コム デ ギャルソン 2021-22年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP
「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」が、約40年ぶりに東京で新作を発表した先シーズンに続き、今回も東京の本社でフロアショーを開催した。2021-22年秋冬コレクションについて、川久保玲は「音や色から離れたい」という現在の心境に重ね「モノクロームの風景(Landscape of Shadow)」と題した。
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川久保玲の創作のテーマは、「不協和音」を奏でた先シーズンから一変。異なる要素の衝突によるエネルギーが起点となった前回とは正反対となる、モノクロームの静寂が描かれた。
■白と黒のみ、球体のフォルム
打放しの床にパイプ椅子を並べたのみの、限りなくシンプルな会場設計。唯一の演出であるスモークの中から登場したファーストルックは、ボリュームのある素材で身体を包んだケープドレスに、高さのあるシルクハット。アンドロジナスな装いでショーが幕を開けた。
白と黒のみで構成するコレクションは数年ぶり。色の無い世界で際立つのがシルエットで、重ねたり縛ったり、あらゆる手法によって生み出される不規則なボリュームは、2014年から続いている抽象的なアプローチ。今回は特に、球体のフォルムが目立つ。
球体をナイフでスパッと切ったようなシェイプのスカート部分が特徴のドレスは、白と黒で対になっている。フロントスタイルはどこか近未来的だが、サイドのシルエットは中世のバッスルドレスのよう。ケープを被った厳かなムードのスタイルは修道服を連想させた。一方でドレスからタイツまで覆うレタリングは、書き殴ったような激しい文字が主張する。
■ナイキコラボの新作はスパイクシューズ
足元で注目なのは「ナイキ(NIKE)」とのコラボシューズの新作。サッカーのスパイクがベースのヒール付きシューズで、クラシックな装いとハイスペックなスニーカーという対比は近年のギャルソンを象徴するスタイル。「サロモン(SALOMON)」とのコラボシューズではブーツタイプも登場した。
■音や色から離れて
「色々な音や色だとか、過剰な情報、そういうものから少し離れて、一息つきたい。静けさの中に落ち着きたいという気持ちです」。ショーの後のバックステージで川久保玲は、今の心境を言葉にしていた。あらゆる雑音や情報が渦巻く現代。多くのクリエイターがコロナという危機に直面して、本質的な部分に立ち返っている。黒はギャルソンの代名詞であり、色や雑念を排除した表現はピュアな印象だ。何かと対峙する反骨精神とは少し異なるベクトルで、内なる強さを静かに見つめ直しているようだった。
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