2014年に休刊したギャル誌「エッグ(egg)」が2018年3月21日にウェブで復活する。手掛けるのは、幼い頃からeggが持つ世界観に憧れ、高校時代から渋谷に通いつめてきたという21歳の赤荻瞳編集長。"新生egg"では何を発信していくのか。
■egg
大洋図書が1995年に創刊。1999年には50万部を発行する人気雑誌となったが、2014年5月発売の7月号をもって休刊した。約4年を経て「egg.comプロジェクト」と題し、再始動が決定。エムアールエーによってウェブ版が開設されるほか、ダナリーデラックスが手掛ける雑誌「アゲハ(ageha)」とのコラボレーション雑誌「ラブジー(LOVEggg)」が4月17日に刊行される。
"新生egg"はウェブ+動画のデジタル媒体に
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―eggは愛読されていたんですか?
はい。小学校高学年ごろからギャルに憧れていて、eggは中学校に入ってから読み始めました。友達が誌面に載っていたので、毎月のように読んでいましたね。
ーどんな魅力がありましたか?
周りと違っても、自分が「かわいい」「いい」と思うことを貫いているんですよね。自分をさらけ出すような感じが、すごく共感を持てました。
―ギャル系の雑誌だと、当時は「ランズキ(Ranzuki)」「ナッツ(nuts)」など他にもありましたが。
ほかの雑誌を読まないことはなかったんですけど、やっぱりeggが一番面白かったんです。ファッションやメイクのことだけじゃなくて、「パンスト選手権」(パンストを頭から被って変顔を競う選手権)のようなエンタメの要素もあって。「アニマルトーク」というコーナーではエッチな体験談を載せていたり。中学生の時ってこういう話は友達とは話せないじゃないですか。けど、みんな興味ある話題だと思うんです。私も「勉強になるな」と思って密かに読んでいました(笑)。eggはバイブル的な存在でしたね。
―休刊した時は悲しかったのでは?
超ショックでした。サークルの先輩に誘ってもらって今の会社に入って、渋谷でお仕事するようになってからは「eggを復活させたい」という思いが強くなっていって。なので今回のプロジェクトが立ち上がると聞いた時は本当に嬉しかったですし、真っ先に編集長に立候補しました。
―編集経験は?
全く無かったんです。なので勉強をさせていただきながらですね。今は毎日が楽しいです。
―"新生egg"はどのように運営していくんですか?
3月21日に公開するオフィシャルサイトとYoutubeチャンネルの2つを軸に、記事と動画を毎日更新しながら、TwitterやInstagram、動画配信アプリで情報を発信していきたいと思っています。
―公開日に意味は?
「3、2、1、はじまるよー」みたいな感じです(笑)。
―公開時はどのようなコンテンツを展開するのでしょうか?
「ファッション」「ビューティー」「エンタメ」「アニマル」の4つのカテゴリに分けています。ファッションではリアルクローズを取り上げたいので「H&M」とかファストファッション系も取り入れていこうかなと。「マルキューブランドしかやらない」というこだわりは特にありません。雑誌時代のコンセプトとマインドを踏襲したいので、大洋図書さんから商標の使用許諾もいただいて、バックナンバーを参考にしながら作っています。
―編集部の体制は?
編集部は私を含めて3人です。私と1人が21歳、もう1人は28歳なので、平均年齢は23歳くらいですね。eggの復活に伴って昨年12月に立ち上がった新会社エムアールエーが運営します。
―準備期間はどれくらいですか?
昨年の夏ごろにお話をいただいて、実際に動き出したのは12月からなので3ヶ月くらいですね。
―出演モデルの選び方は?
セルフブランディングが上手でフォロワーから支持されている子をSNSで勧誘しています。雑誌時代のファンの方にも見ていただきたいので、今井華さんなど雑誌時代に出演していたモデルさんにも協力してもらっています。機会があれば小学生にも出てもらいたいですね。イケてる男の子も出していきます。
―ターゲット層は?
現役高校生から雑誌時代の読者まで、eggの世界観が好きなギャルの皆さんに見てもらいたいですね。
―赤荻さんの中で「ギャル」の定義とは?
自分が「かわいい」とか「イケてる」と思うことをやってる人とか。派手なメイクだったり肌が黒いなど外見で決めてるのではないです。
昔のeggのように「カルチャーを作りたい」
―現役高校生と仕事をするなかで昔と変化は感じていますか?
自撮りする子が多くなったので、セルフプロデュースが皆上手ですね。でも当時のeggで輝いてた子たちもそうだったんだと思います。
―「現代の若者には個性がない」とも一部では言われていますが。
本人たちがそのテイストが好きならいいですが、なかには流されてる子もいると思います。変に目立つと叩かれやすい時代ですし。
―赤荻さん自身は流されやすいタイプでしたか?
いいえ、普通じゃいられないタイプでした。周りからしたら「ヤベえヤツ」みたいな(笑)。小学校から髪を巻いたり、中学校にルーズ(ソックス)とピンクのシャツで登校して、先生と追いかけっこしたこともあったり。可愛いからやりたかっただけで、悪いことをしたかったわけじゃないんですけどね。
―「ギャルが減っている」という見方もありますが、復活するeggでは何を伝えていきたいですか?
私自身の体験談になりますが、私が埼玉県出身で、eggに載っていた「埼玉県で一番可愛くてギャルが多い学校」に行きたくて超勉強してそこに入ったんです。でも聞いていた時より校則が厳しくなっていて。自分のやりたいことが制限されて、個性を表現できなかったのは辛かったですよね。その時の思いが今につながっています。eggを流行らせて、「好きなことを押し通してもいいんだよ」と全国のギャル魂を持った子に伝えたいですね。でも校則は守りましょう(笑)。
―新生eggでは何を目指しますか?
私はeggに出ていた人とeggを作った編集部の人たちをマジで神だと思ってます。「ギャル」や「イケメン」という言葉もeggから生まれたんですよ。一つのカルチャーを作れるのは超すごいなと。なので新生eggでもカルチャーを作りたいです。もともとのeggのマインドとコンセプトはそのままにパワーアップしたいと思います。まずはパラパラブームを復活させたいですね。
(聞き手:伊藤真帆)
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