「服は自分で選ぶ」という常識が崩れ始めた。女性スタイリストが男性顧客に似合いそうな服を見立てるサービスが登場。おすすめの服やジュエリーを毎月、提案してもらえるサブスクリプション型通販も米国で盛り上がりを見せつつある。日本でもミクシィが導入。服選びを取り巻く環境は様変わりしつつある。(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江)
女性スタイリストが代わりに服を選んでくれるという男性向けサービスがファッション代行サービス「bemool(ビモール)」。読者モデルやアパレル店員、服飾専門学校生など、おしゃれに詳しい女性が服をコーディネートし、買ってきてくれる。自分のセンスに自信が持てない男性にとって、女子目線でのセレクトは心強く映るようだ。ショッピング同行のサービスはない。
パーソナルスタイリストのサービスを提供する企業も増え続けている。従来はエグゼクティブ男性層の需要が中心だったが、近頃は30歳代や女性の利用者も増える傾向にあるという。

毎月定額で服が届くサブスクリプション型の通販サービスは米国で先行。日本でも広がる気配を見せ始めた。SNS「mixi」を運営するミクシィは「Petite jete(プティジュテ)」を立ち上げた。「プティジュテ」の場合、料金は毎月4200円。毎月示される「コレクション」から気に入った1着を選ぶ。「今月はパス」といった形での取捨選択も加えられる。

課金形式のサブスクリプション型コマースは米国では流行の新手EC(電子商取引)。「Shoedazzle(シューダズル)」は靴やバッグ、ジュエリーのサブスクリプションサービスで成功している。女優でファッションアイコンのKim Kardashian(キム・カーダシアン)が共同創業者に名を連ねる。

ジュエリーを扱う「JewelMint」は女優のKate Bosworth(ケイト・ボスワース)と著名スタイリストのCher Coulter(シェール・コールター)が立ち上げた。著名人や目利きをキュレーターに起用するのは、こういったサービスの1つの傾向となっている。

ネット通販の強みである商品ラインアップの幅広さは時に情報過多が引き起こす選びにくさにもつながる。数を絞り込んで提案する新手の販売手法はこのカオスから逃れたいというニーズをすくい挙げたものだ。数を絞ることによって、価格を下げるメリットも生んでいる。
「選ぶのが面倒」「時間がない」といった事情にも対応したサービスだ。そもそも「あまりショップで迷いたくない」「ショップスタッフとのやりとりが得意ではない」という人は少なくない。
あらかじめ数多くの質問を用意して、買い手の趣味や用途をデータ化しているので、好みに近い選択肢を用意できるようになっている。ただ、やはり好みとのずれという問題がつきまとうので、キュレーションの精度アップとサービスの使い勝手が今後の浸透を左右しそうだ。
■宮田理江 - ファッションジャーナリスト -

複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビなど数々のメディアでコレクションのリポート、トレンドの解説などを手掛ける。コメント提供や記事執筆のほかに、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南書『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』がある(共に学研)。 http://fashionbible.cocolog-nifty.com/blog/
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