなってきます。その際に、ブランドに合った独特な経路を考えて、他のブランドとは違う動きが出来ると競合も少なく、スムーズにスタート出来るそうです。と言いつつこれを考えるのが一番難しく、試行錯誤が続いています...。
4:やっていきたい事の優先順位を決める
ブランドを始めるとなると、理想がとっても膨らんで、やりたい事が沢山出てくると思います。私たちも有り余る程出てきました(笑)。でもほとんどの方に、限られた予算があると思います。2と3でどのような方法で繋がっていくかを考えたので、次はそれを実現するためにやりたい事に優先順位を付けていきます。STEP1(半年後)、STEP2(1年後)、STEP3(3年後)といった感じで考えていくのがオススメです。そうすると自然と成長していくためのプランが立てやすくなるそうです。
1〜4の方向性が大体見えてから、ブランド名とブランドコンセプトの考え方を教わりました。
ブランド名の考え方
トレンドには飽きがきますが、ブランド名は飽きがきても簡単に変えることはできません。だからこそ自分を表現する上で不動なものであることがオススメだそうです。長く続ける上で、その時の気分によって表現したいものが少しずつ変わってきたとしても、軸をブレないようにするための指針になるそうです。
ブランドコンセプトをまとめる
ブランドが表現する唯一無二の世界観を、わかりやすく完結にまとめた文章にすることが大切だそうです。自分のルーツやブランドを始めるきっかけとなった事柄を振り返ることが近道。ですが、どちらもとてもパーソナルなことなので、ブランドによって考え方は本当に様々だと思いますし、あまり具体的に公表してるブランドも多くないと思います。なので参考にならないかもしれませんが、私たちがどのように考えたかを一応ご紹介します。
私たちは二人でブランドを始めるので、今までの各々のルーツを遡ったり、二人の関係の中で大切だった出来事と物を書き出したり、ブランドを始めるきっかけを振り返ってノートに色々と書き出しました。まだ完全に確定ではないのですが、その上で考えてみたのがこちらです。
ブランド名:EUCHRONIA(ユークロニア)
ブランドコンセプト:記憶のレースをあしらった Ceremonial wear
ブランドを始めるきっかけとなったミヒャエルエンデの「MOMO」。物語の中に出てくる「時間の国」のようなブランドにしたいという由来で「ユークロニア(EUCHRONIA)」と名付けました。ブランドコンセプトは、その背景にある人々のストーリーを想像し、おばあちゃんになっても大切な日に着続けてもらえるよう祈りを込めた服を提案したいという想いから考えました。
まとめ
ブランドをはじめる上で、やりたいという気持ちと勢いはとても大切だと思っていたのですが、長い間続けるために努力の方向を明確にしていくこともとても大切なんだなと学びました。教えて頂いたことをまとめてご紹介しましたが、私たちもまだまだ全然決まりきっていないので引き続き考えていきたいと思います。
補足:最近の私たちのこと
ブランド立ち上げを目指す一方で、現在「HUNDRED FLOWERS PROJECT」と題したデザインプロジェクトを行っています。プロジェクトでは魅力的なお仕事や生活をなさっている方から、過去の大切なお話を伺い、記憶の花のレースの編み手と織り手として、大切な記憶を守って新しい未来に導く修道服(守導服)を作り、お贈りしています。プロジェクト第3弾ではフォトグラファーの木村和平さんにお話を伺いました。
幼い頃、お姉さんの影響でクラシックバレエが生活の側にあった木村さん。当時は習うことを勧められるも、恥ずかしさから断念してしまったそうなのですが、家族アルバムの中に3歳の彼がお姉さんのトーシューズを履いて爪先立ちをしてる写真があり、バレエに憧れがあったと気づいたそうです。それを機にバレエ教室の発表会を作品として撮影するようになったというお話をして下さいました。
また、周りの子が戦隊ものにハマっている時もシルバニアで遊んでたり、ゲーム機を買う時もピンクを選んだり、生まれつきの素質として可愛いものが好きで、直接的に身にまといたい訳ではないけど自然と選んでる事が多いそうです。
お話を伺い、ロマンティックな感情を常に内に秘めていらっしゃるように感じ、隠れたところにレースを施した服を作りたいと考えました。ポケットに入れたものと着ている方の手のみがレースに直接触れる事が出来る仕様のリバーシブルスモックと靴の底面にレースを施した履く方のみが気付ける室内シューズを作ってお贈りしました。
次回は展示会用に作るアイテムの構成やデザイン詰めの奮闘模様を綴らせていただきます。お楽しみに!
連載:デザイナー奮闘記
・まず何から始める?先輩デザイナーへの相談篇
・どこでオリジナル生地を作る?機屋探し篇
・ブランド名はどうやって決める?事業計画編
・展示会で何を発表する?サンプル作りのフロー
・ブランドロゴはどう作る?グラフィックデザイン編
・ルック撮影はどうやる?展示会準備編
・初めての展示会をレポート
■EUCHRONIA:インスタグラム
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