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「これはストリートウェアではなくクチュール」ディオールがERLをゲストデザイナーに迎えたコレクションをLAで発表

Video by: FASHIONSNAP

 カルフォルニア・ヴェニスビーチのランドマークとして知られる「VENICE」の看板の下、海へと続くウィンドワード・アヴェニューが封鎖されて「ディオール(DIOR)」ランウェイが出現。LA拠点のブランド「ERL(イーアールエル)」を手掛けるイーライ・ラッセル・リネッツ(Eli Russell Linnetz)をゲストデザイナーに迎えた「ディオール」スプリング 2023 メンズ カプセルコレクションのショーが開催された。コレクションテーマは「カリフォルニア クチュール」。

マルチな才能を持つイーライを抜擢

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 フランスの歴史あるクチュールメゾン「ディオール」とLAの新進気鋭ブランド「ERL」。意外にも思えるタッグの背景には、デザイナー同士のリスペクトがあった。

 ディオールのメンズ アーティスティック ディレクターであるキム・ジョーンズ(Kim Jones)は、これまでも数多くのアーティストやデザイナーとのコラボレーションを成功させており、近年では日本の「サカイ(sacai)」との協業でも話題を集めた。イーライもまた、写真家や映像監督、アートディレクターとしてマルチに活躍し、2020年にERLを本格始動してすぐにカニエ・ウェスト(Kanye West)やエイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)が着用するなど濃度の高い支持を得ている。奥行きだけでなく広がりも追求する2人の姿勢が互いの接点になり、世代の異なるキムとイーライが結びつきを強めたことが今回のカプセルコレクションに繋がった。

キム・ジョーンズとイーライ・ラッセル・リネッツ、バックステージにて

キム・ジョーンズとイーライ・ラッセル・リネッツ、バックステージにて

Image by: FASHIONSNAP (Koji Hirano)

 新しい方法で製作に取り組みたいと考えていたキムは、ディオールを異なる視点から見ることができる人物としてイーライにオファー。イーライは、キムへのリスペクトだけではなくディオールのアーカイヴに深く興味を惹かれたことから「もちろんイエスと答えたんだ」と振り返った。

ディオールのショー会場となったウィンドワード・アヴェニュー

ディオールのショー会場となったウィンドワード・アヴェニュー

Image by: FASHIONSNAP (Koji Hirano)

海のようなランウェイでつながるパリとLA

 カプセルコレクションをランウェイで発表するのは、ディオールとして初の試み。その会場として、イーライが生まれ育ったヴェニスビーチが選ばれた。

Image by: FASHIONSNAP (Koji Hirano)

 海を思わせるブルーにペイントされた道路と、波のモニュメント、ヤシの木のネオンサインに彩られたランウェイを、ウェーブを描くように歩みを進めるモデルたち。最初に登場したのは、裏返しに仕立てられたグレーのスーツ。ラグジュアリーとストリート、ハイとローを熟知しているからこそ、常識をひっくり返すような遊び心に満たされた提案で幕を開ける。

 パリのエレガンスとLAのカルチャーが融合したコレクションは、クチュリエとスケーターが出会ったかのような意外な組み合わせが光る。繊細なビジューを施したショーツやゆったりとしたデニム、スーツスタイルにレイヤードしたスウェット。そしてERLの代表的なアイテムであるウェーブフーディーとキルティングジャケットも、素材や仕立てをアップデートした形で登場した。

 ニュースペーパープリントといったディオールのアーカイヴを取り入れながらも、ラメ素材のニットや透けるブラウス、ローウエストのパンツなど、素材使いやカラーリング、シルエットにフレッシュな感性が散りばめられている。

 また海洋プラスチックをアップサイクルしたポリエステルで仕立てたジャケット、シャツやジャージーをパッチワークによってリメイクしたオペラケープなど、アトリエ技術によるサステナブルなアイテムにも注目したい。

キルティングがバッグやシューズに

 アクセサリーでも、両者のシグネチャーと個性が掛け合わされている。ディオールのアイコン的な「サドル」バッグは、ERLの特徴的なパステルカラーのキルティングやラメ素材が用いられ、ネックレスのように首に巻きつけられるほどの超マイクロサイズも提案された。

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 ディオールの象徴的なカナージュのキルティングは足元にも用いられ、スケートシューズを連想させるボリュームのキルティングスニーカーが登場。ハットや極太チェーンのジュエリーは、独自のスタイルを作るアクセントになった。

ストリートウェアではなくクチュール

 フィナーレでは、ヴェニスビーチの街並みのようにカラフルなスタイルがランウェイを彩り、キムとイーライが登場すると大きな歓声が上がった。イーライの家族や友人からセレブリティまで多彩な顔ぶれの観客席では、拍手とともにスタンディングオベーションでコレクションを祝福。ゲストデザイナーであるイーライを温かく迎える光景と、ショーの後にイーライが語ったことは、テーマの「カリフォルニア クチュール」そのものを表現するようだった。

「このコレクションは、僕の生まれたヴェニスビーチの友人たちからたくさんインスパイアされたけれど、ストリートウェアだとは思ってない。全てアトリエで作られているクチュールなんだ。でも、僕にとって"誰が着るか"ということは重要じゃない。僕たちの作り上げた世界に誰もが参加できるということを大事にしたい」イーライ・ラッセル・リネッツ

フィナーレに登場したキム・ジョーンズとイーライ・ラッセル・リネッツ

フィナーレに登場したDIORのキム・ジョーンズとERLのイーライ・ラッセル・リネッツ

バックステージ

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イーライ・ラッセル・リネッツと母

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クリスティーナ・アギレラ
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